昨今、店舗アプリや会員向けアプリではスタンプカード機能を持つものが一般的になっています。スタンプカードは、リピーターを増やすための効果的なマーケティング手法として幅広く活用されています。
しかし、一口にスタンプカードといっても、その機能や種類は多岐にわたり、開発時には様々な留意点が存在します。以下に具体的な活用事例と開発時の留意点をまとめてみました。
1. 店舗アプリ・会員アプリのスタンプカード機能とは?
店舗アプリ・会員向けアプリでスタンプカード機能を実装する場合、下記のようなパターンが一般的です。
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起動するだけで付与されるログインスタンプ
ユーザーはアプリに毎日ログインするだけで、スタンプが得られるスタンプカードです。この仕組みはアプリの利用頻度を上げ、長期的なファンを育成するための効果的な手法の一つです。 -
実店舗に来店したら使える来店スタンプ
実店舗に足を運んだ際に、アプリからQRコードを読み取るか、実店舗内でアプリを起動するとスタンプが進呈される仕組みです。通常のログインスタンプよりもやや取得が難しいですが購入行動が必要ではなく、単に店舗を訪れるだけでスタンプを手に入れることができるため、比較的に貯まりやすいものです。 -
ポイント還元型スタンプカード
購入金額や来店回数に応じてスタンプを付与し、そのスタンプを一定数貯めたら割引券や商品と交換できる仕組みです。スタンプカードというよりはポイント運用に近く、スタンプをためるハードル設定を調整することで、リピート購買や継続的な来店を促進します。例えば、1,000ポイント毎にスタンプカードが1つ押され、20~30個貯めると特典クーポンが付与される仕組みです。 -
リワード型スタンプカード
一定回数商品を購入するたびにスタンプを集め、貯まったスタンプの数に応じて特典や割引を提供します。ポイント還元型スタンプカードとは異なり、特定の目標を達成することに焦点を当てます。例えば、飲食店やサロンなどで、来店した上で購買してくれたユーザーにスタンプを付与する仕組みです。
2. 店舗アプリや会員アプリにスタンプカード機能を作るメリットとは?
店舗アプリや会員アプリにスタンプカード機能を導入することには、企業側と顧客側の両方にとって様々なメリットがあります。以下にそれぞれの観点からのメリットを詳しく説明します。
企業側のメリット
- アプリをダウンロードしてもらうためのきっかけの一つに
アプリは App Store/Google Play からわざわざダウンロードしてもらう必要があります。このハードルを乗り越えるためには、利用者にとっての魅力を高める方法が必要です。スタンプカードでクーポンがもらえるというメリットを提示することで、利用者がアプリをダウンロードするきっかけの一つにできます。
- 継続的に顧客との関係を築くことができる
スタンプを集めることで特典や割引を受けられるため、利用者はアプリを活用して積極的に購買行動を行うきっかけの一つになります。 また、アプリを通してクーポンやキャンペーン情報・セール情報などを発信したりすることができるので、継続的な接点を増やすこともできます。
- データ収集と分析
アプリを通じてお気に入り店舗・商品や購買履歴などのデータを収集できるため、企業は顧客の好みや行動パターンを把握しやすくなります。これにより、効果的なマーケティング戦略を展開し、ターゲットに合った提案を行うことができます。
顧客側のメリット
- 割引や無料商品などの特典を受けられる
一定数のスタンプを集めることで、ブランドや店舗に愛着がわき、継続的に購買するきっかけになります。顧客の好みや購買履歴に基づいた特典を提供することで、顧客の満足度がさらに向上することでしょう。
- スタンプカード紛失防止
紙のスタンプカードをお財布に入れていると、かさばるばかりで最終的には持っていることを忘れ、期限切れになってしまい、結局は捨てざるを得ないという事態も起こりえます。もし携帯電話を紛失したり新しい携帯電話に変更した場合でも、企業側に問い合わせることでアプリのデータを復元することができます。
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3. スタンプカード機能の活用事例
アプリでのスタンプカードを効果的に活用している事例をご紹介します。
アプリを起動しただけでスタンプ押下
大手スーパーのライフアプリでは、チラシを見るためにアプリを起動したタイミングでスタンプが溜まる仕組みがあります。さらに、7回連続でアプリを起動すると値引きクーポンが付与される特典も設けられています。
ユーザーは日常的な行動に応じてスタンプを手に入れることができるため、積極的にアプリを活用する動機付けが生まれ、店舗と顧客とのWin-Winな関係を築くことができるでしょう。
飲食店でお会計金額に応じてスタンプ押下
餃子の王将では、お会計金額税込み500円毎にスタンプが1個付与されます。スタンプの数が多いほど割引金額も多くなるよう設定されており、リピーター獲得の要因ともなります。
さらに紙媒体で集めていたスタンプをアプリ上に移行したり、アプリ内のユーザー同士でスタンプを移行・共有できる機能は、利用者のニーズに対応した設計と言えます。
スタンプ数によって会員をランク分けする
写真印刷や写真を用いたグッズを販売しているパレットプラザは、店舗で税抜き100円以上のお買い上げ時、QRコードを読み取ることでスタンプカードを貯めることができます。
スタンプ数によってゴールド会員、プラチナ会員(スタンプ10個)、ダイヤモンド会員(スタンプ20個)とランク分けをして割引金額に差異をもたせています。手軽に写真印刷ができるコンビニなど競合他社との差別化を図っております。
出典:PALETTE PLAZA HP 出典:パレットプラザ会員アプリ
1つのアプリで複数のテナントスタンプを貯めることができる
大型ショッピングセンターのイオンでは、「イオンお買い物アプリ」をインストールするだけで、複数のテナントのスタンプカードを一つのアプリで管理することが可能です。
これにより、各テナントごとに個別にアプリをインストールする手間が省け、お会計時にスムーズにスタンプをためることができます。万が一、お会計時にスタンプカード画面を提示し忘れてしまった場合でも、当日中にアプリで印刷されたレシートのバーコードを読み取ることでスタンプを貯めることが可能です。
出典:イオン お買い物アプリ
施設内店舗利用を目的としてスタンプカードを提供する
ホテルニューオータニ博多の例ですと、館内のレストランやバーを利用する毎に1スタンプ付与されます。5つ溜まると1,000円引きのクーポンが利用できる仕組みです。
企業側の視点では、ホテルの利用だけでなく館内の様々な施設利用を促すことができます。一方でユーザーから見ても、ホテル内の施設は通常割高ですが、この値引きクーポンを活用する良い機会となります。
出典:ホテルニューオータニ博多
LINEのショップカードでスタンプを貯めることができる
アプリだけでなくLINEでもショップカードでスタンプを貯めることができます。スタンプカードを全部埋める途中でも中間ポイントで特典が付与されます。
飲食店の串カツ田中(用賀店)の場合ですと、来店2回目でスタンプが2つ貯まり、串カツ2本プレゼントとなっています。このような特典があると、再来店のモチベーションを高めることができます。
4. スタンプカード機能つきアプリを作る際の注意点
スタンプカード機能は企業や顧客にとってメリットも多いですが、実装する際に注意が必要なので押さえておくべき3つのポイントを解説します。
1. 起動しやすい UI/UX にすること
店舗でスタンプカードアプリを導入する際は、ユーザーが使いやすいデザインが重要です。例えば、アプリのメイン画面やナビゲーションをシンプルかつ分かりやすくデザインすることで、スタンプカードの画面が一目でわかるようにしましょう。
2. アプリ自体の不具合を減らし、フィードバックを受けて改善に努めること
初回リリースに発生しがちな「スタンプカード画面を開こうとしたら画面が起動しない」「クラッシュする」といったバグを減らすことです。また、ユーザーからのフィードバックを積極的に収集し、不便な点を把握します。その後、収集した情報を元に改善を行うことで、ユーザーのニーズに合ったアプリを提供できます。
3. 事業目線で特典の内容を考えること
アプリで提供する値引き金額や特典のバランスは非常に重要です。金額が低すぎるとユーザーがメリットを感じないため、アプリを利用する動機が減少する可能性があります。一方で、特典が豪華すぎると事業的な利益が下がり、経営的な問題が生じることがあります。
こうしたバランスを取るためには、以下のような対策を4つご紹介します。
(1)顧客のニーズや競合他社のサービスを調査し、適切な値引き金額や特典の設定をすること。
(2)スタンプやポイントの数に応じて会員ランクを設定し、異なるグループに対して適切な値引きや特典を提供すること。
(3)継続的な利用者やリピーターに対しては特別な特典を提供すること。
(4)特典を期間限定のキャンペーンとして提供すること。
上記の(2)と(3)は、パレットプラザのスタンプ保持数によってステージを切り分け値引きを細分化している例が該当します。
5. まとめ
従来の物理的なスタンプカードからアプリに機能を移行することで、まず複数のカードを持ち歩く不便さを解消できます。さらに、スタンプカード機能をついたアプリとして構築することで、ログインするだけでスタンプを貯めたり、企業指定のアクションに応じてスタンプやポイントを付与するなど特典の提供方法が豊富になります。
とはいえ、このようなアプリの実装には、ユーザー目線を考慮した開発が重要視されると同時に、魅力的な特典や割引を提供する必要があります。
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