(2026 年 1 月更新)
BackApp では、クライアントが新規アプリ事業でやりたいこと・予算などに応じてさまざまな開発手法をご提案および採用しています。
近年では「パッケージか、フルスクラッチ(完全オーダーメイド)か」という二択ではなく、さまざまな開発手法が普及しています。ですので、パッケージを扱う開発手法の中でも 「ローコードとノーコード、スクラッチとフルスクラッチって何が違うの?」などといったお問い合わせをいただくことも多くなってきました。
そこで、本記事ではすべての開発手法・契約パターンでアプリ開発を行っている制作会社の視点で、それぞれの開発方法のメリットやリスクの違いを比較していきます。
1. iOS/Android アプリ開発で用いられる手法
本記事では、下記の4つの開発手法を比較していきます。
| 開発手法 | 概要 | 開発期間 |
| ノーコードサービス | 他社のパッケージを契約し、プログラミング不要でアプリを構築 | 短期間でリリース |
| ローコード開発 ※ハーフスクラッチ |
基本パッケージを初期にカスタムし、独自アプリとしてリリースして追加開発もしていく | 基本的には短い |
| フルスクラッチ開発 | パッケージなどの既存のものを使わず、ゼロからアプリを構築する | 基本的に長い |
| アジャイル型開発 | ゼロから始めて最低限の機能でリリースし、公開後に追加開発していく | 長期視点で育てていくが、アプリのリリース自体は早い |
1-1. パッケージ(SaaS)を利用する際の開発の流れ
プログラミングをすることなく Web サイトや iOS/Android アプリを構築できるサービスを「ノーコードサービス」と呼びます。
特に無料プランもあって簡単にホームページを作れるサービス「ペライチ」「WIX」などが有名です。iOS/Android アプリ開発においても「Bubble」などの海外サービスがありますが、日本国内では初期の構築作業を代行してもらう形の、運用・更新のみ自社で行う SaaS 形式のサービスが多いです。
ノーコード「開発」と呼ばれることもあるため、「結局はページの作成や更新で最低限のプログラミングが必要なの?」とご相談を受けることもありますが、作業としては GUI(ドラッグ&ドロップで要素を選択するなど)での操作で完結するツールが多いです。
ですので、エンジニア・プログラマーや社内の情シス部門の助けを借りることなく事業部門や店舗・施設の拠点スタッフだけで画面を作成・編集することが可能です。
1-2. フルスクラッチ開発とは?
対して、フルスクラッチ開発とは既存のベースアプリ(パッケージ)を利用したりせず、完全にゼロからアプリ・システムを構築する手法です。技術力と資金さえあれば、やりたいことをほぼ実現することが可能といえます。
また、フルスクラッチ開発の中でも
- ウォーターフォール型:最初に仕様や開発計画を細かく決めておき、計画にしたがって順序だてて進めていく
- アジャイル型:最初に厳密に決めきらず、走りながら作っていく
- ハイブリッド型:セキュリティが重要な基幹部分はウォーターフォールでしっかりと作り込み、ユーザーを満足させるための機能はアジャイルで作っていく
という 3 種類の手法があります。
大規模なシステム開発では依然としてウォーターフォール型が主流です。しかし、1 年以上かける大規模な開発の設計時点でミス・抜け・漏れなく仕様を決めることは非常に難しいため、柔軟に動けるアジャイル型開発も増えています。
1-3. アジャイル型開発とは?
アジャイル型開発は、従来のウォーターフォール型開発の弱点を解消するため、ローコード開発よりも先に台頭しました。
ローコード開発では基本部分の初期構築をテンプレート活用で省力化しますが、アジャイル開発からゼロイチで少しずつ作り、最低限の機能が実装できた時点でアプリを公開します。そして市場やユーザーの反応を見ながら軌道修正をしていく、という形になります。
1-4. ローコード開発(ハーフスクラッチ開発)とは?
ローコード開発とは、ベースとなるアプリ(手を加えられていない=ノーコードテンプレート)を顧客ごとにカスタムし、要望に応じて追加機能・デザイン変更をスクラッチ開発していく開発手法です。
「ハーフ」という名称が使われることもありますが、50% である必要はなく、案件によってパッケージ部分とオーダーメイド部分の割合は変わります。
フルスクラッチに比べてエンジニアの開発量が少なく、「ノー」でもないため、「ローコード開発」という呼称が一般的になっています。
2. スクラッチとパッケージ(SaaS)のメリット・デメリット比較表
| 開発手法 | 長所 | 短所 |
| ノーコードサービス | ・初期費用の負担が低い ・業界のトレンドを押さえやすい |
・カスタム性が低く、運用開始後の軌道修正がしづらい ・大規模になると運用コストが割高になる場合も |
| ローコード開発 | ・フルスクラッチより費用が安く、カスタムしづらいというノーコードの弱点を補える | ・ノーコードに比べると事例は少ない |
| フルスクラッチ開発 | ・自社の事情に合わせて細部まで作り込める ・アプリの動作速度を改善しやすい |
・開発チームやベンダーの設計・技術力に左右される ・初期費用の負担が大きい |
| アジャイル型開発 | ・アプリをリリースし、運用を始めてから柔軟に追加開発できる ・予算をコントロールしやすい |
・全体の舵取りが非常に重要 ・トータルでは費用が低いわけではない |
2-1. アプリ×パッケージ(SaaS)を使ったノーコード開発のメリット・デメリット
2010 年代までは、「iOS/Android アプリを作りたいが、試しにトライするにはアプリは開発費用が高すぎる」と敬遠されることが少なくありませんでした。シンプルなネイティブアプリの開発費用を 1,000 万円以上から数百万円へと引き下げ、自社アプリ運用に挑戦する企業を増やしたのがパッケージ型のノーコードサービスです。
とにかく「安価に、スピーディに、さまざまな機能を持つ自社アプリを運用することができる」という点がメリットで、プログラミングなどの知識・スキルがなくてもアプリ内の画面を簡単に編集できる UI も備えているサービスが多いです。また、導入事例が多かったり、開発実績が豊富な会社であれば、業界ごとの “型” を熟知したパッケージで必要な機能を網羅しているというメリットもあります。
一方で、アプリの機能・品質面で言えば、ノーコード開発の場合は企業の業態・戦略ごとに必要な細かいカスタマイズまでは想定していないため、運用する中で欲しくなった機能やデザイン修正が実現できないことが多いという点が最大のデメリットです。
スモールスタートで自社アプリを運用し始めて、顧客からある程度の高評価を得たものの、「もっとこうしたい」「こうしてほしいといわれている」というカスタムを実現できない場合、諦めるか作り直すかの二択になってしまいます。
2-2. アプリ×一般的なフルスクラッチ開発のメリット・デメリット
フルスクラッチ開発はノーコード開発に比べて圧倒的に初期費用がかかりますが、今でも減っているわけではありません。
たとえば EC サイトを展開する大手小売企業はほとんどが自社アプリを持っていますが、競合と品質面で差別化するためにもフルスクラッチで作りこんでいる企業が多いです。ノーコード開発はあくまで自社アプリ運用に挑戦するための手段で、最終的にはパッケージではなくスクラッチ開発で作りこむという流れが一般的です。
フルスクラッチ開発であれば、自社の基幹システムと連携したり、独自のセキュリティ・ポリシーを満たしたりと、他社製品の仕様に左右されずにゼロイチでシステムを設計できます。
一方で、パッケージを活用しないゼロイチでの開発には
- 事業部門の担当者が技術を理解していないと適切な仕様を決められない
- 仕様に抜け・漏れ・曖昧があると品質低下の原因に
- 途中で軌道修正したくても難しい
というデメリットもあります。アプリの設計・開発を熟知した人材を確保したり、実績のあるベンダーに外注するといった対策が求められます。
2-3. アプリ×アジャイル型開発のメリット・デメリット
アジャイル型開発は、「走り出してから軌道修正ができない」という従来のウォーターフォール型開発の弱点を解消するため、ローコード開発よりも先に台頭しました。
ローコード開発は、小売・EC・会員アプリなど、ある程度パッケージが対応できるジャンルが決まっています。ですので、プラットフォーム・マーケットプレイス・ゲームなど、パッケージ化されていない領域で「運用しながらアップデートしていく」やり方を選ぶ場合は、アジャイル型開発(フルスクラッチ開発)となります。
アジャイル型開発の場合、新規アプリの企画時点で厳密に仕様や計画を決め切る必要がなくなります。さらに、毎月の開発予算をあらかじめ確保しておくので、開発が始まってから「この機能が必要なことを忘れていた」「急きょ現場や経営陣から要望があった」と差し込みがあっても、事前に用意した予算ですぐに着手するなど小回りがきく点がメリットです。
一方、0→1 で走りながら作るアジャイル型開発のデメリットは、「いつまでたっても最低限の品質に到達しない “迷走” リスクがある」という点です。ですので、アプリの核となる機能・仕様の要件定義はじっくり行ってから走り出す、アジャイルとウォーターフォールの中間のような開発スタイルもあります。
2-4. アプリ×ローコード開発(ハーフスクラッチ開発)のメリット・デメリット
「フルスクラッチで自社アプリを作る予算はないが、ノーコードパッケージはかゆいところに手が届かない」という要望に応える形で、近年増えているのがローコード(ハーフスクラッチ)開発です。
当社のアプリプラットフォーム「Pasta」も「カスタムできるパッケージ」を掲げています。ローコードのメリットとしては、「パッケージの恩恵を受けつつ、カスタマイズに制限が多いノーコードの弱点を補完できる」という点に尽きます。
テンプレートを活用することで「最低限の品質を担保しながら初期構築のコストと工期を削減する」というメリットを得ながら、運用中に出てくる社内外の要望に応えてデザイン修正・機能追加が可能です。
デメリットとしては、カスタマイズ分の改修費用・保守費用がかかることもあるため、アプリ運用をしっかりと成果につなげなければカスタムしないノーコードに比べて費用対効果が下がるという点です。とはいえ、大きなカスタマイズがなければ費用は大差がないので、将来的なリスクヘッジのためにノーコードではなくカスタマイズ範囲の広いパッケージを選ぶという考え方もできます。

3. パッケージ(SaaS)とスクラッチの開発費用・ランニングコスト比較表
価格面の違いを比較すると、アプリ・サービスの事業規模に応じて最適な手法が変わることがわかります。
| 開発手法 | 初期費用 | ランニング費用 | 価格を決める要素 |
| ノーコードサービス | 低い | 高い | DL数・ユーザー数・店舗数など |
| ローコード開発 (パッケージをカスタム) |
中程度 | 中程度 | DL数・ユーザー数・店舗数など |
| フルスクラッチ開発 | 高い | 開発次第 | 開発の作業量 |
| アジャイル開発 | 高め | (自由) | 自社の戦略 |
運用コストに関してはこちらも参考にしてください:
3-1. パッケージ(SaaS)を使ったノーコード開発の開発費用・ランニングコスト
ノーコード開発の場合、アプリをゼロから構築する作業がないため、初期費用はスクラッチ開発より大幅に安くなります。
ランニングコストはやや高めに感じられることが多くなりますが、iOS/Android が毎年実施する OS アップデートへの対応など、アプリを維持するために必要な保守運用費用も含まれています。また、スクラッチ開発で構築したアプリが「資産」となって減価償却の対象になる一方で、パッケージ(SaaS)でアプリを構築した場合は法人税などの面でもメリットがあります。
注意点としては、基本的にパッケージアプリは「ユーザー数やダウンロード数、導入店舗数に応じてランニングコストが上昇する」ということです。小規模に始める上では最適といえますが、事業が成長していくにつれて「運用コストがかさむ割に、カスタム性に限界があってかゆいところに手が届かない」という悩みを抱えるケースも出てきます。
3-2. フルスクラッチ開発の初期費用とランニングコスト
フルスクラッチ開発では、「どんなアプリをゼロから構築するのか」という企画を整理したのち、作業量に応じて初期費用が算出されます。
海外の調査データも含め、相場としては店舗系の公式アプリで 1,000 万円、EC などプラットフォーム型で数千万円程度になります。iOS/Android OS という二種類のアプリを開発することになるため、高く感じられるという声も少なくありません。
運用コストに関しては、ユーザー数や保守・運用をどこまでやるか/やってもらうかによって左右されます。またリリース後に「こんな機能が欲しい」と追加開発の要望が出た場合は、別途予算が必要になります。
総じて、フルスクラッチ開発の運用コストはノーコード開発に比べると安くはなりがちですが、初期費用の差を比較すると企業の負担は大きいといえます。
3-3. アジャイル開発の初期費用とコスト
アジャイル開発もフルスクラッチ開発の一種なので、iOS/Android アプリの開発の総予算という意味では変化はありません。
ですが、毎月の運用コスト+追加開発費用の上限を設定しておくのが一般的なので、予算は管理しやすいです。
3-4. ローコード開発(ハーフスクラッチ開発)の初期費用とコスト
ローコード型もパッケージを活用するため、OS アップデート対応など保守費用も含めた月額費用になります。
初期費用は、リリース時にどこまでカスタムするか=どれだけ開発を行うかで変動します。またアジャイル型開発のようにリリース後もカスタム開発していく想定なので、追加開発を行うたびに月額費用のほかに改修費用がかかります。
また、大幅な改修を行った場合、「改修部分の保守費用」が追加され、月額料金が上がる場合もあります。
結果として、カスタムしない完全ノーコードに比べてトータルで予算は必要になるものの、フルスクラッチ開発に比べると開発費用を 2/3~1/2 程度に削減できます。
また、完全ノーコードでも SaaS としての広告宣伝費用などをかけているだけ月額基本料金が高めのサービスもあるため、比較的安価なサービスを選べばローコードでも費用があまり変わらない場合もあります。ノーコード・ローコードの費用面の差は、どちらかといえばパッケージ(SaaS)を運営する企業のプライシングで決まるといえます。
4. スクラッチ開発 or パッケージ(SaaS)、結局どっちがいい?選択の決め手とは
アプリを開発する際、スクラッチ開発とパッケージ(ノーコード)開発のどちらを選択すべきか悩んでいる方々に向けて、決め手となる重要な2つのポイントを紹介します。
判断基準 1. パッケージで実現できない機能がある or 決まっていないのか
アプリを開発する際、まず考慮すべきポイントは、アプリに求められる機能です。ノーコードパッケージ(Saas)は、各業界の一般的なアプリとして設計されており、個社ごとに細かくカスタマイズすることを想定していません。独自の機能や要件がある場合は、フルスクラッチ開発またはローコード開発を前提で考えましょう。
また、アプリ事業に初めて挑戦される企業様の場合、「最終的にどんなアプリになるかというイメージはまだ浮かんでいない」「予算があればやりたいことはたくさんあるが、最初はミニマムで始めたい」というケースも少なくありません。その場合は個社ごとにカスタム開発ができるタイプのパッケージでのローコード開発をおすすめします。
判断基準 2. アプリの導入時期
アプリを導入するタイミングも重要な要因です。ノーコードパッケージ導入やローコード開発であれば、1~3 カ月で迅速にアプリを構築できます。
一方、フルスクラッチ開発(特にウォーターフォール型)は開発に時間がかかる傾向があります。アプリ導入のスケジュールに応じて、どのアプローチが適しているかを考慮しましょう。
判断基準3. 設計時のコンサルティング~運用サポートの伴走体制
はじめて自社アプリを運用する場合、ベンダーが運用をどれだけサポートしてくれるかも重要です。一般的な傾向としては、フルスクラッチ開発に重きを置いている企業よりは SaaS を展開している企業のほうがサポートプランが豊富です。
アプリ事業は運用のフローから KPI まで、Web とは全く異なる世界といえます。困ったことがある際にはすぐに相談できるパートナー企業を選ぶことで、スムーズに PDCA サイクルを回していけます。
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さいごに
すべての開発手法・契約パターンにはそれぞれメリットもデメリットもあるため、一概に「迷ったらこうすれば上手くいく」とは言い難いのが実情です。
バックアップでは、お客様が検討しているアプリの企画やご予算に応じて最適な手段およびリリースするアプリのイメージをご提案いたします。
当社では、アプリ事業の立ち上げ時にはテンプレートで安価にアプリを構築し、事業の成長後にはローコード開発として幅広くカスタムしていけるアプリプラットフォーム「Pasta」を開発しました。
「Pasta」ではスクラッチ開発・パッケージ両方でのアプリ開発に対応しながら、運用は完全ノーコード(プログラミング不要)でカスタマイズや幅広いアプリマーケティング施策も可能になります。お困りの際は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。
- 「自社アプリを考えているが、初期投資を抑えてまずは試してみたい」
- 「現行のアプリに課題があり、やりたいことができるようリニューアルを検討している」
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