(2025 年 12 月更新)
初めてアプリ事業を検討する際に、「WebView(ウェブビュー)」という言葉を耳にはするものの、意味がよく理解できていないというご相談は多いです。
アプリ事業とは切っても切り離せない技術なので、アプリ事業を始める上では、そのメリット・デメリットを正しく理解しておくことが大切になります。
そこで、本記事ではアプリ企画・設計を始める前にまず知っておきたい WebView のメリットとデメリット、Web ブラウザアプリとの違い・比較を含めて基礎知識を解説していきます。
1. WebView(ウェブビュー)とは?をわかりやすく解説

WebView とは、スマホのネイティブアプリ(iOS/Android OS)独自のアプリ内ブラウザで、Google Chrome や Safari などとは違う仕様でデータを処理して、既存の Web ページを表示する仕組みです。
Chrome/Safari など Web ブラウザアプリでは、Web サイトを読み込んでいるときに https://backapp.co.jp/blog/ のような URL(オンライン上の住所)やブックマークボタンなどが表示されます。
対して、企業がアプリを開発した際に WebView で同じページを表示させた場合は、画面の上部(ヘッダー)はアプリ独自でデザインできます。ヘッダーがロゴのみなどシンプルなデザインであれば、図のようにそのままページ内容だけを表示できます。普段の Web サイトの見え方とは異なるので、ここだけを見るとアプリの中で独自のページを表示しているように感じるかもしれません。
ただし、html/css/javascript などのコードによって既に記述されている Web ページをスマホアプリ内で読み込むだけなので、Web ブラウザアプリと自社アプリ(のアプリ内ブラウザ)でページ全体の中身・見え方の違いはありません。 当然、読み込んでいる Web サイトが更新されると、アプリを起動・更新した際には更新された新しい画面がすぐに表示されます。
いわゆる「ウェブビュー(メイン)のアプリ」とは、基本的には Web サイトと同じコンテンツをそのまま読み込みながら、多少の付加価値をつけて iOS/Android アプリ化するというものです。
ネイティブアプリの中の WebView 部分の見分け方
アプリ内ブラウザで既存の Web ページを読み込んでいる場合でも、アドレスバーなどが消えるため、ひと目で分かるわけではありません。
ただ、Chrome/Safari でその企業の Web サイトを確認し、スマホサイトのページデザインがアプリと全く同じ場合は、WebView で読み込んでいる可能性が高いといえます。
一般的ではありませんが、作り方や通信環境などにより、ハンバーガーメニューのボタンがほんの一瞬表示されることがあったりもします。
WebView 機能を活用したアプリの構築例
WebView 機能は、ゲームやツールアプリをのぞくほとんどの企業アプリで活用されています。
たとえば、小売企業が EC を含めたアプリを構築する場合、
- 店舗や商品の一覧画面:自動的にリスト表示+絞り込み可能
- 店舗や商品の検索画面:ネイティブ(スマホアプリ独自の開発)で構築
- 店舗や商品の詳細ページ:既存の Web ページに飛ぶ
といった使い分けはよくある事例といえます。
店舗検索ページでは現在地からのマップ表示など、商品検索ページでは読み込み速度などの使いやすさが重要になるため、iOS/Android OS それぞれでの開発を行う事例が多いです。
店舗詳細ページでは、大型連休中の各店舗の営業時間などを更新する際、Web とアプリそれぞれを更新するのは手間がかかります。WebView のページであれば運用がスムーズになるため、情報を伝えるなど一部の目的であればメリットが大きいのです。
2. WebView メインで自社アプリを構築するメリット・デメリット
一般的な傾向としては
| WebView メインのアプリ | ネイティブ構築が多いアプリ | |
| メリット | ・開発量が減るため、開発費用が下がる ・Web を更新すればアプリも更新されるので、更新がラクになる |
・動作速度を速くしやすい |
| デメリット | ・動作が重くなりがち ・「アプリを使う意味」を生み出しづらい |
・開発費用が高くなりがち ・更新しやすさは開発ベンダーの工夫次第 |
となります。ただし、開発費用の低さ以外には補足説明が必要になります。
WebView 主体でアプリを構築する最大のメリット:更新しやすさ
WebView メインで構築したアプリは Web サイトを更新すれば自動で反映されるので、アプリの更新にかかる労力は削減できます。
また、「flutter flow」などのノーコードサービスを使ってアプリの各画面をネイティブで構築した場合、画面を更新する際にアプリのアップデート=App Store/Google Play の審査が必要になる場合もあるので、一般的には WebView メインのほうが更新性は高い傾向にあります。
ただし、ネイティブで構築した画面でも、API 連携やスクレイピングなどの技術を使えば Web サイトの更新をアプリ内に自動で同期させることは可能です。ですので、「WebView でなければ更新が二度手間になる」というわけではありません。
たとえば、当社のアプリプラットフォーム「Pasta」では、ネイティブで構築した画面の中で既存の Web サイトの記事コンテンツや商品情報などを表示・更新させることができます。

参考(当社製品アップデート情報)
- 既存のWebからデータを同期する機能について
- WordPressと連携して、既存のWebメディアの記事を自動で取得できます
- Shopifyと連携して、既存のECサイトの商品一覧などを自動で取得できます
WebView 主体でアプリを構築するデメリット:動作速度について
Android アプリは Java/Kotlin、iOS アプリは Swift/Object-C という、それぞれ Web(html/css/Javascript など)とは異なるコードで開発されます。
Kotlin や Swift で構築されているネイティブ部分と比較すると、WebView 部分は html などのコードをアプリで表示するために処理するので、動作が遅くなる傾向にあります。
ですので、世の中の WebView メインのアプリは、ネイティブ部分が多いアプリに比べて「もっさり」したアプリの割合が高いです。
ただし、あくまで既存の Web サイトをネイティブアプリのブラウザで読み込んでいるという仕組みなので、既存の Web サイトの品質が高い場合は、ユーザー体験はさほど悪くなりません。
さらに、月額数万円など格安のパッケージで iOS/Android のネイティブアプリを提供するサービスの場合、ネイティブで構築しているのに開発品質が原因でむしろ動作速度が遅くなるというリスクもあります。
3. 既存のWebをアプリ内ブラウザで読み込むだけでも価値はあるの?(WebView の注意点)
WebView メインで構築したアプリは、普段から自社の Web/SNS をよく見てくれている顧客や EC サイトで買い物をしたことがある顧客にとっては「見たことがある内容」が多くなります。
ですので、アプリの企画段階で「このアプリをインストールし、普段から使ってもらえるだろうか」というご相談を受けることが多いです。
しかし、WebView 主体でもネイティブアプリでできることは意外に多く、
- スマートフォンのホーム画面から 1 タップで起動できる
- 端末でユーザーを識別できるため、会員登録をしていないゲスト状態でもコンテンツや店舗のお気に入り登録ができ、迷いづらい
- 端末内にパスワードを保存し、2 回目以降の会員ログインの手間を省ける
- プッシュ配信によって、継続的に接点を創出できる(LINE と比較すると、タップした際の遷移先を指定できる点がメリット)
- デジタル会員証やクーポンなど、コンテンツ以外の機能をつけられる
など、アプリならではの価値も付与することができます。
開発するアプリの業界・業態における先行事例を研究し、「型」を外さないデザイン・UI/UX や機能設計を行うことで、既存の Web を活かしたアプリでも顧客に継続的に使ってもらうことは十分に可能といえます。
さらに、多くの統計・調査データで「EC アプリは、Web ブラウザアプリ (Chrome, Safari) で Web サイトを閲覧している場合に比べて、購買につながりやすい」という傾向も明らかになっています。
滞在時間や購買率は「アプリ>Web」
既存の Web ページを開く際に自社アプリから離れて Chrome や Safari(別のアプリ)を起動するよりも、アプリ内ブラウザでそのまま同じアプリに滞在してもらうほうが滞在時間が伸び、購買行動につながりやすいというメリットがあります。
一般的に、アプリは Web に比べて閲覧時間が長く、購買行動にもつながりやすいというデータがあります。すべてをネイティブで構築しなくとも既存の Web を生かしながら滞在時間の長いアプリを作れるため、WebView は多くの iOS/Android アプリでは欠かせない機能となっています。
特にネイティブアプリの黎明期から、「EC 事業者はアプリ化のメリットが大きい」と語られています。
滞在時間やカート追加率なども高くなる上に、EC サイトをスマホの Web ブラウザアプリで読み込んでいる場合と、WebView(アプリ内ブラウザ)を活用した EC アプリを使っている場合で、CV(購買完了)率に大きな違いがある というデータがあるからです。
Criteo の 2018 年レポートでは、モバイルブラウザで 3%、アプリでは 20% とされています。Adjust の同時期のレポートでも、アプリユーザーの CV 率は 12% とされています。
さらに、プッシュ通知・アプリ内メッセージ・お知らせ配信・顧客やグループごとのパーソナライズなどアプリならではの運用を適切に行うことで、購買頻度や単価も伸ばす余地があります。

参考記事
[補足] 「アプリ」と名のつくものの分類と、それぞれの解説
簡単にまとめると
大枠では Web(ブラウザで閲覧)
- Web サイト = 情報を見せるためのページ群
- Web アプリ = Web ブラウザ上で情報を見せるだけでなく、さまざまな機能を利用できるアプリケーション
- LINE ミニアプリ = LINE プラットフォーム上で動作する、LINE と連携しやすい Web アプリ
大枠ではネイティブアプリ
- フルネイティブアプリ = Web とは異なる技術で、iOS/Android それぞれの OS で動くように中身をイチから構築するアプリ。ゲームアプリなどは基本フルネイティブ
- ハイブリッドアプリ = 時代とともに定義が揺らいでいるが、flutter など開発コストを抑えてネイティブアプリを構築する手法
- WebView アプリ (俗称) = ネイティブアプリのアプリ内ブラウザで、既存の Web サイトを読み込んでいる、特に Web を読み込む部分が多いアプリ。PWA をアプリストアに並べるために作る WebView メインのアプリは「ガワアプリ」と呼ばれていたりする(俗称)
という分類となり、WebView は「アプリ内ブラウザで既存のページを表示する」という、ネイティブアプリの機能の一部となります。
初めてアプリを企画・開発する際は「アプリ」と名のつく用語が多く出てくるので、基本的知識をつけた上でベンダーとの打ち合わせに臨むとスムーズです。
より詳しい分類はこちら
まとめ + どこまで WebView に頼るか迷ったら?
初めてのアプリ事業においては、「WebView ばっかりだと良くない」「WebView のアプリは顧客にメリットがない」といった声に惑わされることも少なくありません。
注意点としては、WebView が明らかに優れた手法・ダメな手法というわけではありません。
ですので、
- WebView のメリット・デメリットを把握する
- 自社のアプリの場合、どこにこだわるか(ネイティブ化する候補になるか)をイメージする
- 最終的には設計段階から伴走してくれる開発会社に頼るのも一つの手段
など、段階を踏みながら自社の企画を固めていくことをおすすめします。
実際に当社でも、WebView メインでの安価なノーコード開発から、ネイティブ構築が多いフルスクラッチ開発まで幅広く手掛けています。
ご不明な点などありましたら相談に乗らせていただいますので、お気軽にお問い合わせください。
計 2,000 店舗以上のアプリ・EC・メディア運用支援の経験がある当社 CS 担当が、アプリの効果や費用感など気になる点について、当社で支援させていただいた企業様の事例も交えて回答いたします。もちろん、御社ならではの事情を踏まえたご質問も歓迎です。
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