iOS/Androidアプリを譲渡またはアカウントを移行する方法 (2018年末版)

「Web・アプリ部門を分社化し、別名義で公開し直すことになった」「アプリを他社に売却・譲渡することになった」「個人アカウントで公開していたアプリを、新たにつくる法人アカウントで公開し直したい」など、すでに公開している iOS/Android アプリの提供元を変更する場面に出くわすこともあります。

アプリを譲るといっても、当然ながらただソースコードを譲渡すればいいわけではありません。ある程度の期間にわたって運用をしてきたアプリにはユーザーからのレビューやダウンロード推移のレポートといったデータが蓄積されています。

そこで、今回は App Store / Google Play からアプリを削除することなく、別のアカウントへ移行する手順をまとめました。

※補足: 譲渡・売却側がスタートアップ企業などで、アプリを一つしかリリースしていない場合は、アカウント自体を売却するというやり方でも良いと思います。今回の記事は「譲渡する側が複数のアプリを公開中で、そのうちの一つを移行する場合」を想定しています。

移行したときに残るものと消えるもの

移行されるもの

  • アプリのユーザー
  • これまでのダウンロードの統計情報
  • アプリの評価点(星)・レビューコメント
  • コンテンツのレーティング
  • ストアの掲載情報

移行されない・使えなくなるもの

  • 売上・収益レポート
  • iOS の App バンドル利用履歴(セット販売、サブスクリプション型での販売履歴)
  • iOS の証明書やキーチェーン(重要なので後述します)

アプリが新しいアカウントに移行すると、移行完了時点からの新しいレポートが作成されます。
あくまで「譲渡してからのレポート」になるので、譲渡される企業側が過去の運用データを参考にしたいという場合は、譲渡前にエクスポートしておく必要があります。

Android アプリの譲渡・アカウント移行のやり方

まずは比較的シンプルで、公式ドキュメントも充実している Android からご説明します。iOS と両方行なう場合、こちらのほうがわかりやすく、スムーズに進められるとは思います(再公開のタイミングを揃えたい場合は iOS の各種問題を片付けてからのほうがいいのですが…)。

Android アプリ譲渡・アカウント移行の手順

公式にマニュアルが用意されていますが、流れとしては下記の通りです。

  1. 移行を行なう 2 つのアカウントの Google 注文番号を控えておく
  2. 有料アプリ・課金ありのアプリの場合、譲渡先のアカウントを「販売できるように」準備してもらう(設定されていない場合のみ)
  3. Google Analytics など一部のサービスを使っている場合、それぞれ個別の対応を行なう
  4. アカウントの移行を Google に申請

Google 注文番号は、GooglePlay developer に登録した際(料金を支払って決済が完了した際)の確認メールに記載されています。登録したアドレスのメールボックスを「Google – Google Play」などで検索すると出てくると思います。

メールが見つからない場合、Google Payments から Google への支払い履歴が見られるので、こちらを検索してください。

当然ながら、譲渡を受ける側の企業がまだ Android アプリをリリースしたことがない場合は Google Developer Program への登録が必要になります。

参考:Android アプリの公開に必須!GooglePlay Developer 申請・登録方法(個人・法人共通)

有料アプリ or 課金要素のあるアプリの場合

有料アプリ、あるいはアプリ内購入があるアプリの場合は、移行先・譲渡先の Google Developer アカウントで収益を受け取れるよう、”販売” 用にセットアップしておく必要があります(※この振込先情報は変更ができないので、既に使っているアカウントを修正して使うことはできません)。

参考:Google Play デベロッパー アカウントを支払いプロフィールにリンクする (Google 公式ヘルプ)

Analytics などのサービスを導入している場合

移行先のアカウントへの権限の追加など、固有の対応が必要になるアプリがあります。具体的には

  • Google Analytics
  • その他 Google API(Google+ ログインなど)
  • Firebase
  • 広告関連の SDK
  • Google Play の翻訳サービス

を利用している Android アプリ、あるいは企業内の業務アプリなど限定公開されているものです。

これらに該当する場合、Google 公式ドキュメント を参照の上、対応してください(「手順 5: 統合サービスを利用するアカウントとアプリを更新する」というタブ参照)。


※ 上記までのプロセスを終えたら、申請フォームより「移行リクエストを送信」してください。

iOS アプリのアカウント変更は App Transfer から

次は iOS について要点をまとめます。iPhone/iPad アプリ最大のポイントは、

  • 「iCloud エンタイトルメント」「Passbook エンタイトルメント」のいずれかを使用したことがある場合は譲渡ができない
  • 譲渡前のキーチェーンにはアクセスできなくなる

という二点です (2018 年時点)。

譲渡条件では、過去に NG 対象だった自動継続課金が OK になった経緯もあり、いずれこれらの縛りはなくなるかもしれません。App Store Connect ヘルプの「アプリ譲渡の条件」をチェックしておきましょう。

キーチェーンに関しては、アップデート後にも機能自体を使うことはできますが、ユーザーの情報は初期化されてしまうというデメリットがあります。現時点での対応は「一時的に NSUserDefault を使う」となりますが、譲渡先の企業としっかり話し合ったほうがいいかと思います。

App Transfer を使った iPhone/iPad アプリ譲渡の手順

iOS の場合、流れとしては

  1. 移行を行なう 2 つのアカウントの Apple ID を控えておく
  2. プッシュ通知などを使っている場合の個別対応
  3. アカウントの移行を App Transfer から行なう
  4. アプリの譲渡を承認する (60 日以内)

というプロセスになります。Android の際の注文番号が Apple ID に変わります。iOS アプリは Bundle ID で識別されるため、譲渡しても変更はありません。

iOS アプリの企業間取引の場合(譲渡側企業の人間に一時的とはいえ権限を与えたくない場合)、相手側で承認作業を行なってもらうことになります。

また、iOS も譲渡を受ける側が Apple Developer Program の登録が必要で、期限が切れていた場合は更新が必要です。現状自動更新は設定できないのでご注意ください。

参考:【保存版】Apple DeveloperProgram 申請・登録方法と更新の流れ(法人の手順もあり)

iOS アプリ固有の機能を使っている際に必要な対応

アプリ内の機能として自動更新登録を使用している iOS アプリは、Android と同様に固有の対応が必要になります。

また、

  • プッシュ通知
  • Apple Pay
  • Game Center グループ

を使用しているアプリは、譲渡先の開発者がその後のアップデート時に対応を求められるので、通知しておくほうがスムーズかと思います。特にプッシュ通知(証明書関連)はアプリ開発経験が浅いチームにとって悩みの種になりがちなので、意識しておくことをおすすめします。

やるべきことは公式ヘルプの「アプリ譲渡の概要」を参照してください。

また、譲渡・移行先の相手にはその後のアップデートで設定を変更しないよう伝えておく必要があります。

事前対応を終えたら移行作業へ

譲渡する側

  1. App Store Connect ホーム画面から「マイ App」をクリック
  2. 譲渡する App を選択
  3. 「App 情報」ページを開き、「追加情報」 > 「App の譲渡」 > 「完了」を押下

承認する側

正しく譲渡作業が行われた場合、アプリの移行先に指定されたアカウントの「契約/税金/口座情報」ページの「Agreements (契約)」セクションに、App 譲渡のリクエストが表示されます。

  1. 「App Transfers (App の譲渡)」 > 「Review (レビュー)」を押下
  2. 新しいメタデータを入力し、「承認」

処理に数日かかるようですが、こちらで作業は完了となります。

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