スマホアプリの公開後にかかる費用とは?リリース後の保守運用・メンテナンスコストを下げるポイントも把握しておこう

(2020 年 9 月更新)

iOS/Android アプリ事業にかかる費用・相場観を考える際には、“開発” のためのコストに目がいきがちです。

しかし、アプリ事業は公開してからが本当の勝負の始まり。維持するにも、バージョンアップをするにも、当然ながらコストがかかります。

そこで、今回はアプリの企画段階で「運用していくにはどんな予算や人員を確保しておくべきか」という視点が持てるよう、アプリ公開後にかかってくる運用コストの種類と考え方をご紹介します。

※開発にかかる費用の相場は下記の記事を参照ください。

参考:

アプリを運用している限りは毎月必須となる運用コスト(守りの面)

まずはアプリを維持するために必要なコストを整理します。

なお、他社が提供しているパッケージ・テンプレート(SaaS)系のサービスを使う場合は月額料金の中に含まれています。

サーバー代

運用コスト:毎月定額(Web サイトを運用中であれば目安にはなる)

Web サイトと同様、スマホアプリもインターネット上にデータベースを持つわけですので、当然ながらサーバー利用料は毎月必要になります。

サーバー代は基本的に規模(ユーザー数)に応じて値段が上がるものなので、小規模なアプリであればあまり大きな金額にはなりません。しかし、順調に成長したときには素早く増強の判断を下し、コストをかけていく必要があります。目安としてはアクティブユーザー数あたり数円を予算枠として考えておけば良いかと思います。

また、大規模な広告キャンペーンを始めた場合やメディアに取り上げられたときなどに増強が求められるのは Web と同じです。特にアプリは既存顧客と良い関係性を築くことが目的になることが多いので、サーバーのダウンには気をつけたいところです。

ちなみに、他社が提供するパッケージ・テンプレートを使ってアプリを作る場合は、毎月の利用料金に含まれています。とはいえ、基本的にユーザー数が増える≒事業規模が大きくなるほど、パッケージで運営するための維持コストも上昇します。

保守・メンテナンスの費用

運用コスト:アプリの規模(ユーザー数や機能数)に応じて頻度が上昇

リリース直後や新機能を実装したあと、そして後述する OS アップデートのタイミングなどでは、アプリを利用する上で致命的な不具合が発覚することもあります。

軽度のバグであればまだしも、クラッシュや機能が使えない状況などはせっかくアプリをインストールしてくれた顧客が離れてしまうきっかけにもなります。

iOS/Android アプリ事業ではこういった不具合を素早く修正することが鍵になるため、運用コストの中でもあまり軽視できない項目になります。

iOS/Android 自体のシステム(OS)アップデート対応

私たちが開発するアプリと同様、スマートフォン自体も、より便利になるように Apple 社と Google 社によって定期的に更新されています。

ですが、OS がアップデートされると、今まで問題なく動いていたアプリに予期せぬ不具合が起きることもあります。iOS のアップデートによって不具合が起きた場合は、アプリユーザーの多くが影響を受けてしまうため、素早く対処することが求められます。

今までの主要なアップデートの歴史は

iPhone, iPad

  • iOS 11 (2017 年 9 月)
  • iOS 12 (2018 年 9 月)
  • iOS 13 (2019 年 9 月)
  • iOS 14 (2020 年 9 月)

Android

  • Android 8 – Oreo (2017 年 8 月)
  • Android 9 – Pie (2018 年 8 月)
  • Android 10 – Q (2019 年 9 月)
  • Android 11 – R (2020 年 9 月)

と、両者ともおよそ 1 年単位で大きなアップデートがありました。また、iOS 13.x といった細かなバージョンアップもその間に実施されています。

つまり、アプリ事業においては年間予算を考える際に「iOS/Android のアップデート対応」を想定しておくと、いざというときに困らずに済みます。

なお、他社のテンプレート・パッケージを使っている場合は開発元企業が対応してくれるので、毎月の利用料金にはこのような保守費用も含まれている計算になります。

カスタマーサポート(CS)のリソース

運用コスト:社内の人件費・研修費およびリソース

アプリを公開するとさまざまな端末でインストールしたユーザーからの要望や不具合の報告が寄せられます。

「正直、いちいち対応してられない…」と思うかもしれませんが、アプリには「ユーザーからの評価がストアに公開される」「レビューの点数が低いと、事業に悪影響を与える」という特徴があります。対応を丁寧にしないと、苛立ったユーザーが星1つをつけ、ネガティブなレビューを投稿するといったことも少なくありません。

参考:「とりあえず iPhone/Android アプリも出そう」から始まる失敗——星1つのひどいレビューは想像以上に売上に響く

アプリをインストールしてくれた顧客は、それだけ貴社に興味を持ってくれたということです。ですので、アプリや Web サイトで問い合わせフォームを明記したり、ストアのネガティブなレビューに返信したりと、社内の担当者が素早く対応することが重要です。

そして、開発チームやパートナーへの “報告” も、慣れているかどうかで意外とコストがかかるもの。

  • 不具合を訴えるユーザーは、アプリや iOS/Android を最新版にアップデートしているのか
  • 再現性はあるものなのか、一度だけ偶然発生したものなのか(担当者が同様に試してみても不具合が確認できるか)
  • 大勢が使っている端末なのか、あまり使われていない端末なのか

など、基本的な情報をしっかりとヒアリングして開発陣に伝える体制がなければ、現場は混乱してしまいます。

ユーザーからの評価を高め、アプリ事業を順調に運用するためのコスト・リソース(攻めの面)

アプリを単体の事業、あるいは店舗や Web の宣伝ツールとして機能させるために必要なコストを整理します。

これらは他社のパッケージ・テンプレートや SaaS 系のサービスを使っていても必要になります。

アプリの新規インストール、あるいは再訪を促す広告・宣伝費用

iOS/Android アプリ事業の悩みの種になるポイントです。

当社もこれまで多くの企業様のアプリ事業に関するお悩みを伺ってきましたが、やはり多いのは「ユーザーになかなか定着してもらえない(一度起動してから再訪されない)」という問題です。

休眠ユーザーに対するアプローチはプッシュ通知(人件費のみで費用なし)と広告(ユーザー 1 人ごとに費用が発生)の 2 つです。

広告は SNS など多くの人が集まる媒体に出すことが多いですが、各媒体にどんなユーザーが集まっているかと、どこが盛り上がっているか・高騰しているかというトレンドを把握しておくことで、コストを抑えることができます。

参考:

CS・運用・マーケティング担当者のリソース(人件費)

広告のコスト効率が悪化していることもあり、アプリ事業ではますます社内の運用体制が重要になっています。

社内でまかなう場合は「運用コスト」として考えづらいですが、アプリ事業においては非常に重要になります。

具体的には(開発チームとの共同作業になりますが)、

  • 初回起動時にプッシュ通知(と IDFA)を許可してもらう
  • チュートリアルやアプリ内メッセージを活用してアプリの価値を理解してもらう
  • アプリ内に新しい企画・コンテンツを配信し、プッシュ通知でお知らせし、広告に頼らずにリテンション率・アクティブユーザー率を伸ばす

という 3 つのミッションが非常に大切になります。

ユーザー目線でコンテンツを更新し、良い体験をもたらすことができれば、アプリ事業のブランドイメージが向上し、貴社の “ファン” が順調に増えていきます。

近年では コアなファンとなったユーザーが自然に SNS などに投稿してくれるコンテンツ「UGC (User-Generated Contents)」の効果が注目されており、広告に比べて集客・再訪促進効果が高くなるケースもあるといわれています。

追加開発(機能追加・UI 改善)のリソース or 外注費用

コンテンツの更新と似ていますが、アプリのシステム・UI 側もユーザーの反応を見ながら改善していくほうが

やはり業界やお客様の事業・サービスごとに特性があるため、アプリ制作会社からしても新規アプリは出してみなければユーザーの声がなかなか予想できないものです。このような事態に備えるため、アプリの開発後も自社あるいはパートナー企業に、追加開発ができる体制を整えておくことが重要です。

運用コストを下げるポイントとは? 3つの視点

アプリ運営を軌道に乗せるためには、売上を伸ばすだけでなく維持費を抑えることも必要になってしまいます。もちろん下げすぎるとサービス品質に支障が出てしまいますが、事業としてバランスを見直す機会は定期的に必要です。

広告に依存しすぎず、獲得効率を最大化する

ユーザーを獲得してエンゲージを高めるという一連の流れが重要なアプリ事業にとって、広告の配信は当然の施策として語られてきました。

しかし、SNS広告の平均CPCがここ3年で約2倍に高騰しているため、新規獲得やリピート促進を広告に頼るのは事業モデルとしてリスクがあるといえます

さらに、2020 年以降の大きなポイントとして、iOS 14 での IDFA に関する仕様変更によって、リテンション(再訪)を促す Web 広告の出稿は難易度が上がります

※追記:IDFA に関する制限は「2021 年初頭から」に延期されました

もちろん広告が必要なくなるわけではありませんが、2019 年以前に比べると優先度が下がることは確実です。

また、そもそも広告をかければ顧客に定着してもらえるわけではなく、アプリ自体の評価(UX)を高めなければ、広告・宣伝に力を割いても「穴の空いたバケツに水を注ぐ」状態になってしまいます。広告と自力での運用施策の両軸をバランスよくまわすことがアプリ事業の鍵といえます。

インストール数を増やすストック型の広告塔(店舗・Web)をつくる

iOS/Android アプリの新規インストールを促す広告は、繁忙期になると単価も高くつきがちです。そこで、1 件あたりの獲得コストをかけずに自然に認知・DL してもらえるプラットフォームも必要になります。

一つは実店舗での案内です。アプリの紹介・QR コードと、DL してくれたお客様への値引き・クーポン発行などメリットを提示してチラシを配る企業様も多いです。店舗への来店を促す宣伝とスタッフの人件費はかかりますが、一度業務フローに組み込むと Web 広告よりは割安に獲得できることが多いです。

もう一つは Web サイトです。主に検索でたどり着いたユーザーにスマートバナーなどでアプリを認知してもらいます。少し前は新規で Web メディア(オウンドメディア)を立ち上げる企業が多かったのですが、最近では事業や会社の Web サイトそのものに記事コンテンツを増やすことが多く、企業ブランド・実店舗・Web サイト・アプリを総合した Web を構築するのがトレンドです。

もちろん、これらの手段はすべてアプリ広告と同様に初期投資+運用コストがかかるものですが、ペイド(都度の出費)だけでなくストック型のアプリインストール促進手段もあるほうが、トータルでのコストは安くなることが多いです。

制作会社に外注し、保守・運用まで契約する

社内にアプリ開発〜保守運用の十分なノウハウがない場合、システムの改修・不具合対応のコスト(リソース)も予想以上にかかってしまうことがあります。

制作会社に外注する場合は費用がかかるように感じますが、iOS/Android の両軸での保守・運用コストを考えるとトータルでは内製するより安くなる可能性もあります。

また、iOS/Android アプリ構築のパッケージサービスを使うと、初期費用を抑えながら OS アップデートへの対応などもしてもらえます。

ただ、不具合が起こらない、困ることがないというわけではありませんので、外注先やパッケージサービスを選ぶ際は制作会社の実績・技術力を見極めることが重要です。

iPhone/iPad/Android アプリ公開後にかかる運用コストに関するまとめ

  • サーバー代は Web サイトと同じように費用がかかる
  • 公開してから気づくバグ・不具合は少なくない
  • 事業部の意図とは別に、顧客からの要望が増えることで「更新せざるを得ない」場合もある
  • スマホの OS、システム自体が更新されると、アプリ側も保守のための更新作業が求められることが少なくない
  • iOS のエンジニアと Android のエンジニアは別で抱えるのが一般的(開発言語が異なるため)
  • 顧客と向き合う担当者と開発チームのコミュニケーションが円滑に進まなければ、運用コストがかさみがち

恐縮ではありますが、具体的な金額や相場はアプリの規模や種類によって大きく変わるため、我々としても明言はできません。

ただ、BackApp では月間・年間の予算が限られているというお客様向けに初期費用・ランニングコストを抑えたプランで iOS/Android アプリを開発するプランもご用意することが可能です。

もし現在アプリ事業を企画しており、コスト面も考慮して詰めていきたいというお悩みがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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