何を重視すればいい?iPhone/Androidアプリ制作会社の探し方・選び方について考える

ホームページをつくる際も同じですが、アプリを社外のベンダーに外注する際も「どうやって制作会社を探せばいいのか」というお悩みはよく聞かれます。

当然ながら「絶対に失敗しない探し方・選び方」は存在しませんが、アプリ制作会社の BackApp としては「注意したほうがいい点」や「考え方」ならばいくつか提示できます。

そこで、今回は iOS/Android アプリの開発を社外に委託しようとお考えの企業様 (ご担当者様) 向けに、外注時のポイントをまとめました。

iOS/Androidアプリ・システム開発の外注先の主な探し方とは

Webサイトやシステム、アプリなどのジャンルを問わず、探し方としてはたくさんあり、

  • 知人・取引先の紹介
  • アプリ (Web サイト) 開発について調べていたときに見つけた会社に相談
  • メディアで取り上げられている会社を見て問い合わせ
  • 一括見積もりサイトを利用
  • 制作会社の名鑑・ポータルサイト類から探す
  • 展示会・相談会のようなイベントでつながった企業に後日改めて相談
  • 条件を指定し、紹介・マッチングサービスを利用する

などのパターンが挙げられます。

では、このような手法でいくつかの制作会社とやりとりを行ない、企画の相談をして見積もりを取ってもらった場合、最終的な決め手はどこになるのでしょうか。

紹介でのIT開発はリスクが高い

事業部門が主体となってITツールの導入〜システム発注をする際は、社内で紹介された(付き合いのある)社外ベンダーに依頼するというケースもあります。

しかし、ITベンダーにも専門分野があり、IT開発はWeb・アプリ・各システムなど専門領域ごとに進化していることから特化した実績が求められるようになっています。

発注ナビ株式会社の調査では「取引先や社内の人間から紹介されだベンダーにITシステムを発注した担当者の 87% が成果物に不満を感じている」というデータもあります。
参考:https://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1607/19/news021.html

ですので、まずはITベンダーの中でも「iOS/Androidの開発に強い」「○○系のアプリで多くの実績がある」といった専門性に注目することが一つのポイントといえます。

コンペ(入札形式)やアイミツ形式での外注先選び、そのメリットとデメリット

複数社に提案を受けるコンペ形式のほか、クラウドソーシングサービスや一括見積もりサイトを利用することでも複数のベンダーから提案を受けることができます。

メリットは「アプリの相場」がわかること

複数社に自社でやりたいことを伝え、具体的な提案を受けることで「どんな機能が必要になるのか」「どれくらいの予算・運用体制が必要なものなのか」といった点がイメージしやすくなります。

アプリ事業の経験がない場合は、人づてやインターネット上から「○○業界のアプリはこんな機能群になる」「開発費用はこれくらい」といった情報を得ることも多いと思います。しかし、そもそも自社とは要件が大きく異なるアプリの話ということもあるので、リアルなベンダーの提案を複数受けることは噂の検証などの意味でも役に立ちます。

コンペ・相見積もりの注意点

複数社を比較する選び方では、試作品をつくってもらえるわけでもないので、どうしても見積もり金額に目がいきがちです。

アプリ事業は多くの場合、ユーザーの数よりもエンゲージメント、つまり「熱心に自社を訪問してくれるファンをつくること」が目的になります。予算内に収めることばかり意識してしまい、低品質なアプリを公開することになると、逆にユーザーの支持を失ってしまうというリスクもあります。

「予算内におさめること」が大きな条件であったとしても、提案の内容や担当者のアプリ知識、事業モデルを理解してくれているかなど、複数の視点で検討することが重要です。

また、アプリ開発の外注に関しては「簡単に要望を聞いた程度では、100% 正確な見積もりは出せない」という問題があります。

しっかりと要件定義を行って仕様が固まる前の段階では、ざっくりとしたイメージで見積もりを計算することになります。制作会社それぞれが違う完成形を描くことで、見積もり金額があまり正確でなくなるリスクもあるのです。

参考:iPhone・Androidアプリの見積もり金額はどう決まる?外注・委託時の開発費の相場と値段の内訳とは

アプリ制作会社ではなく SaaS(クラウドサービス)を選ぶパターン

今や多くの企業に導入されている SaaS は、すでに用意されているシステムを自社に合わせてカスタムすることで自社専用のアプリを構築するため、

  • フルスクラッチ開発よりも初期費用を抑えつつ
  • 低品質なものが納品されるリスクが低く
  • その業界/業種のアプリとして定番・必須といえる機能群を網羅できる

という点が大きなメリットになります。

大手企業のサービスは特に CS(クライアントサポート)に力を入れているため、施策の実施〜データ分析まで自社だけでできるか不安…という際には選び方として悪くないといえます。

フルスクラッチ開発との違いは「拡張性」

ではなぜ、iOS/Android アプリの開発は SaaS 一色になっておらず、まだ制作会社によるフルスクラッチ開発にも多くの需要と事例があるのでしょうか。

クラウドサービスなどを利用したパッケージ型の契約では、iOS/Android アプリのリリース時点〜数ヶ月の時点では問題が起きることは少ないでしょう。

しかし、ある程度の運用していくと、「もっとこうしたい」という現場からの要望や、「こうしてほしい」というユーザーからの要望が届くようになります。

もちろん パッケージを利用しながらでもカスタマイズはできるのですが、その拡張性には限界があります。また、大幅に改修が必要になる場合は「イチからフルスクラッチで作り直したほうが早い」というケースも出てきます。

フルスクラッチ開発で iOS/Android アプリを構築すると、

  • 顧客が求めている要件
  • 現場が求めている要件(運用しやすさ)
  • 他部署が求めている要件(社内外のツールとの連携、アクセス制限など)

を考慮して初期設計〜定着後のカスタマイズを自由に行うことができるので、中〜長期的な運用をする際には適しているといえます。

SaaSとフルスクラッチ開発はどちらかが絶対的に優れているというわけではなく、自社の組織体制や事業戦略によって相性があります。複数社に提案を受けるという選び方の中では、両者の話を聞いておくのが一般的といえます。

フルスクラッチ開発のデメリットを補う「アジャイル開発」という手段も

アジャイル開発とは、フルスクラッチでITプロジェクトを進める際の手法の一つです。

要件定義の時点でアプリのすべての機能やシステムを設計するのではなく、真っ先に必要な部分だけを作って先にリリースするという手法です。

すぐにリリースして顧客の反応を見ることができるので、アプリ事業としての戦略を考え直し、その後の開発スケジュールや現行のアプリを軌道修正することもできます。

アジャイル開発では

  • 全体像を最初から決め切る必要がなく、走りながら軌道修正できるので、初期設計つまり要件定義の時点で「間違えていてもいい」
  • 毎月の予算=開発量を制限できるので、予算内でカスタマイズしていける

というメリットがあるので、発注を担当する事業部門がアプリをはじめとするITシステムの設計に慣れていない場合、あるいは社内調整・ベンダーとの打ち合わせに十分な時間が割けない場合には適しています。

アプリ制作会社の選び方に多い「担当者の知識と態度」

複数のベンダーから提案を受けていると、メリット・デメリットという点では優劣が付けづらくなり、「見積もりや、質問に対する回答が早かった」「知識が豊富で、わからないことを教えてくれた」など “担当者が信頼できるか” という視点でベンダーを選ぶケースもあります。

特に iOS/Android アプリ開発では

  • 発注側に(Web/SNSの知識はあっても)アプリの知識が乏しいことが多い
  • 高額な案件になるので、慎重に決めたい

といった背景から、「担当者がどこまで親身になってくれるか」「的確にコンサルティングしてくれるか」という点も重要になることが多いです。

社内の各部門・各視点の要望を吸い上げてまとめるのは事業部門の担当者の仕事ですが、まとめる上では技術的な視点や経験則を交えて精査する必要もあります。コンサルティングができるベンダーであれば、その段階から協力してもらうことができます。

相談相手には「ビジネスモデル」と「技術」への両方の理解が必要

一般的に、「自社のアプリでこんなことがしてみたいのですが、可能でしょうか?」と相談した際、iOS/Android およびシステム開発の知識がある担当者ほど慎重に回答する傾向にあります。

見方によっては「歯切れが悪い」「ネガティブ」という印象にもなりますが、システム開発においては慎重に検討せずに見切り発車で進めてしまうと後から “詰んでしまう” リスクもあります。二つ返事で「できます」と答える企業が必ずしも信頼できるパートナーになるわけではないといえます。

とはいえ、制作会社および担当者のスタンスが技術に偏ってしまっていると、自社の事業について理解しないまま “品質” だけを追求してしまうかもしれません。

ですので、アプリ開発を相談するITベンダーには

  • 技術的に実現できるか、どんなリスクがあるかを把握していること(同様の実装経験)
  • 技術だけでなく、自社のビジネスモデルを理解した上で考えてくれること

の両方が求められます。

では結局、失敗しづらいアプリ制作会社の探し方とは?

アプリ開発においては、

  • 簡単ではないので、紹介された 1〜2 社で済ませるのはリスクがある
  • 制作会社を探すだけでなく、クラウドサービス(SaaS)を選ぶという選択肢も
  • アプリに詳しい人材が社内に少ない場合は、企画〜設計時からコンサルティングできるパートナーを選ぶほうがよい

ということをまず念頭に入れておきましょう。

アプリに限らず、外注先の制作会社を選ぶということは就職・転職活動と似ている部分もあると思います。「給料が高いから (→昇給・賞与が低かった)」「リクルーターや面接担当者が優しかったから (→現場はまったく違う雰囲気だった、決め手となった社員が退職していた)」といった理由で就職先を選ぶことが必ずしも成功につながるわけではありません。

当然、我々制作会社からしても「うちに任せていただければ絶対に安心です」と言えるわけではありませんので、ぜひ複数の会社から具体的な話を聞いてみてほしいと考えています。特にベンダーへの外部委託の経験が浅いうちは、じっくり考えることで信頼できる外注先の条件が見えてくるのではないかと思います。

アプリ開発と運用にかかる予算とは?
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  • 「ノーコードって実はよくわからない部分もあって…」
  • 「格安パッケージは不安だけど、実績ある企業だとそこまで安いわけでもないし…でも、そうなるとオーダーメイドとの違いはどこにあるんだろう?」

といったお悩みを抱える方や、iOS/Android アプリの開発プロジェクトを初めて経験する担当者の方などに向けたお役立ち資料を公開しています。