[2025/12/26更新]
「スマートフォン経由で顧客と継続的につながりたい」「リピート率や単価を向上させたい」という事業のニーズを満たすためには、自社でiOS/Android アプリをもつだけでなく、LINE など他社のプラットフォームを利用するという手段もあります。
特に LINE はインフラといえるほど普及していることから、X(Twitter) や Instagram/TikTok 以上に多くのユーザーとつながりやすく、プッシュ通知など攻めのマーケティング施策も実施できます。
しかしながら、自社で開発アプリでも大きく成功している企業もいることから、結局どちらが費用対効果が高いのか? と悩んでいる企業担当者も少なくありません。
そこで本記事では、LINE 公式アカウント運用と自社アプリの導入費用、導入難易度、売上貢献度の比較、また事業フェーズごとに最適な運用体制について事例を交えて考察していきます。
1. LINEと自社アプリ、リピーター獲得手段としてのメリット・デメリット
顧客のリピーター化、ファン化という目的では、Instagram・Tiktok・X(Twitter)、そして LINE 公式アカウント・LINE ミニアプリと iOS/Android アプリが比較されます。
これらのツールは、大きく分けて
- 新規獲得に強い:X (Twitter)
- リピーター獲得のための情報配信に強い:LINE 公式アカウント、LINE ミニアプリ
- リピートから購買・ファン育成につなげやすい:自社アプリ
- 顧客層によってはバランスよく効果が出る:Instagram、TikTok
という分類になります。
関連記事:自社アプリのメリットとは? WebサイトやSNS/LINEとの役割の違いを整理
とはいっても、LINE 公式アカウント・ミニアプリと自社の iOS/Android アプリでは、できることの幅から初期費用・運用費用、どんな企業に向いているかまで、さまざまな点で違いがあります。
LINE の強みとデメリット
世代を問わずほとんどの人が日常的に使っている LINE からメッセージを配信できるため、LINE 公式アカウントのプッシュ通知は開封率が最も高くなります。LINE 公式アカウントを友だち登録するだけでインストールの手間もないため、継続的な情報配信・顧客接点の増加という点では、メールマガジンや iOS/Android アプリと比較して最も効果的といえます。
プッシュ通知からは LINE のトークルームにしか誘導できませんが、「LINE ミニアプリ」という形式の Web アプリを用意することで会員証や実店舗の順番待ちなどネイティブアプリに近い機能を提供することもできます。
関連記事:LINE ミニアプリの機能とは?特徴・メリット・デメリット・活用事例について
一方で、あくまで LINE を経由して LINE というアプリ内で顧客とコミュニケーションを取るため、独自の体験やユーザーごとに最適化した施策を提供しづらいという点がデメリットとなります。
また、ほとんどの企業はプッシュ通知の配信が従量課金制になるため(※後述)、顧客が増えるほどランニングコストも増大するという点も中長期的なリスクとなります。
ネイティブアプリでしかできないこと
自社アプリの場合、LINE の中ではなく一つのアプリとして展開するため、
- 独自のデザイン
- 顧客のスマホのホーム画面へのアイコン設置
- アプリ内メッセージによる誘導
- システム連携によるパーソナライズ
といった差別化ができる点がメリットとなります。総じて「LINE よりもできることが多く、自由度が高い」といえます。
LINE と比較すると初期費用はかかるものの、プッシュ通知やクーポンの配信で接点を維持したリピーター顧客により良い体験を提供し、訪問頻度の増加や購買行動につなげやすいことで、売上への貢献が期待できます。


参考
2. LINE公式アカウント・LINEミニアプリと費用面で比較
アプリの開発費用の目安
アプリの開発費用は、どんな機能をつけるかによって大きく左右されるので一概には相場を出すことができません。
ただし一定の品質の iOS/Android アプリをつくる際の目安として、国内外の調査データでは以下のような相場となっているようです。
- 会員ログイン・クーポンなどの店舗アプリで 500~1,000 万円
- 旅行・EC などプラットフォーム型のアプリで 5,000 万円以上
関連記事:【アプリ事業の予算組み】iOS/Androidアプリ開発費用の目安と、外注・委託時の注意点
ネイティブアプリは iOS/Android OS という二種類の環境でアプリを構築する必要がありますが、LINE ミニアプリは Web アプリなのでどちらのスマートフォンにも対応できます。ですので、ある程度の機能を持った LINE ミニアプリの開発費用としては、ネイティブアプリの半額程度で考えられます。「順番待ち」など一つの機能に特化したパッケージであれば、初期費用数十万円のものもあります。
ただし、近年ではネイティブアプリの開発費用の高さという課題を解決すべく、初期費用と工期を大幅に削減するノーコード(SaaS パッケージ型)での iOS/Android アプリ提供も一般的になっています。
ですので、初期費用の目安としては
iOS/Android アプリのスクラッチ開発 > iOS/Android アプリのノーコード開発 ≒ LINE ミニアプリのスクラッチ開発 >>> LINE ミニアプリのシンプルなパッケージ導入
となります。
関連記事:iOS/Androidアプリのスクラッチ開発とパッケージ開発、導入の決め手をご紹介
LINE公式アカウント運用費用の相場
特に立ち上げたばかりのスモールビジネス・小規模店舗であれば「リピート施策は LINE 一択」といえるほど、ライトプランまでの運用費用は格安といえます。
| コミュニケーションプラン | 月額0円、200通までメッセージ配信可能 |
| ライトプラン | 月額5,000円、5,000通までメッセージ配信可能 |
| スタンダードプラン | 月額 15,000円、30,000 通までメッセージを配信可能 以降、1 通あたり 3 円以下での追加購入制 |
ただし、友だち数が 10,000 人であれば定額でプッシュ配信ができるのは月 3 回まで、友だち数が 30,000 人であれば 1 回までとなります。ですので、多くの場合は「プッシュ配信を使った分だけの料金」という従量課金システムになります。
多くのリピーター(友だち)を抱える規模に成長すると、LINE 公式アカウントからの継続的なプッシュ配信だけで毎月数十万円かかるケースも少なくありません。
自社で iOS/Android アプリを持つ際のランニングコストとは
LINE公式アカウントは、プッシュ通知を頻繁に配信するほど、会員が増えるほど月額コストが増加します。
一方、自社アプリは、プッシュ通知の配信数で月額コストは変動しません。「会員数〇万人の iOS/Android アプリを維持するためのコスト(保守・運用費用またはノーコードサービス利用料)」がかかります。
| フルスクラッチで自社アプリを開発 | 外注の場合は開発企業との保守契約次第 |
| ノーコードサービスを利用して自社アプリを構築 | プッシュ通知の頻度は料金に影響しない ダウンロード数やアクティブユーザー数による従量課金制が多い |
保守・運用費用の内訳としては、
- サーバーの維持費用
- iOS/Android 自体のアップデート対応(それぞれ 1 年単位)
- iPhone など新端末の画面サイズ対応(不定期)
- 不具合・バグの修正対応(不定期)
といったコストとなります。プッシュ配信やお知らせ・クーポン機能の利用度合いによって変動することはないため、LINE と比較すると月間の予算が想定しやすいといえます。
導入のポイント:LINE → 併用 → アプリへの一本化が「王道」
これまで LTV 向上を目的としたデジタルマーケティングが成功している先行事例の多くで、下記のように事業の成長に応じた 3 つのフェーズに分けての運用が行われてきました。
1. LINE 公式アカウントでプッシュ配信施策を行い、運用の知見を貯める
- 実店舗や Web サイトからの誘導で友だち登録を促す(アプリに比べて心理的ハードルが低い)
- 読まれやすいプッシュ通知のパターン、開封されやすい時間帯など、自社の顧客のことを理解する
2. 自社アプリを構築し、使い分けながら少しずつ移行していく
- 自社アプリをリリースし、LINE 上でアプリのメリットを紹介して誘導する
- アプリではより細やかな施策と分析ができるので、顧客のより深いニーズや好み、傾向を把握する
3. 自社アプリをメインに運用し、LINE は強みが生きる用途で活用
- LINE の従量課金コストを抑えるため、重要なお知らせのみ配信または運用を停止
- 細かいお知らせはアプリで配信
- アプリの追加開発やデザイン改善に投資し、さらなるファン育成を進める(外注から内製への切り替えも)
先行事例:「仮会員証」を持つ LINE で囲い込み、アプリに一本化したニトリ
国内有数の小売企業として名が知られるニトリでは、今では独自アプリを展開していますが、その認知には積極的に LINE 公式アカウント・LINE ミニアプリ、そして iOS/Android アプリの運用に注力してきた背景があります。
初期ではまず、ユーザーが LINE 公式アカウント上で「仮会員証」を作れる仕組みになっていました。自社アプリをダウンロードすることには抵抗がある顧客を繋ぎとめながら、プッシュ配信なども交えて自社アプリでの「本会員登録」へ誘導してきました。(※2024 年に LINE 会員証サービスは終了済)
また、現在のニトリの公式アプリは単なる会員証やお知らせ配信アプリではなく、在庫状況の確認や売り場フロアの案内などもでき、非常に高機能な点も特徴です。 「LINE のプッシュ配信費用がかさんできたから、アプリでコストダウンを」と安価で低品質なアプリを作ってしまった場合、せっかく獲得した顧客を失うリスクもあるため、アプリに一本化する際は品質も重要になります。

アプリ運用の効果としては、
- アプリ会員は、プラスチックのカード利用者や LINE 会員に比べて年間購入回数が 1.5 倍
- 同様に、年間購入金額が 1.7 倍
- 実店舗と EC(アプリ)の両方を利用する顧客は、購入回数も購入金額も約 2 倍になる
出典:株式会社ニトリホールディングス 2025年3月期 第1四半期決算説明会
と、「売上を伸ばすためには自社アプリを活用」「アプリ会員を獲得するには LINE を活用」という定説を裏付けるデータが残っています。
今でも季節ごとの商品チラシなどは LINE で配信しており、アプリをメインとしながらも両者の強みを生かして併用されています。DM・カタログの郵送コストを考えると、LINE 公式アカウントからの配信はオフライン施策の代替手段としても十分に検討できます。
まとめ
LINE 公式アカウント・LINE ミニアプリと自社アプリ、どちらを導入するか・どちらに投資すべきか悩んだときは、「どちらの手段が効果的」という以前に「役割が異なる」ことをまず意識しましょう。
売上に貢献しやすいのは iOS/Android アプリですが、インストールや会員登録を促す宣伝の手間やコストもかかります。顧客のことを理解し、効果的なリピート促進施策が打てなければ、せっかくの投資が無駄になってしまうリスクもあります。
ニトリを筆頭にバーガーキング、コカコーラなどが行ってきたように「LINE(やSNS) → 自社アプリ」というグラデーション的な併用・使い分けは、多くの企業にとって参考になるはずです。それぞれのフェーズの定義を自社に当てはめながら、LINE から自社アプリへと CRM 基盤の移行をしていくことも選択肢の一つです。
当社では、LINE ミニアプリとネイティブアプリどちらの企画・開発も手掛けておりますが、もちろん最初から自社アプリを導入したいというご相談も歓迎です。お客様の事業規模やビジネスに応じて、必要な機能や既存のシステムとの連携の可否、そしてインストール促進の施策なども含めて企画段階から伴走してコンサルティング可能です。
「アプリ開発のメリットをもっと詳しく知りたい」、「LINE運用と比較したが、やはりアプリ導入と迷う」など、お困りの際にはぜひお気軽にご相談ください。
計 2,000 店舗以上のアプリ・EC・メディア運用支援の経験がある当社 CS 担当が、アプリの効果や費用感など気になる点について、当社で支援させていただいた企業様の事例も交えて回答いたします。もちろん、御社ならではの事情を踏まえたご質問も歓迎です。
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