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フィットネスジム施設公式アプリの活用事例6選と機能設計のポイント

アプリ活用事例
2024.08.08
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    フラー株式会社の「2024 年フィットネス&健康アプリ市場調査レポート」によると、2024 年 5 月時点でフィットネス&健康アプリの数は 615 個あり、Google Play の評価で星 4 つ以上を獲得しているアプリは半数近くとなる 265 個もあります。

    出典:[App Ape] フィットネス&健康アプリ市場調査レポート2024

    このデータからは、

    • フィットネス業界でアプリを活用すると、顧客に満足できる体験を提供しやすい
    • 参考になる先行事例は多いが、アプリの品質は比較されるので一定の水準は求められる

    ということが伺えます。

    一口にフィットネス&健康アプリといっても、大まかに分類すると

    • 食事管理をメインとるするアプリ(歩くことでポイントが貯まる機能を含むこともあります)
    • 個人の自宅内で使用するワークアウト系
    • 多店舗経営のフィットネスジム(ヨガやキッズ向けレッスンも併設されている複合型施設のアプリ)

    などがあります。今回は、多店舗経営のフィットネスジムで、ヨガやキッズ向けレッスンも併設されている複合型施設のアプリに焦点を当てます。基本機能とユーザーレビューを振り返り、アプリ制作時に失敗しないためのポイントをご紹介いたします。

    1. フィットネスジム施設アプリで欠かせない基本機能

    まずは、どんなフィットネスジムのアプリにも搭載されている基本機能をみていきます。

    1-1. デジタル会員証

    入館時にデジタル会員証の QR コードやバーコードを機械で読み取ることで受付できます。フロントの混雑回避になり、人員が削減できることで企業と利用者の両者にメリットがあります。

    会員費が利用回数や時間で変動するプランがある場合、デジタル会員証で「今月はあと 3 回利用できます」などと表示することにより来館回数を一目で確認できる仕様もあります。

    また、来館回数をポイントプログラムやデジタルスタンプラリーとして活用している企業もあります。貯めたポイントやスタンプは、有料プログラムチケットへの交換や EC サイトでの物販購入時に利用できます。詳しい内容は第 3 章の実例でご紹介いたします。

    1-2. 店舗検索

    全国に多店舗展開しているジムアプリであれば、現在地から目的のジムまでのルートを案内してくれる機能がついていることが多いです。

    エニタイムフィットネスの公式アプリでは店舗検索機能がついていなかったため、ユーザーの方が「現在地から近くのエニタイムを探してチェックインできる」というアプリを個人で開発してリリースしたところ、広告費を一切かけずに 1 カ月で 1,000 ユーザーを突破したという事例もあります。ここからも一定の需要がうかがえます。

    参考記事:個人開発のフィットネスアプリがリリースから1ヶ月で1000ユーザーを突破した話

    1-3. お知らせ掲示板

    ジムを利用する顧客に対し、以下のような情報をアプリから発信します。

    • 休館日やレッスン休講のお知らせ
    • 健康食品やプロテイン、キッズレッスンの練習着など割引のお知らせ
    • スポット利用や利用回数が少ない人に向けた利用頻度アップを狙う宣伝
    • 効果的なトレーニング方法やエクササイズ動画、インストラクターのアドバイスなどを配信し、ユーザーのトレーニングをサポート
    • アプリの使い方についての質問について取り上げる(FAQ)

    ポスター掲示やチラシ配布を完全にやめられるわけではありませんが、紙媒体だけでは情報を周知しきれない顧客にまで届けていけるのがメリットです。

    1-4. レッスン予約・取消・振替

    大人向けのレッスンの場合、エアロビやヨガ、格闘系のプログラムを申し込む際に利用します。キッズ向けレッスンの場合は、プールや体操、ダンスや空手などで利用する機能です。

    予約・取消・振替機能を使いやすい UI にするのはもちろんですが、予約や振替時のルールについて顧客へ周知することも非常に大切です。例えば、体に高負荷をかけるレッスンを連続で 2 枠予約できるのかなど、レッスン受講者の安全面にも配慮したアプリと利用ルールの設計が必要になります。

    1-5. 申し込みプランの確認や変更

    フィットネスジムの利用プランには、以下のような種類があります。

    • 回数制限のない月額プラン
    • 月4回までのプラン
    • 夜間利用会員
    • 平日利用会員
    • 全国の店舗を利用できる会員
    • パーソナル追加有料プラン

    キッズ向けの習い事では、複数の習い事を掛け持ちした場合に割引が適用されることがあります。

    申し込みプランの確認機能でアプリから見られると便利な項目

    • ジムの利用回数
    • 現在のプラン
    • フロントでの物販の購入履歴

    申し込みプランの変更機能で気を付けたいこと

    アプリでプランを変更できる場合、月初、月中、月末にプランを変更した際の次月の請求額がどのように変動するかをユーザーに明確に説明する必要があります。退会もアプリからできる場合、「いつでもアプリから退会できるからやってみよう」とユーザーに思わせる効果が得られる一方で、顧客離れを懸念する要素にもなり得ます。

    ただし、フィットネスジムは一般的に入会後に数か月の在籍が必要です。そのため、利用規約や契約期間について、初回利用時にユーザーにしっかりと理解してもらう必要があります。プランの確認と変更(休会)機能を提供しつつも、退会機能はアプリには設けないという選択肢もあります。

    2. フィットネスジム施設アプリ設計のポイント

    フィットネス施設のアプリを設計する際、ユーザーレビューを通じてユーザーのニーズを理解し、失敗しないためのポイントを挙げていきます。さらに、優先度の高いものや、フィットネス事業ならではのユニークな機能についても触れていきます。

    2-1. ユーザーレビューから失敗パターンを読み取る

    企画段階では、まず App Store/Google Play に投稿されているフィットネスアプリのレビュー投稿から「どのようなアプリが好まれるのか」「逆に好まれない設計はどういったものなのか」という点をチェックしてみましょう。

    画面遷移は少な目がベター

    店舗数が多く、器具を利用したワークアウトだけでなくヨガやキックボクシングなど幅広いメニューがあるジムに当てはまるのですが、ユーザーが曜日や時間帯ごとのプログラムを見たい場合、ワンタップでプログラム表へアクセスできると好評な傾向にあります。

    店舗数が多い場合、まず店舗を指定してからプログラムを検索する仕様だと、検索に時間がかかり、ユーザーから不評を受けることがあります。

    デジタル会員証の提示はスムーズに

    会員証は入館時にすぐに提示する必要があるため、アプリからワンタップで会員証を表示できる仕様が好まれます。Web 画面でアカウント認証してからデジタル会員証を表示させる仕様の場合、表示に時間がかかるため不評となることが多いです。

    Web 画面からアカウント認証を行う場合は、パスワード保存を推奨するようにお知らせ掲示板で周知し、どんな人でも使いやすいように説明をつけましょう。また、会員証に限らず、EC 以外は既存の Web ページに遷移しすぎないほうが評価が高くなる傾向にあります。

    2-2. ユニークな機能をつけるとなお良し

    「より健康になりたい」「今の自分の健康に問題があるので改善したい」「夏に薄着になるので自分に自信を持ちたい」「結婚式などの予定があって最高の状態で迎えたい」などと、フィットネスジムへ通う目的は人それぞれです。

    フィットネス施設の公式アプリでは、健康や美容に結びつくユニークな機能も実装されています。

    オンラインレッスン

    ジムの会員でなくても、オンラインレッスンで効果を実感してもらうことで、実店舗利用へ移行してもらえるケースもあります。

    レッスン受講方法も、ライブで受講するパターンとオンデマンド動画を好きな時に視聴できるプランに分かれています。利用媒体については、Zoom・専用アプリ・パソコンから利用できるパターンがあります。非会員でアプリをダウンロードしていない場合でも、パソコンやスマートフォンから受講できることで、より多くのユーザーに対応しています。

    フィットネスジムのオンラインレッスンの料金プランは、大きく分けて以下の3つに分類できます。

    • 店舗利用会員でない人でも無料で視聴可能
    • 店舗利用会員は無料で視聴可能
    • 店舗利用会員は追加料金を支払うことで視聴可能

    スマートウォッチと連動してワークアウトの記録

    RIZAP 株式会社が運営する chocoZAP アプリは、50 万ダウンロードを達成しており、フィットネスジム施設アプリの中で圧倒的に多くのダウンロード数を誇ります。

    chocoZAP では、ジム入会時に「体組成計」と「ヘルスウォッチ」を含むスターターキットを受け取ることができます。ヘルスウォッチは歩数や睡眠を記録し、体組成計は体重や体脂肪などのデータをアプリに自動的に記録します。これにより、ジムで体重を測定し自分でアプリに入力する手間が省け、データの可視化が容易になるため、ジムユーザーのモチベーションアップにつながるでしょう。

    chocoZAP アプリは内製化されており、エステやカラオケ、さらには医療分野などのサービスを導入し、利用ユーザーのデータを蓄積するフェーズに入っています。これにより、ジムのライト層である chocoZAP 会員から RIZAP 会員へのシフトを狙うだけでなく、フィットネスプラスアルファの分野から外部連携して蓄積したデータを活かしたサービスを今後展開予定です。今後提供されるサービスに注目です。

    出典:chocoZAPスターターキット

    パーソナルトレーナーとの連絡手段

    パーソナルトレーニングはフィットネスジムの中で最も高額なメニューの一つです。アプリでパーソナルトレーニングの予約ができる機能はもちろん重要ですが、さらに効果的なサポートを提供するために、トレーナーからアドバイスをもらえる機能を実装している事例もあります。

    食事内容や体重・体脂肪のデータ・運動メニューに基づいて、トレーナーがアプリを通じてアドバイスし、ユーザーはリアルタイムでフィードバックを受け取ることができます。

    食事メニューの記録

    パーソナルメニューを提供しているジムでは、運動の記録に加えて食事の管理ができる機能を実装している事例もあります。

    写真を解析したり、アプリに登録されている食事メニューから選んで登録することでカロリーや栄養をアプリに記録できます。

    ヘルシーな冷凍弁当の定期配送サービス「ナッシュ」との連携

    ナッシュ株式会社は、ヘルシーなお弁当を販売することで収益を得るアフェリエイトプログラムを提供しています。

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    出典:ナッシュ取次販売の売上が2年で9倍に、フィットネスクラブなど400社超が販売

    フィットネスジムの Web/アプリからナッシュを購入すると、顧客は割引価格でお弁当を手に入れられ、ジム側は広告収入を得ることができます。会員料金以外の収益を得られる機能であり、JOYFIT やルネサンスなども既に取り入れています。

    企業に求められる工夫としては、広告が過度にならないようにし、アプリからワンタップでナッシュの販売 EC サイトへスムーズに遷移できる UI の設計が重要です。

    3. フィットネスジム施設アプリの事例 6選

    [事例 1] コナミスポーツクラブ公式アプリ 施設検索機能

    コナミスポーツクラブは 2024 年 3 月 31 日時点で全国に 378 の施設があります。アプリでは、GPS 機能を利用して現在地から最寄りの施設を検索し、案内することができます。マップで探す方法に加えて、地域や駅名を入力して検索する機能も用意されています。

    経路案内機能が付いているため、初めて訪れる施設でも迷うことなくアクセスできます。また、各店舗のお知らせページもアプリに掲載されており、施設の最新情報をすぐに確認することができます。

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    出典:コナミスポーツクラブ公式アプリ

    [事例 2] 混雑状況がリアルタイムでわかる JOY FIT

    株式会社ヤマウチが運営する JOY FIT は、全国に 230 店舗以上展開しており、24 時間年中無休の「JOY FIT 24」やトレーニングとダンス系のプログラムが受けられる「JOY FIT」、パーソナルトレーニングの「ジョイフィットプラス」、女性専用のヨガスタジオ「ジョイフィットヨガ」と利用目的で施設が分かれています。

    ジムではトレーニングマシンの数が限られているため、利用者は空いている時間にお気に入りのマシンを使用したいと考えます。JOY FIT アプリには、リアルタイムで混雑状況を把握できる機能が備わっており、利用者は施設をより快適かつ効率的に活用できるよう配慮されています。

    img -joyfit

    出典:JOYFIT App

    [事例 3] セントラルスポーツ公式アプリ Fitness Navi 来館ポイントでプレゼント機能

    トレーニング・格闘系・ダンス・ヨガ・ピラティスなど様々なメニューをそろえるセントラルスポーツでは、ポイントプログラムに力を入れています。

    来館時にデジタル会員証を QR コードにかざすことで 1 ポイントを獲得できるほか、下記のような条件でも獲得できます。

    • 定期的な抽選
    • 誕生日
    • 1 年間ジムを継続したとき
    • アンケート回答時
    • サマーキャンプなどのイベント参加報酬

    付与されたポイントは、スポット利用ができる「在籍クラブインビテーションチケット」や店頭のショップで利用できる割引クーポンに振り替えることができます。

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    出典:会員様専用アプリ Fitness Navi

    [事例 4] LAVA (ヨガスタジオ)のデジタルスタンプラリー

    ヨガスタジオの LAVA もセントラルスポーツと同様にポイントプログラムを実施しています。

    マンスリー会員はレッスンを受講することでスタンプが貯まり、ポイントに交換することができます。そのほか、下記のような条件でもポイントが付与されます。

    • 誕生日
    • お友達の紹介時
    • レッスン受講後のアンケートに回答時
    • 店頭やオンラインショップ Lapre にてお買い物をすることで貯められる

    LAVA ポイントは、1 ポイントを 1 円として 100 ポイントごとに店頭やオンラインショップで購入時に利用できます。

    img - lava

    出典:プログラムチャレンジスタンプラリー

    [事例 5] My ルネサンス キッズスイミングの進級テスト動画をアプリで確認できる

    スイミングレッスンの予習動画や進級テストの動画を配信しています。テストの動画を視聴することで、不合格だった場合でもコーチからのコメントを参考にし、親子で次のテストに向けてどのように改善すれば合格できるかを学ぶことができます。

    また、テスト時に撮影された動画にはプライバシーへの配慮がなされており、テストを受けているお子さん以外の周囲の人物は見えづらくなる加工が施されています。

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    出典:スマートスイミングレッスン

    [事例 6] セントラルスポーツ KIDS 子どもの入退館通知をアプリで記録できる

    セントラルスポーツは、スイミング、体育、ダンスなどのキッズ向け習い事を提供しています。これらの習い事には、保護者にとって便利な「入退館通知」機能が備わっています。子どもがレッスンを受講する際、受付でカードを読み取ると、保護者のアプリに入館と退館の通知が届く仕組みです。

    この機能により、子どもが自分でレッスンに通うようになった場合でも、保護者は安心して見守ることができます。

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    出典:セントラルスポーツキッズ会員様専用アプリ

    4. 補足:LINE とアプリを併用する方法もあり

    iOS/Android アプリと LINE は得意な領域が異なるので、併用することでジム利用者の満足度を向上させ、定期的な利用を促進することが期待できます。

    顧客の日常生活に紐づいている LINE はプッシュ通知の開封率が高くなることと、新規アプリのダウンロードに比べて友だち登録の心理的ハードルが低いことがメリットです。

    たとえば、ジムの体験レッスンを LINE で受付できるようにすると、体験プログラム参加への敷居を下げることができます。また、正式入会時に LINE のお友だち登録をしてもらうことで、レッスンの休講や講師の変更情報など重要な連絡が漏れづらくなります。

    特に複数業態の施設を運営している場合など、「アプリからレッスンのプログラムを見るのがわかりづらい・使いづらい」という課題が出てくることもあります。お知らせ掲示板へやプログラム表などよく閲覧される画面は、LINE のトークルームのリッチメニューから遷移できるようにする施策も効果的です。

    さらにリッチメニューから EC サイトやアプリへ遷移する導線を確保すると、EC の売上やアプリのアクティブ率が向上し相乗効果を生み出すことも期待できます。

    5.まとめ

    フィットネスジム施設の公式アプリでは、デジタル会員証やレッスン予約・取消・振替機能、お知らせ掲示板などの基本機能や UI/UX のポイントを押さえて設計することで、会員の満足度を高めることが期待できます。さらにオンラインレッスン、アフィリエイトプログラムなどユニークな機能も実装することで競合との差別化につながります。

    また、LINEとの併用で情報提供の幅を広げ、顧客との接点を増やすことも有効です。成功するアプリを目指して、ユーザーのニーズをしっかりと捉えた設計を心掛けましょう。

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