アプリ内メッセージングとは?プッシュ通知との役割の違い・活用法を正しく理解しよう

iOS/Android アプリ事業を企画・運用し始めた時、集客・販促といったマーケティング施策の中心として考えられがちなものはプッシュ通知です。とはいえ、ネイティブアプリの強みはプッシュ通知だけではありません。

Webサイトを利用中に「アプリを使うともっと便利に使えます!」というポップアップをご覧になったことはあると思います。そのようなメッセージ機能は、実は iOS/Android アプリのマーケティングでも有効に活用されているのです。

そこで、今回はネイティブアプリの運用で意外に見落とされがちなアプリ内メッセージングについて、機能・メリット・事例などをまとめていきます。

1. ネイティブアプリのアプリ内メッセージとはどんな機能?

アプリ内メッセージとは、顧客が iOS/Android アプリを操作中、特定の条件を満たした際に画像やメッセージ、ボタンなどが表示される仕組みです。

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表現方法にも下記のような種類があり(※)、ボタンをタップした際には別の画面に遷移させることができます。

  • バナー型:お知らせなどのメッセージを表示できる
  • モーダル型:ユーザーにメッセージと 1 つの操作ボタンを提示できる(閉じるボタンがあるので強制ではない)
  • カード型:ユーザーに 2 つのボタンで選択肢を提示できる

※Firebase の場合。テンプレートの呼称は利用するツールによって異なる場合があります

1-1. アプリ内メッセージの使い方

特にゲームアプリではチュートリアルから新着イベント、状況の報告などさまざまな種類のアプリ内メッセージが活用されていますが、通常の企業のビジネスアプリでも大いに活用の余地があります。

特に、初めてアプリを起動したユーザーや、久しぶりに戻ってきてくれたユーザーに対するメッセージは重要です。

初回起動の場合、「このアプリはこんなことができます」と訴求するカルーセルやステップ式のポップアップは一般的です。

また、プッシュ通知の配信ツール「OneSignal」の 2021-22 年のレポートでは、「このアプリではこんな情報を PUSH 配信でお届けします」というアプリ内メッセージを作ることで、プッシュ通知の許諾率が 50% アップすると書かれています。

参考:2022 Customer Messaging Statistics, Trends and Insights

再訪ユーザーに向けては、大きなアップデートで新機能が実装された際やユーザーの行動フロー(UI/UX)が変化した際に「こんなことができるようになりました」とポップアップで告知する使い方も一般的です。

1-2. 他にもこんな使い方の事例があります

他にアプリ内メッセージの活用が進んでいる分野の一つに、「レビュー促進」があります。

ユーザーが初めてコンバージョンイベントを完了した際などに「アプリのレビューを書いてもらえませんか?」と、App Store/Google Play のレビュー投稿を促進するという使い方です。

※このレビュー促進ポップアップを出すタイミングやメッセージ文面も、さまざまなテクニックがあります。

他にも

  • セール情報やクーポンをハイライト表示
  • 誕生日を祝うメッセージ(→特別クーポンやセールの案内)
  • アプリの使い方(チュートリアル)を紹介
  • 詰まりがちなポイントでのヒントの案内(ゲームアプリでの GAME OVER 後など)
  • 登録したイベント等の開催時期が近いときのリマインド
  • アップデートで実装された新機能の紹介

など、意外にユースケースは多いのでマーケティング施策を改めて考え直してみると新たな発見があるかもしれません。

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2. プッシュ通知とは別の、iOS/Androidアプリならではのメリット・役割を持つ

アプリ内のマーケティング施策は、

  • プッシュ通知=アプリを起動してもらうため、およびそこから直接アクションを起こしてもらう施策
  • アプリ内メッセージ=アプリを起動中に、途中離脱(機会損失)を防ぐために行う施策

という役割で分割されています。

iOS/Android アプリのマーケティング施策で、メインとして語られるのはプッシュ通知の配信です。特に EC アプリは通知でセール情報を送ることでオンライン経由の売上を向上させるチャンスがあり、店舗アプリでは集客に貢献します。

“攻め” の側面が強いプッシュ通知とは対象的に、アプリ内メッセージはどちらかといえば “守り” の施策です。アプリ事業の経験がないと見落としがちですが、うまく使うことで事業の失敗を防ぐことができます。

たとえば商品の購買や有料会員登録によってアプリ経由での売上を伸ばしたい場合、DLしてもらった顧客には

  • できることを把握する(学習)
  • アプリ内の全機能を使えるようになるためのユーザー登録(許諾と入力作業)
  • 購買ができる状態にためのデータ登録(決済ツールの連携)

という壁を乗り越えてもらわなければなりません。これらをクリアできずに離脱・休眠する顧客が多い状態では、アプリ事業を伸ばすのは難しくなります。

離脱率・再訪率はアプリ自体の UI/UX 設計(開発)にも関わる領域ですが、アプリ内メッセージングを活用することでマーケティングの観点から事業に貢献することができます。

2-1. Firebaseでも使うことはできる

Firebase でも「ユーザーに調査や発見を促すためのツールとして使用してください」と、β版のアプリ内メッセージング機能が実装されました。Xcode のバージョンは 10.3 以降が要求されています。

2-2. Web接客ツールの機能が iOS/Android アプリに特化

現代では Web 接客ツールが普及しており、たとえば EC であれば Web サイトを閲覧しているユーザーに対しても「カートに商品を入れたまま離脱した場合にポップを出す」など、特定の条件を満たしたユーザーにだけカスタムメッセージを表示するような施策が行われています。

ただ、Web サイトを閲覧している段階ではユーザーの興味・関心度合いが高くないため、過度なポップアップメッセージはあまり良い印象を持たれません。対して iOS/Android アプリをインストールしている状態ではある程度の興味・関心がある ため、抵抗なく受け入れてもらいやすいといえます。

さらにアプリ内で会員登録をしているユーザーグループに対しては年代・性別など登録された情報に応じて配信する対象を選べるので、よりユーザーにとって快適かつ便利な情報発信が可能になります。

3. iOS/Android アプリ内メッセージングの事例

アプリ内メッセージの公開事例は Repro 社が多く公開しています。

大手占いサービスである「au占い」では、アプリをインストールしたもののアクティブに活用してくれないユーザーが多いという課題に対して、アプリ内メッセージングを活用したそうです。

ほとんどのユーザーが「占い師を選ぶ」というアクションにまで辿りつけていなかったので、離脱ポイントを塞ぐような施策を実施していきました。具体的には「チュートリアルをスキップ出来ることを伝えるアプリ内メッセージ」や「プロフィールを入力しなくても大丈夫なことを伝えるメッセージ」などを初期の施策として設定しています。

ちなみに、この施策を行っただけで「プロフィールの突破率」が約7ポイント改善しています。「本当にアプリ内メッセージを設定するだけで変わるんだ」と驚いたことを覚えています。
https://repro.io/casestudy/auuranai/

オーディションアプリ「mysta」では、継続率を高めるために初回起動のユーザーにアプリ内メッセージを配信しているほか、課金導線への誘導も力を容れているそうです。

力を入れているのはアプリ内メッセージの活用ですね。事業的にもインパクトが大きいのが、課金導線への誘導です。この施策で累計の課金者が6倍以上に伸びているので、かなり良い数字です!
https://repro.io/casestudy/mysta/

また、プッシュ通知と同様に、配信するユーザーの状況(Need, Want)に応じて文言を考えることが重要だとまとめられています。

改善を重ねていった結果として大きな改善に繋がったので、コツコツやって良かったなと感じています。常に数パターンをテストしながら、ベストなメッセージ内容を追求していきました。最初はわりと硬めなメッセージだったのですが、くだけた内容でのメッセージの方が反応が良く、今では絵文字も必ず3個以上使うルールが出来ました。笑
ここから、有名インスタグラマーの投稿へのコメントなどを参考するようになりました。ユーザーに合ったメッセージの出し方を考えることの大事さに気づかされましたね。 https://repro.io/casestudy/mysta/

3-1. アプリのどこに課題があるのかを把握することが重要

アプリ内メッセージングを活用するためには、これらの例のように

  • 多くのユーザーが途中離脱している画面
  • 購買・課金に至る前に離脱しているプロセス
  • 離脱しやすい・定着しやすいユーザーの条件(特徴)

を把握することが重要です。

施策を打つ際は、課題となっているフェーズにいるユーザーをセグメント(配信対象)化して、対象にあわせた画像と文言、ボタンをタップした際の遷移先を決める必要があります。

また、アプリ内メッセージという機能自体は、プッシュ通知のようにユーザー側で ON/OFF の切り替え(許諾)ができません。あまりにもしつこくポップアップのバナーを出しているとアプリのアンインストールにもつながりかねないので、プッシュ通知同様に節度をもった運用が必要です。

3-2. プッシュ通知同様、アプリマーケティングはセグメンテーション(配信対象の細やかな設定)が鍵

もとより、iOS/Android アプリのプッシュ通知で効果を出そうとすると、全ユーザーに一律の内容を送るのではなく、顧客層にあわせて興味を持たれそうな内容を送信するというセグメント別の施策が必須といえます。

雑な運用をしてしまうと、ユーザーがプッシュ通知を OFF にしてしまいます。そこからユーザーの信頼を回復することは難しいため、セグメントごとに配信した上で開封率とプッシュ通知自体の許諾率を注視していくことがポイントです。

アプリ内メッセージも同様で、ユーザーが困っている場面や久々に起動して使い方を忘れている・画面が変わっている場面などにあわせて最適なメッセージを出すことが重要です。

プッシュ通知・アプリ内マーケティングは異なる役割・メリットを持つものの両軸の施策なので、施策の担当者はどちらも共通のマインドをもって企画・実行することが求められます。

参考:プッシュ配信の役割とは?通知ごとの開封率以上に重要な効果指標とサービス選定

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