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スクラッチ/パッケージ開発の比較と、導入の決め手をご紹介

アプリで失敗しないためのポイント
2022.07.12
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    近年のアプリ開発では「フルスクラッチ(完全オーダーメイド)か、パッケージか」という二択ではなく、さまざまな開発手法が普及しています。
    ですので、例えばパッケージを扱う開発手法の中でも
    「ローコードとノーコード、スクラッチとフルスクラッチって何が違うの?」などといったお問い合わせをいただくことも多くなってきました。

    BackApp では、クライアントが新規アプリ事業でやりたいこと・予算などに応じてさまざまな開発手法をご提案および採用しています。

    そこで、本記事ではすべての開発手法・契約パターンでアプリ開発を行っている制作会社の視点で、それぞれの開発方法のメリットやリスクの違いを比較、解説していきます。

    iOS/Android アプリ開発で用いられる手法

    この章では昨今のiOS/Android アプリ開発で用いられている、主な開発手法の概要や進め方について説明します。

    開発手法 概要 開発期間

    フルスクラッチ開発
    (ウォーターフォール型)

    パッケージなどの既存のものを使わず、ゼロからアプリを構築する 基本的に長い
    フルスクラッチ開発
    (アジャイル型)
    最低限の機能でリリースし、公開後に追加開発していく トータルでは長いが、アプリのリリース自体は早い
    ノーコードサービス 他社のパッケージを契約し、プログラミング不要でアプリを構築 短期間でリリース
    ローコード開発
    ※ハーフスクラッチ
    基本パッケージを初期にカスタムし、独自アプリとしてリリースして追加開発もしていく 基本的には短い

    それぞれの手法に関する詳しい記事はこちら

    フルスクラッチ開発とは

    フルスクラッチ開発とは既存のベースアプリ(パッケージ)を利用したりせず、完全にゼロからアプリ・システムを構築する手法です。技術力と資金さえあれば、やりたいことをほぼ実現することが可能といえます。

    また、フルスクラッチ開発の中でも

    • ウォーターフォール型:最初に仕様や開発計画を細かく決めておき、計画にしたがって順序だてて進めていく
    • アジャイル型:最初に厳密に決めきらず、走りながら作っていく
    • ハイブリッド型:セキュリティが重要な基幹部分はウォーターフォールでしっかりと作り込み、ユーザーを満足させるための機能はアジャイルで作っていく

    という 3 種類の手法があります。

    大規模なシステム開発では依然としてウォーターフォール型が主流ですが、近年ではアジャイル型やハイブリッド型も着実に増えています。

    パッケージ(SaaS)を利用するノーコード開発とは

    導入企業がプログラミングすることなく Web サイトや iOS/Android アプリを構築できるサービスを「ノーコードサービス」と呼びます。

    一般的には「ペライチ」「WIX」など、基本は無料かつ簡単な操作でホームページを作れるサービスが有名です。iOS/Android アプリ開発においては SaaS としてサービスを提供する企業と契約するケースがほとんどで、初期の構築作業も代行してもらうケースもあります。

    ノーコード「開発」と呼ばれることもあるため、「結局はページの作成や更新で最低限のプログラミングが必要なの?」とご相談を受けることもありますが、作業としては GUI(ドラッグ&ドロップで要素を選択するなど)での操作で完結します。

    ですので、エンジニア・プログラマーや社内の情シス部門の助けを借りることなく事業部門や店舗・施設の拠点スタッフだけで画面を作成することが可能です。

    ローコード開発(ハーフスクラッチ開発)とは

    ローコード開発(ハーフスクラッチ)とは、ベースとなるアプリ(パッケージ)を顧客ごとにカスタムし、要望に応じて追加機能・デザイン変更をスクラッチ開発していく開発手法です。

    「ハーフ」という名称が使われることもありますが、50% である必要はなく、案件によってパッケージ部分とオーダーメイド部分の割合は変わります。

    フルスクラッチに比べてエンジニアの開発量が少なく、「ノー」でもないため、「ローコード開発」という呼称が一般的になっています。ツールによりますが、カスタマイズや運用に関してはノーコードで行えるものもあります。

    img

    スクラッチ開発・パッケージ(SaaS)のメリット・デメリット比較表

    開発手法 長所 短所

    フルスクラッチ開発
    (ウォーターフォール型)

    ・自社の事情に合わせて細部まで作り込める ・開発チームやベンダーの設計・技術力に左右される
    ・初期費用の負担が大きい
    フルスクラッチ開発
    (アジャイル型)
    ・運用しながら柔軟に追加開発できる
    ・予算をコントロールしやすい
    ・全体の舵取りが非常に重要
    ・トータルでは費用が低いわけではない
    ノーコード開発 ・初期費用の負担が低い
    ・業界のトレンドを押さえやすい
    ・カスタム性が低い
    ・大規模になると運用コストが割高になる場合も
    ローコード開発
    ※ハーフスクラッチ
    (ノーコードとフルスクラッチの中間) (ノーコードとフルスクラッチの中間)

    フルスクラッチ開発のメリットとデメリット

    まず注意すべきは、「スクラッチ開発とは」と一括りにされて解説されることもありますが、あまり適切ではありません。

    前述したように、スクラッチ開発には大きくウォーターフォール型、アジャイル型、ハイブリッド型の3種類があり、これらは全く異なる手法であるということを覚えておきましょう。

    最も古くから存在するウォーターフォール型は、総予算やスケジュールを組みやすく、大規模なシステム開発やパッケージを利用したアプリの大規模なリニューアルなどでは今も一般的に採用されています。

    一般的なフルスクラッチ開発のメリット

    自社の基幹システムと連携したり、独自のセキュリティ・ポリシーを満たしたりと、他社製品の仕様に左右されずにシステムを設計できることがメリットです。

    一般的なフルスクラッチ開発のデメリット

    一方で、開発費用の高さに加えて

    ・事業部門の担当者が技術を理解していないと適切な仕様を決められない

    ・仕様に抜け・漏れ・曖昧があると品質低下の原因に

    ・途中で軌道修正したくても難しい

    というデメリットも指摘されてきました。ですから、これらを補完するため、時代とともに「アジャイル型(ハイブリッド型)開発」「ノーコード開発」「ハーフスクラッチ開発」という新たな選択肢が台頭するようになったのです。

    アジャイル型開発に興味がありますか?
    以下の資料ではアジャイル型開発を正しく理解するためのエッセンスがまとめられています。ぜひ日々の業務にお役立てください。

    パッケージ(SaaS)を使ったノーコード開発のメリットとデメリット

    メリット

    アプリをリリースしてから軌道修正しやすいことがパッケージを使ったノーコード開発の強みと解説されることもありますが、必ずしも適切ではありません。

    ノーコードパッケージを利用するメリットは、SaaS 事業者の中にさまざまなアプリの運用データが蓄積されていることです。
    ある業界のアプリを初期設計する際には “型” を外さない設計ができますし、運用する中で困り事が出てくると類似ケースを参考に相談できることもあります。
    社内に知見があるスタッフがいない場合などはメリットを実感できる場面も増える傾向にあります。

    またパッケージのもう一つのメリットとして、初期費用が安価なため、追加でマーケティング予算をかけやすいことが挙げられます。

    デメリット

    アプリの機能・品質面で言えば、ノーコード開発の場合は SaaS 側がどこまでのカスタマイズを許容しているかに大きく左右されます。

    運用する中で欲しくなった機能やデザイン修正が実装・実現できないこともあるので、むしろ「リリース後のカスタマイズに制限があること」はパッケージの弱点となることもあります。

    ローコード開発(ハーフスクラッチ開発)のメリットとデメリット

    ハーフスクラッチ開発は、アジャイル型とはまた少し異なり、純粋にノーコード(SaaS)とパッケージの中間をとるものです。

    飛び抜けたメリットはありませんが、ノーコードよりもカスタム性は高く、フルスクラッチよりも初期費用が抑えられるというバランスによって採用されるケースも増えてきています。

    スクラッチ開発・パッケージ(SaaS)の費用・ランニングコスト比較表

    価格面の違いを比較すると、アプリ・サービスの事業規模に応じて最適な手法が変わることがわかります。

    開発手法 初期費用 ランニング 価格を決める要素
    ノーコードサービス 低い 高い DL数やユーザー数
    ローコード開発
    ※ハーフスクラッチ
    中程度 中程度 ベンダーによる
    フルスクラッチ開発 高い 低め 開発の作業量
    アジャイル開発 高め (自由) 自社の戦略

    運用コストに関してはこちらも参考にしてください:

    アプリの公開後にかかる費用とは?保守運用コストを下げる方法はある?
    アプリを開発したものの、トラブル発生時の復旧が遅延や、ユーザーのアプリアップデートの声はあるけれども費用が足りなくて対応ができない場合、ユーザーが離れていくおそれがあります。このブログでは、保守・運用を見積もる際の必要な費用の内訳や金額、開発費用を抑えるポイントをご紹介しておりますので、ぜひご参考にしていただければと思います。
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    フルスクラッチ開発の初期費用とランニングコスト

    フルスクラッチ開発では、「どんなアプリをゼロから構築するのか」という企画を整理したのち、作業量に応じて初期費用が算出されます。

    ノーコード開発に比べると安くはなりがちですが、初期費用の金額の差と比較すると企業の負担は大きいといえます。
    さらに、
    ウォーターフォール型とアジャイル型を選択するかで、ランニングコストが変わることも注目すべきポイントです。

    ウォーターフォール型

    運用コストに関しては、ユーザー数や保守・運用をどこまでやるか/やってもらうかによって左右されます。
    またリリース後に「こんな機能が欲しい」と
    追加開発の要望が出た場合は、別途予算が必要になります。

    アジャイル型

    アジャイル開発もフルスクラッチ開発の一種なので、iOS/Android アプリの開発の総予算という意味では変化はありません。
    ですが、
    毎月の運用コスト+追加開発費用の上限を設定しておくのが一般的なので、予算は管理しやすいです。

    パッケージ(SaaS)を使ったノーコード開発の開発費用・ランニングコスト

    ノーコード開発の場合、アプリをゼロから構築する作業がないため、初期費用はスクラッチ開発より安くなります。

    DXの第一歩やスモールスタートの新規事業など、あまり予算が取れないという場合には予算感が合いやすいといえます。

    また一般的に、ノーコード開発のランニングコストはやや高めに感じられることが多くなりますが、iOS/Android の OS アップデート対応など保守運用費用も含まれていることが特徴です。
    さらに、スクラッチ開発で構築したアプリが「資産」となって減価償却の対象になる一方で、パッケージ(SaaS)でアプリを構築した場合は法人税などの面でもメリットがあります。

    以下の記事ではスクラッチ開発とパッケージのアプリ開発予算組みにおける違いについて解説しております。予算組みについてお困りの方は、ぜひご一読ください。

    スマホアプリ開発の予算組みは五年計画? 減価償却・法人税など、長期的な事業計画に影響を与えるポイント
    アプリ開発では事業計画を立てる上でも Web とは異なるポイントがあります。本記事では新規アプリ事業の予算組みを控えている担当者の方向けに、そんなポイントをご紹介します。
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    ローコード開発(ハーフスクラッチ開発)の初期費用とコスト

    ノーコード開発とは異なり、基本となるベースアプリをクライアントごとにカスタムするので、開発時もリリース後も柔軟にカスタムできることがこの開発手法の強みとなります。
    従って
    カスタム開発費用がかかるため、ノーコードで済ませる場合よりも初期費用は比較的高くなります。

    スクラッチ開発 or パッケージ(SaaS)、結局どっちがいい?選択の決め手とは

    アプリを開発する際、スクラッチ開発とパッケージ(ノーコード)開発のどちらを選択すべきか悩んでいる方々に向けて、決め手となる重要な2つのポイントを紹介します。

    1. パッケージで実現できない機能があるのか

    アプリを開発する際、まず考慮すべきポイントは、アプリに求められる機能です。
    独自の機能や要件がある場合、スクラッチ開発が必要かもしれません。
    パッケージ(Saas)は、一般的な業務プロセスをサポートするために設計されており、カスタマイズ性が制限されていることがあります。したがって、
    アプリに特定のカスタム機能が必要な場合、スクラッチ開発が適している場合が多いでしょう。

    2. アプリの導入時期

    アプリを導入するタイミングも重要な要因です。パッケージ導入やローコード開発であれば、迅速にアプリを構築してリリースしやすいので、スピードが重要な場合は選択肢として適切です。

    一方、フルスクラッチ開発(特にウォーターフォール型)は開発に時間がかかる傾向があり、導入には時間がかかる可能性が高くなります。
    アプリ導入の緊急性とスケジュールに応じて、どのアプローチが適しているかを考慮しましょう。

    アプリ開発の失敗パターンについて興味がありますか?

    以下の資料では、初めてアプリ事業に挑む担当者が最初におさえておくべきポイントを丁寧にまとめました。アプリ導入担当者になったけれど、何から手をつけて良いのか分からない、先に失敗しやすいポイントを知りたいといった方は、ぜひこちらからご覧ください。

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    さいごに

    すべての開発手法・契約パターンにはそれぞれメリットもデメリットもあるため、一概に「迷ったらこうすれば上手くいく」とは言い難いのが実情です。

    バックアップでは、お客様が検討しているアプリの企画やご予算に応じて最適な手段およびリリースするアプリのイメージをご提案いたします。

    さらに当社では、アプリ事業の立ち上げ時にはテンプレートで安価にアプリを構築し、事業の成長後には受託に近い形で作りこめるノーコード兼ローコード開発プラットフォーム「Pasta」を開発しました。

    「Pasta」ではスクラッチ開発・パッケージ両方でのアプリ開発に対応しながらプログラミング不要でカスタマイズや幅広いアプリマーケティング施策も可能になりますので、お困りの際は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

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