【アプリ事業の予算組み】iOS/Androidアプリ開発費用の目安と、外注・委託時の注意点

アプリの企画・開発にあたってよくご相談頂くのは、「どれほどの予算が必要なのか」「そもそも自社のようなアプリの開発費の相場がわからない」「SaaS とフルスクラッチ、どちらが “お得” なのか」というコストに関するお悩みです。

事業計画を立て、社内で意思決定をするためには事前に予算規模を知っておきたいところです。とはいえ、アプリの開発費用は開発手段はもちろん、一つの機能を実装するかどうかなどの仕様によっても変化するため、「相場は○○万円程度です」とは断言しづらいものです。

Backapp ではこれまで 200 件近いアプリ開発の実績があり、フルスクラッチ開発、アジャイル開発に加えてパッケージ型のプラン、および「ハーフスクラッチ」型のプランもご用意しています。

そこで、本記事では事前に知っておきたい知識として、iOS/Android アプリ事業の「開発コスト」の算出方法と、開発手法・ジャンルによる違いなどをご紹介します。

1. アプリ構築の手法と、初期費用・保守運用コストのかかり方

iOS/Android アプリ事業を始める際には、大きく分けて 2 種類の契約・開発形態があります。

1 つはあらかじめ開発されているテンプレート(パッケージ)を使うパターン。デザインや見せ方をお客様ごとに変えはしますが、機能・仕様の面では大差がなく、料金プランは事業規模、つまり利用してもらうユーザーの数によって変動します。

そしてもう 1 つはオーダーメイドでのフルスクラッチ開発です。自社で本当に必要な機能やシステム要件を満たすことが目的になるため、開発にかかる作業量とリリース後の作業量によって費用の目安が変わってきます。

1-1. パッケージ型の契約・開発(やることが限られている場合)

  • 初期費用はフルスクラッチで開発するより安い
  • 法人税や「無形固定資産(ソフトウェア)」としての経費計上など、長期的な事業計画になるほど経営面でメリットがある(※後述)
  • ランニングコストは事業規模が大きいほど高い
  • 契約時には運用コストが低くても、事業が伸びると高くなるケースも
  • アプリのリリースは最も早い

1-2. フルスクラッチ開発(自社の事業に応じてカスタムする場合)

  • 初期費用は高くなる
  • 法人税など、事業立ち上げ初期の負担が大きい※
  • ランニングコストは追加開発の作業量に影響されるため、多くの場合パッケージよりは低い
  • 「アジャイル開発(開発手法の一つ)」を選ぶとランニングコストは計画的に設定可能
  • ウォーターフォール開発ではアプリのリリースが遅くなるが、アジャイル開発では早い

1-3. ハーフスクラッチ開発(基本部分をパッケージで、こだわりたい部分を独自開発)

  • 費用とカスタム性はノーコード・フルオーダーメイドの中間
  • 完全なノーコードよりも 1〜2 年目の費用負担は大きく、フルスクラッチほど自由には作れないことをどう判断するか

近年ではスモールビジネス向けにノーコード開発が普及する一方で、ノーコードでのカスタム性の限界により、両者の中間をとるハーフスクラッチ開発も広がりつつあります。

かつてのように「パッケージ利用か、フルオーダーメイドか」という二択ではなくなっているため、さまざまな開発手段を理解した上で最適な選択肢を選ぶことが重要です。

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2. パッケージ(ノーコード・SaaS)サービスを使う際のアプリ開発費用の目安

試験的に小規模に始める場合など、近年はパッケージ型の契約をして初期費用を抑えるケースも増えています。

パッケージ型のアプリは、ごく小規模な事業者向けのものは月額 1~10 万円ほどで提供されている場合もありますが、デザイン・セキュリティ面など最低限の品質を満たす大企業向けのものは月額 60〜100 万円程度になります。

多くのテンプレートの料金体系は従量課金制で、ベンダーによって差はありますが平均するとインストール数やアクティブユーザー数 × 1 円程度が相場です。たとえば顧客が 10 万人いるビジネスであれば月額 10 万円・年間 120 万円という風に計算されます。

2-1. 手軽にアプリ事業を始めやすいことが最大のメリット

月額の費用は「サービスの利用料」となるため、フルスクラッチでアプリを作り切った後の「保守費用」よりは高くなります。

とはいえ、初期費用が数百万で抑えられるために新規事業でも予算を取りやすく、月額の利用料は会計上の「費用」として計上でき、経営視点では総じて負担が少なくなります。

「開発」作業も少なく、アプリを 1〜2 ヶ月で公開できるので、手軽に始められることがメリットです。

参考:スマホアプリ開発の予算組みは五年計画? 減価償却・法人税など、長期的な事業計画に影響を与えるポイント

2-2. 初期費用が安いゆえのテンプレート利用のデメリットとは?

パッケージ型契約で iOS/Android アプリを構築すると、初期費用ではフルスクラッチ開発に比べて安い金額で済みます。

ただし、LINE や SaaS のパッケージ内を利用していると

  • できることには限界(制限)がある
  • ユーザー数が増えるほど運用コストも膨大になっていく
  • 乗り換える際にはスクラッチで作り直したほうが効率的であることが多く、コストがかさむ

というデメリットもあるので、中長期的な目線で見れば費用対効果には疑問符がつきます。

特に、運用していくにつれて「同業他社は問題ないかもしれないが、自社ではコレができなければ困る」「自社で使っているこのツールと連携ができないと、業務効率が落ちてしまう」といった悩みが発生することが問題になりがちです。

2-3. ノーコード開発が向いているケース

機能やカスタム性が限られているパッケージ型のアプリは

  • まずは DX の第一歩を着実に踏み出したい
  • 運用の人手がかなり限られているため、PUSH 配信などをやりきるだけでも手一杯になりそう
  • 事業が軌道に乗れば、2〜3 年目からは社内で予算の交渉もしやすくなる

といった場合に適しています。

また、

  • アプリ自体は早くリリースしたいが、顧客の反応を見ながら積極的にカスタマイズしていきたい
  • 企画が現時点で決まり切ってはいないため、1〜2 年後には軌道修正や大幅なアップデートをする可能性もある

という場合は、基本的な部分をパッケージで用意しつつ残りを独自で開発する「ハーフスクラッチ開発」という手法がおすすめです。

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3. オリジナルアプリのスクラッチ開発費用の相場とは?

フルスクラッチで iOS/Android アプリを開発する場合は、よく「思っていたより高い」「会社によって言うことが違う」という声を聞きます。

アプリの開発費用は、ジャンルで相場が決まるわけではありません。どんな機能を持つ・どんな仕様のアプリなのかによって、開発にかかる費用(原価)が決まるのです。

3-1. iOS/Android アプリの開発費用は「規模(工数)」次第

オーダーメイドでゼロからアプリを構築する際は、開発者(ベンダー)がどれだけの期間作業するかで見積もりが決まります。

相談を受けた制作会社は「どんな機能が必要になるか」を想像し、そこから「実装〜テスト〜納品までにどれだけの工数がかかるか」を計算します。これは初期費用だけでなく、リリース後の保守運用・追加開発・改善作業にも共通します。

注意点として、「どんな機能を持ったアプリを作るのか」という要件が曖昧だと、開発者側が発注者と異なるアプリを想像してしまい、想定する作業量=見積もり金額が不正確になってしまうことです。

ですので、フルスクラッチ開発のコストを正確に算出するためには、まず企画をしっかりと固めることが必要です。

3-2. アプリのジャンル(機能群)ごとの開発費とスケジュールの目安

MLS Dev のレポートでは、iOS/Android アプリのジャンルごとの開発費用・スケジュール(工数)の相場を紹介しています。

参考:App Development Cost: Understand Your Budget To Build Powerful Apps

たとえば EC アプリは事業の規模などによって大きく変わることが伺えますが、下記のようにある程度の形が決まっているものもあります。そこからジャンルごと、機能による相場を読み解くこともできます。

飲食店舗アプリ

  • 必要な機能:ログイン、ポイント/クーポン発行、顧客管理など
  • 開発費用:50,000 ドル以上
  • 工数:3〜5 か月

出前や配車のプラットフォームアプリ(Uber など)

  • 必要な機能:ログイン、チャット・通話、配送サポート、決済など
  • 開発費用:70,000〜80,000 ドル前後 × 2(ユーザー側と企業側)
  • 工数:5〜7か月

旅行・宿泊予約アプリ

  • 必要な機能:多岐にわたる
  • 開発費用:240,000ドル以上
  • 工数:9 か月以上

4. 開発費用の相場よりも、アプリ事業としての戦略から手段を考える

iOS/Android アプリを開発する際は、パッケージでもスクラッチ開発でもそれなりの費用がかかります。

さらに、事業計画を立てる上では「収支」や「投資回収」の面で、運用コストも計算しておく必要があります。

参考:スマホアプリの公開後にかかる費用とは?リリース後の保守運用コストと、開発手段ごとの違い

近年では「ノーコード(パッケージ利用)かフルオーダーメイド開発か」という二択ではなく、さまざまな開発手段が普及しています。

自社で iOS/Android アプリを開発する前の段階として「LINE 公式アカウント」「LINE ミニアプリ」も普及してきているように、企業の業種・予算・戦略に合わせて最適な選択肢を選びやすくなっています。

参考:LINEと自社アプリではどちらの費用が安い?事業フェーズごとの最適なアプローチと運用体制の考え方

ですので、事業計画の中でアプリの開発費用・運用費用を考える際には

  • さまざまなアプリ開発手段、およびアプリの代替品となるツールについて情報を収集する
  • 自社の事業モデル・業務フローと相性が良いものを選ぶ

という流れで進めることをおすすめします。

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