iOS/Android のアプリを単体で事業化しようと思うと、In-app-purchase(アプリ内課金)での収益が柱になります。
さらに、近年では「ゲーム以外の to C 向けアプリの消費支出の 96% はサブスク課金を持つアプリが占めている」という調査データもあり、月額プランや年間プランのサブスクリプションに関する知見とマーケティングノウハウも欠かせなくなっています。
そこで本記事では、一万件以上のアプリから分析した RevenueCat に加え、プッシュ配信ツールの Pushwoosh、サブスク最適化ツールの adapty などのブログの内容をまとめていきます。
参考リンク
1. アプリのインストールからサブスク購入に至る割合
アプリのインストールからサブスク課金に至る割合は、複数社の統計データが「約 2%」で一致しています。
サブスクリプションの購入率を上げるための工夫は何種類かありますが、「最初の 3 ヵ月間は月額 1 ドル」のように破格のオファーを出す手法が一般的です。
アメリカの大手スポーツメディアは「12 ヵ月間・月額 1 ドルで有料記事を読める」というキャンペーンを展開しているように、短期的な収支を気にせずに購読者数を増やす企業もあります。
1-1. 無料トライアル期間があるアプリも多いが…
サブスクリプションで課金してもらう前に、無料トライアルを設ける企業も多いです。
adapty のデータでは、無料トライアルからサブスク課金に至る割合は10~29%(1ヶ月プランだと29%、1年プランだと10%)となっており、Google の調査では「17% の加入者が無料試用期間が終了したときに加入したことを認めている」と書かれています。
一方、アプリのDLから無料トライアルに至る割合は 3.6% と、通常の CVR 並に低くなっています。 これは「無料トライアル」といっても決済手段の登録が必要なことが多いため、ユーザーにとっては心理的な抵抗が大きいといった原因が考えられます。
1-2. 無課金のアクティブユーザー→サブスク会員への転換は可能なのか?
ゲームアプリでは公言するユーザーも多いですが、「アプリ自体は日常的に起動するか、課金はしない」というアクティブな無課金ユーザーへのアプローチはどうでしょうか。
Pushwoosh は「成功すればリターンは大きい」と書いていますが、「より多くのリソースが必要になる場合がある」とも書いています。
課金はせずにアクティブにアプリを使っているユーザーに対して、PUSH 配信やアプリ内メッセージで有料プランをおすすめするという施策も一般的です。特に「今なら 30%OFF の限定オファー」など、特典をつける企業も多いです。
ただし、Pushwoosh は「強引な勧誘は NG」と強調しています。あまり練られていないシンプルな PUSH 配信で有料プランへの切り替えを薦めた場合、ARPU が 11% 低くなったという事例があるようです。
顧客のセグメントに応じて通知配信のタイミングやクリエイティブを出し分けるなど、アプリ内マーケティングの工夫が求められることに注意しましょう。
また、adapty の調査では、ほとんどの業種のアプリでは「値引きオファー」よりも「有料プラン限定のコンテンツや機能」が重要だという結果になっており、単なるお得感では動きづらいことが分かります。
参考:https://adapty.io/blog/top-reasons-mobile-app-users-go-from-freemium-to-premium
※冒頭のグラフ参照
2. アプリ内課金でのサブスク契約をしたユーザーの継続率
RevenueCat の統計データでは
- 月額サブスクリプションの「最初の更新率(2ヶ月目~)」は、中央値で 56%
- 月額サブスクリプションの「1 年後の維持率」は、中央値で 11%
- 年間サブスクリプションの維持率、つまり「最初の更新率(2年目~)」は、中央値で 27%
となっています。
無料トライアルからサブスク購入に至る割合は 月間プラン>>年間プラン という差がありましたが、一年後維持率では(順当ですが)逆になっています。
また、アプリの性質上、一年後にも定着しているユーザーはアクティブ率や契約の継続率も高くなっていくという調査データは各社から発表されています。
つまり、事業の PMF 具合(アプリの有料部分にお金を払う価値を感じてもらえているのか)を測るためには月額プランのサブスク課金率を注視したくなるものですが、中長期的な事業成長を考えると年間プランの契約ユーザーを増やしていくほうが効果的だということも言えるようです。
3. 各社が提言する、サブスク購入率と継続率を上げるためのポイント
サブスクリプションの購入に至る動機は
- ポジティブ由来:ユーザーがメリットを理解し、価値を見出したとき
- ネガティブ由来:エクスペリエンスに摩擦があるとき(広告をスキップできない、写真加工を楽しむことはできるが、ファイルをエクスポートできないなど)
の二種類があります。
アプリのジャンル・機能性、企業の業態によっても最適な動機付けは変わってくるので、海外のサブスク最適化ツールの事例コンテンツなどを探すことをおすすめします。
3-1. 既存の課金ユーザーの解約率を下げるためのポイント
解約の原因は
- 機能・UX が価格に見合っていない
- アプリのパフォーマンスが悪い
- オンボーディングが良くない
- 支払い(決済手段の連携)の失敗
- またはこれらの複合的なもの
とされています。
これらの対策として、各社のレポートでは
- アプリストアのレビューを見る
- 重要なファネルの通過率を注視し、CVR が低い場合はテコ入れする
- 更新日の前に退会を申請したユーザーに再度アプローチする
- 継続率や LTV が高くなる顧客セグメントを見つけ、その顧客群へのマーケティングに注力する
といった点をアドバイスしています。
もちろん、ファネル分析や退会シグナルの事前検知、セグメント分析などを行うにはアプリのシステムを各種マーケティングツールと連携させる必要もあります。
4. アプリ内課金でのサブスクリプション購入率・継続率の統計と、高めるためのポイント
- アプリのダウンロードからサブスク購入に至る割合は 2%
- 無料トライアルからのサブスク購入は月額プランのほうが成功しやすい
- 一年後の継続率は月額プランで 11%、年間プランで 27%
- 月額プランの加入率は PMF の指標にはなるが、収益・LTV の面では年間プランを増やすのが鍵
- サブスク購入率や解約率に対するアプローチをするには各種ツールとシステムの連携も重要
アプリ単体での事業は収益が不安定な中でも支出が多くなり、キャッシュ・フロー面では苦労するケースが多いです。
BackApp では月額費用を抑えつつ機能の拡張や他社システムとの連携などカスタム性に優れたローコードパッケージ「PASTA」を提供し、アプリ事業を展開するさまざまな企業様をサポートしています。
現在アプリ事業を企画している、運用しているアプリ・システムの機能性とランニングコストに不満があるという企業様はぜひ一度お気軽にご相談ください。

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