iOS アプリを開発しても、そのままでは App Store で公開することも、iPhone や iPad など実際の端末で動作確認することもできません。
iOS アプリを世の中に公開したい個人事業主や企業は全員、Apple 社が提供する Apple DeveloperProgram に登録する必要があります。本記事では登録に必要なものと手順、および開発者や社外ベンダーを招待する方法までを解説します。
2024 年現在では Android アプリのストアページ開設もやや複雑になっているので、両 OS で同時に自社のアプリストアぺージを開設する場合は下記の記事もあわせてご覧ください。
Android アプリの公開に必須!GooglePlay Developer 申請・登録方法(個人・法人共通)
Apple Developer Program 申請の手順と必要なもの
法人でデベロッパーアカウントを取得するためには、下記が必要となります。
- 2 ファクタ認証を有効にした Apple ID(アプリ事業用に新規取得を推奨)
- 会社の D-U-N-S ナンバー
- Apple 社の確認作業を行うための電話番号とメールアドレス
- 登録料 (毎年$99)
- 振り込み用のクレジットカード
※以下は Apple 内のページで必須と書かれていますが、確認が取れていません
- 独自ドメインの企業 Web サイト(SNS は不可)
- iOS デバイス+最新バージョンの Apple Developer アプリ
- 使用するデバイスで iCloud にサインインしていること
D-U-N-S ナンバーは Google Play Console デベロッパー(Android アプリの開発)の登録でも必要になるので、開発チームの中で控えておくことをおすすめします。
全体の流れとしては
- Apple ID の登録
- D-U-N-S Number の取得
- Developer Program の登録申請
- 内容確認・審査
- 登録完了
という手順になります。
個人事業主と法人組織で異なるプロセスは、D-U-N-S Number の有無です。当然ながら、法人で申請する場合は架空の事業や組織ではないか、法人組織として成立しているかの審査もあります。また、会社として申請する際は代表など権限あるポジションの方が登録する必要があります。
会社組織として申請することで
- チーム全体で機能やツールが利用可能(登録は一人でいい)
- App Store の「開発者」欄に、法人名が使用できる
という違いがあります。
※ チームでの iOS アプリ開発の場合、Apple DeveloperProgram の登録は代表者だけで良いですが、作業としては開発証明書を作成・共有する必要もあります(今回はまず DeveloperProgram の申請を詳しく解説します)
Developer 登録にかかる費用
Apple Developer Program は、無料で登録できるわけではありません。
料金は個人・法人では変わらず、年間 99 ドルの 1 年契約になります。会社組織かつ、従業員のみ対象とした社内向けアプリを開発・運用する場合は Enterprise Program となり、費用も 1 年で 299 ドルと高くなります。
[準備] D-U-N-S® Number を取得する
法人組織として申請する場合、The Data Universal Numbering System (D-U-N-S®)、通称「D-U-N-S 番号(ダンズナンバー)」を取得します。
Apple DeveloperProgram のために割り当てられた番号というわけではなく、企業の識別情報として広く利用されています。Dun & Bradstreet (日本企業は東京商工リサーチ) によって割り当てや管理が行われています。
D-U-N-S 番号は、Apple Developer Program または Apple Developer Enterprise Program に登録する際に、法人格を確かめるために使用されます。
D-U-N-S® Number がわからない場合
知らないうちに D&B によってすでに組織に無償の D-U-N-S 番号が割り当てられている場合があります。登録する前に、まず東京商工リサーチの Web サイトから番号が割り当てられているかどうかを確認してください。
https://duns-number-jp.tsr-net.co.jp/search/jpn/login.asp
参考: D-U-N-S® Numberの取得・照会について(東京商工リサーチ)
古いデータが登録されている場合もある ので、もし検索結果が表示されない場合は、
- 法人格(株式会社・合同会社)を入れずに検索
- 旧社名での検索
もお試しください。住所は「千葉県」など一部でも絞り込めます。
もし既に登録されていた場合は、企業名左の「DUNS」をクリックして、「自社の D-U-N-S® Number 取得(無償)」で申請してください。
発行されておらず、新しく D-U-N-S® Number を発行する場合
自社にまだ DunsNumber の割り当てがなければ、新規で登録申請することになります。
申請は東京商工リサーチの Web のほか、Apple Developer Program も「特別対応」の窓口になっています。
東京商工リサーチの場合は、法人格を確かめるために登記簿謄本 (直近の情報が記載されているもの) が必要になります。
参考:
Duns 番号を取得しても、有効化されてさらに Apple 社のデータベースに反映されるまでには数日〜数週間かかります。 反映されていないうちに Apple DeveloperProgram の申請をしても登録できないため、ある程度時間がかかると考えてください。
Apple Developer program 登録手順の説明
上記の準備が整ったら登録を進めていけます。各手順についてご説明します。
手順1. Apple ID を登録する
まずは Apple 社のページより、自社ドメインのメールアドレス(推奨)で Apple ID を取得します。
https://developer.apple.com/account
また、法人での利用で、他の部署ですでに会社としての Apple ID を取得している場合は、そのアカウントを使用する必要があります。
法人の Apple ID は一社につき一つのみを割り当てることになっているため、法人の場合は D-U-N-S® Number とともに社内で事前に確認しておきましょう。
手順2. 2ファクタ認証を有効にして、Developer ページにログイン
組織の Apple ID を取得後、同 URL からログインしてください。
初回ログイン時には携帯電話に自動音声通話で確認コードが送られます。社内のパソコンなど、常に同じ端末で作業する場合は「このブラウザを信頼する」と省略することができるようになります。
初めてデベロッパーページにサインインすると、Apple の規約が表示されます。
上のチェックボックスは「利用規約に同意」のチェック(必須)で、下は Apple 社からのメールマガジンを受けとるかどうかのチェック(任意)になります。
手順3. Developer Program 参加申請
個人の場合は Apple ID、組織の場合は Apple ID に加えて D-U-N-S Number を取得したら、アカウントのページより Apple DeveloperProgram に登録することができます。
https://developer.apple.com/account
Apple ID でログインすると画像のような状態になります。現在は Windows PC からでも Web 上で登録できるようになっています。
手順4. 個人情報/連絡先情報の入力
登録画面は日本語で書かれていますが、入力は英語のみとなっています。
日本の事業者の場合、電話番号には Country Code として 81 を選びましょう。
また、住所を書く際、英語では順序が逆になります。
- 住所:地名と番地
- 任意:部屋番号、オフィス番号、ユニット番号 (空欄でも可)
- 市区町村:Narashino-Shi など
- 都道府県:Chiba Prefecture(県を指す)など
- 郵便番号:そのまま
手順5. 法人での登録
デフォルトでは個人登録になっているので、法人の場合はを「企業/組織」を選択し直します。
手順6. 英語表記の企業名と D-U-N-S® Number を入力
法人名には英語表記での企業名を、法人格(株式会社・合同会社など)込みで入力します。
例:合同会社バックアップ → BACKAPP, LLC
D-U-N-S® Number の入力後、登録されている情報が表示されますので、問題なければそのまま登録します。
手順7. Apple からの確認(法人のみ)後、登録完了
登録が終わると、いったんは作業終了です。
会社組織で法人登録した場合、Apple から確認の電話がかかってきます。審査や面談というほどの内容ではなく、口頭で住所や登録内容に間違いがないかという簡単な確認になります。
電話での確認が終わると、Developer Program のアカウントが有効になります。電話に出られなかった場合はメールで再調整の連絡が来ますので、早めに確認作業を済ませておきましょう。
手順8. 登録料の支払い
Apple 社の確認が終わったら、メールに届いた招待リンクから登録料の支払いに移ります。
クレジットカード情報を入力して支払いを済ませてください。
手順9. App Store Connect へ
https://appstoreconnect.apple.com/login
iOS アプリのストア申請などは「Apple Store Connect」から行います。
Apple からの招待メールのリンクをクリックするか、Apple Store Connect のページからログインしましょう。
サービス利用規約に同意したら、iOS アプリの申請や社外ベンダーの招待ができるようになります。
iOS アプリを公開するには?
自社で開発・公開する場合
法人で DeveloperProgram を活用する場合、申請した人間がまず管理者 (Team Agent) となります。組織での iOS アプリ開発は、管理者が開発メンバーに権限を付与していく形になります。
iOS アプリを App Store でリリースするには、
- Xcode からビルドしたパッケージファイル(ipa ファイル)を準備する
- App Store の掲載情報を登録する
- アプリのリリース情報を管理(追加)し、公開する
というステップで進めていきます。こちらはやや手間がかかるので、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
iOSアプリを公開する際の申請のやり方 (AppStore への登録方法 / iPhone の端末登録等)
社外ベンダーに発注する場合
ストアページだけは自社で開設して開発を当社のような社外ベンダーに任せる場合は、下記の手順で担当者を招待してください。
手順1. App Store Connect の「ユーザとアクセス」へ
まず、App Store Connect にログインし、「ユーザとアクセス」をクリックします。
https://appstoreconnect.apple.com/login
手順2. 新規メンバーを追加
今後は、この画面で開発メンバーなどを追加していきます。
+ボタンをクリックすると、新規メンバーの追加ウィンドウが開きます。
手順3. Admin 権限で招待
担当者の姓名とメールアドレスを入力してから役割の「Admin」を選択し、「Certificates, Identifiers & Profiles(証明書、ID、プロファイル)へのアクセス。」に自動的にチェックが入っていることを確認したら「招待」ボタンを押してください。
上記作業を完了いただくと開発会社の担当者に招待のメールが届き、代理でのアプリ開発と申請ができるようになります。
- 「アプリをやったことがある人が社内にいなくて相談ができない…」
- 「Webは運用してるけど、アプリだとどこが変わるんだろう?」
- 「できれば内製したいけど、やっぱり最初は外注が必要?」
といったお悩みを抱えている方、iOS/Android アプリの開発プロジェクトを初めて経験する担当者の方などに向けたお役立ち資料を公開しています。