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アプリ事業のKPIは「リテンション率」と「アクティブ率(DAU/MAU比率)」がポイント

アプリで失敗しないためのポイント
2022.04.21
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    iOS/Android アプリを初めて自社で構築〜運用する場合は、「ダウンロードしてもらうのが大変そう」というイメージを持たれることが多いものです。

    しかし、ダウンロード数も重要ではありますが、アプリ事業では「ユーザー数(インストール数)」以上に「アクティブユーザー数(率)」が重要になります。

    そこで、本記事ではアプリ事業で KPI になることが多い指標と、相場の水準まで上げるポイントをまとめます。

    1. アプリ事業の KPI でよく設定される指標

    iOS/Android アプリを開発して売上につなげるためには

    • 毎日〜毎月、ある程度のユーザーがアプリを起動する(一定のアクティブユーザー= AU 数)
    • AU の中の一定数がアプリ経由で購買につながる行動をしてくれる

    という条件が必要なので、KPI としては AU 数や「リテンション率」「アクティブ率」が鍵になります。

    また、iOS/Android アプリ単体で事業として扱われている場合は「ARPU」も重要になります。それぞれの指標について意味をまとめていきます。

    図 - KPI ツリー

    1-1. アクティブユーザー(DAU/WAU/MAU) の違いとは

    それぞれ Daily/Weekly/Monthly Active User の略称です。

    DAU は特定の 1 日に 1 回以上、MAU は 1 ヶ月間で 1 回以上アプリを起動した(休眠・アンインストールしていない)ユーザーの数を指します。

    1-2. リテンションとは?リピートとの違い

    リテンションとは、既存顧客との関係を維持することです。基本的には一定期間内のリピート(再訪)率を高めることでリテンション率が向上するといえます。

    Web 事業では「再訪問されるかどうか」「購買まで至るかどうか」が重要ですが、アプリ事業では Web 以上に訪問/購買頻度や顧客単価を高めることが狙えます。

    ですので、「アクティブ率を高め、アプリの初回起動から 30 日間のリテンションを高めよう」という KPI を考えるケースが多くなります。

    1-3. アクティブ率とは? DAU/MAU 比率を指す場合と、異なる場合が存在

    アクティブ率はリテンション率と似ていますが、より顧客の囲い込み・エンゲージメント視点で一歩踏み込んだ指標になります。

    企業・事業ごとに定義が異なりますが、多くの場合は

    • 累計ダウンロード数に対する現在の MAU 数の割合
    • DAU/MAU の比率

    の二種類がアクティブ率として扱われます。

    前者では「インストールしただけで使っていない顧客がどれだけいるか」が、後者では「定期的に使ってくれる顧客は、どれだけ頻繁に使ってくれているか」が分析できます。

    ※たとえば後者のみを「アクティブ率」と呼び、前者を「休眠率」と呼ぶなど、企業によって KPI 指標の定義が変わります。

    また、アクティブ率をさらにユーザー視点で考え抜き、「ユーザーの行動量」を KPI に落とし込む NSM というフレームワークもあります。
    参考:https://note.com/amplitude/n/n5dae993de2ac

    1-4. コンバージョン率(CVR)とは

    コンバージョン(CV)とは、アプリに限らず、デジタルマーケティングにおいて「成果」を意味する言葉です。「商品の購入」「来店予約」「有料会員登録」など、アプリ事業が何を目的にしているかによって、各社・各チームでの CV の定義は変わります。

    また、直前の画面からのコンバージョン率を「CVR (Conversion Rate)」と略すことも多いです。

    1-5. PUR/APRU/AFRPUとは? 違いは単位

    PUR(Paid User Rate)
    全ユーザーにおける課金ユーザーの割合、つまり課金率を表します。

    ARPPU(Average Revenue Per Paid User)
    有料ユーザー1人あたりの平均収益をあらわす指標です。

    ARPU(Average Revenue Per User)
    全ユーザー1人あたりの平均売上金額です。

    EC・サブスクリプション型事業などは、アクティブ率や CVR を高めてから ARPU を上げる取り組みも重要になります。

    2. 初めてのアプリ事業で特に重要な KPI は「30 日間のリテンション」

    アプリ事業を始める際にはたくさんの略語・指標が出てくるので、戸惑うことは多いといえます。

    KPI を考える上では、複数ある中で優先順位をつけることが重要です。そして、iOS/Android アプリ事業においてはまずリテンションとアクティブ率を平均水準まで引き上げ、維持することがポイントです。

    2022 年に公開された Apptentive の調査レポートでは、顧客がアプリをダウンロードしてから最初の 30 日間のリテンション率が LTV に大きく影響すると書かれています。

    ※ LTV (Life Time Value) とは
    企業目線では「あるユーザーが、自社アプリをきっかけにどれだけの価値を生み出してくれるか」を指す。
    1人あるいは1社の顧客が自社と取引を開始してから終わるまで(顧客ライフサイクル)の間に、どれだけの利益をもたらしてくれるのか、顧客から得られる利益の総額。

    また、Appflyer の調査レポートでは、顧客がアプリをアンインストールする割合が高いのは「ダウンロードしてから 24 時間以内」と記されています。

    参考:

    図 - まとめ

    3. アクティブ率の目安と、平均水準を上げるための施策

    「MAU/総 DL 数」で計算されるアクティブ率(100 - 休眠率)は、30 日語に 70〜80%、半年後に 50〜60% が平均とされています。まずはこれらを目安に初期の KPI を考えられます。

    参考:Yappli - アプリの規模別にみる、DL数の推移とアクティブ率調査データ〜リテール・EC業界編【2021年版】

    一方、「DAU/MAU 比」で表されるアクティブ率の相場は「40% 以上なら優秀、20% 以下なら低い」という風に伝えられがちですが、こちらは業種・企業ごとの差が大きいです。

    起動するきっかけが多いニュースアプリや SNS では 50〜75% に達する事例もありますが、企業アプリ・会員向けアプリや来店頻度/買い替え・買い足し頻度が低い商材(例:メガネや家電)を扱う小売/EC アプリなどでは、そもそもユーザーが頻繁に起動するきっかけを作りづらいからです。

    ですので、DAU/MAU 比率に関しては社内で話し合った上で KPI となる水準を決めることが多いです。

    3-1. バケツの穴(離脱・休眠する理由)を塞ぎ、再訪するきっかけを作る

    アクティブ率を上げ、平均以上に維持するためには、まずユーザーが離脱している原因を探ることが重要になります。

    一つの手段としては、自社のアプリの中でユーザーに取ってほしい行動(ページ移動や、一定期間内の再訪)を洗い出し、カスタマージャーニーとして順序をつけていくことです。

    そして、Google Analytics あるいは専用のアプリ構築・分析ツールの中で、各ファネルの通過率を洗い出します。

    図:ファネル分析の例

    ※ARPU/ARPPU を KPI にしているアプリ事業でも、カートや決済・サブスクリプション申し込み画面などを通過点にした上記のようなファネル分析が重要になります

    ここで、穴を塞ぐ手段としては

    • ユーザーが迷いづらいデザインへの改良
    • バナーやボタンの文言を改良(いわゆる UX ライティング)
    • アプリ内メッセージを使ってポップアップメッセージで訴求
    • 起動速度など、そもそもの品質の向上(※離脱が多い画面に限らない)

    といった手段が考えられます。課題を抽出し、最適な施策を回しながら検証していきましょう。

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    3-2. リテンション率向上のためには「攻めのプッシュ通知」運用

    バケツの穴を塞ぎながら、“攻め” の施策を打つことも重要です。

    iOS/Android アプリの PUSH 配信は、ただ新着のお知らせを送信するだけのものではありません。

    • 顧客をセグメントやランクで分け、グループごとに最適な情報を配信
    • 会員システム/EC データベースから顧客グループをインポートして配信
    • 誕生日の顧客にクーポン付きのプッシュ通知を自動で配信
    • EC などの特定アイテムをお気に入りやカートに入れているユーザーのみに対して、在庫が少なくなった場合やセールが始まった際に自動で配信
    • 来場予約・コンテンツ視聴予約が迫ったときにリマインド通知を自動で配信

    など、さまざまなプッシュ通知を届けることができます。これらの PUSH 配信を使い分け、KPI 達成のためにユーザーの再訪を促すことが鍵になります。

    ただ、構築済のシステムや契約しているパッケージ(ノーコードサービス)によっては、すべての種類のプッシュ配信に対応していない場合もあります。

    今からアプリを構築する場合や、現行のシステムが大きなボトルネックになっている場合は、PUSH 配信に関する機能についてより精査することをおすすめします。

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    (補足)4. KPI を追う体制のためには一定のアクティブユーザー数を稼ぐことも必要

    アプリ事業では、「集客」より「リテンション」「離脱防止」を優先して分析とマーケティング施策を回すのがセオリーです。顧客の獲得コストが Web/SNS に比べて高いため、バケツに穴が開いた状態=アクティブ率が低い状態のアプリで集客を頑張っても、広告宣伝費用が無駄になってしまうからです。

    とはえ、一定のユーザー数、ダウンロード数を稼ぐことも欠かせません。

    1. 複数の集客手段(広告以外を含む)を確立する
    2. 24 時間以内の離脱・アンインストール率を相場程度に落ち着ける
    3. App Store/Google Play のレビュー点数を 3.0 以上にする

    という流れも軽くおさらいしておきましょう。

    4-1. 集客手段は複数試していく

    Appflyer の調査レポートでは、広告の精度向上により、広告経由で獲得したユーザーでもリテンションや CV 率、LTV が下がることは減ってきたとされています。

    一方で、競争の激化によりアプリインストールにかかる広告費用の相場は激しく高騰しているとも書かれています。

    ですので、実店舗/施設での POP・チラシ配布や Web サイトからの誘導など、広告以外の集客手段を獲得することも現代では欠かせなくなっています。

    また、アプリ事業の KPI はあくまでユーザー数ではなくアクティブ率や CVR なので、ユーザーの獲得単価が安い集客手段ではなく、獲得単価とアクティブ率・CVR のバランスがいい集客手段を見極めて注力することが重要です。

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    4-2. App Store/Google Play のレビュー点数に要注意

    Apptentive のレポートでは、毎年のバージョンで「アプリストアのレビュー点数によって、ユーザーがダウンロードしてくれるかどうかが変わる」という同じグラフを紹介しています。

    星 3.0〜3.9 という評価を見たユーザーのダウンロード率が 50% に対して、2 点台になると大きく下がってしまうとのことです。

    図 - あのグラフ

    出典:Apptentive - 2022 Mobile Customer Engagement Benchmark Report

    また、特に日本では

    • 満足しているユーザーほど黙って使い続ける
    • アプリに対して強い不満を持った少数のユーザーが低評価のレビューを投稿する

    という傾向があり、何も対策していないと App Store/Google Play の平均点が下がってしまうリスクがあります。

    ですので、ユーザーがポジティブな気持ちになっていると推測されるタイミングを見計らってレビュー投稿を促進するポップアップ(アプリ内メッセージ)を出すといった施策も各社で行われています。

    参考:ストア評価★4.0以上のアプリが実践しているレビュー施策をまとめてみた (note)

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