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アプリの公開後にかかる費用とは?保守運用コストを下げる方法はある?

アプリにかかる費用について
2024.01.17
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    (2024 年 1 月更新)

    アプリ運用を成功させる鍵は、いかに開発後の保守・運用の費用を確保できるかにかかってきます。

    アプリを開発したものの、トラブル発生時の復旧が遅延や、ユーザーのアプリアップデートの声はあるけれども費用が足りなくて対応ができない場合、ユーザーが離れていくおそれがあります。

    このブログでは、保守・運用を見積もる際の必要な費用の内訳や金額、開発費用を抑えるポイントをご紹介しておりますので、ぜひご参考にしていただければと思います。

    画像

    1.アプリの保守運用業務とは

    アプリはリリースして終了ではなく、リリース後に「保守」と「運用」業務が発生します。それぞれ役割が異なるため、整理しましょう。

    保守業務について

    保守業務は、不具合が発生した際に緊急対応や改善の作業を行います。

    • システムやアプリの障害発生時の復旧作業
    • OS アップデートにともなう修正作業
    • アプリの機能追加

    運用業務について

    運用業務は、リリースしたアプリが安定して稼働するように日々監視します。

    • システム環境の監視
    • システムやサーバーデータのバックアップ作業
    • 広告や宣伝など、アプリの認知度を高めるためのマーケティング

    2. アプリの保守・運用費用の一覧と相場

    アプリの保守・運用費用に必要な費用は、アプリ開発費用の 15% 程度が相場といわれています。

    一般的なアプリ開発の種類別の相場から保守・運用費用を換算すると

    img - 開発コスト図

    • 一般的な小売企業アプリ:120 万前後
    • EC アプリ 120 から:525 万円
    • 高機能なアプリ:600 万円以上

    となります。

    また、海外のアプリ開発からマネジメントまで手掛ける SPD LOADによると、モバイルアプリケーションのコストを見積もる際、特に見落としがちなのは、「マーケティング費用」と「メンテナンス費用」と記されています。

    理想的な「マーケティングコスト」は、初期開発価格の 2~3 倍であり、「メンテナンス費用」は、初期開発費用の 1/2 と述べられています。

    マーケティングコストの内訳については、 3-2. 宣伝費用でふれていきます。 メンテナンス費用の内訳は、以下 2-1. サーバー費用よりご紹介いたします。

    出典:

    2-1. サーバー費用

    アプリを運用している場合、毎月のサーバー費用が発生します。サーバーとは、データを保存して管理するものです。サーバー費用の目安はユーザー数と保存データ量とお考え下さい。

    個人事業規模の安価なプランでは月額 2,000 円くらいから始めることも可能ですが、事業規模が大きくなるほどランニングコストも上がっていきます。

    • ユーザー数が増えるほどサーバー費用も上がる
    • ユーザーが画像や動画を投稿できるコンテンツはデータ保存量が多くなる=コストが上がる
    • 大規模キャンペーンなど、アクセスが集中するイベントを開催するとサーバーへの負荷が高まる=一時的に費用をかける必要あり

    2-2. 一般的な保守・運用費用

    開発プログラムのソフトウェアやデータベースなどのハードウェアに関連するものが以下に相当いたします。

    不具合修正費用

    リリース直後や新機能実装後、または何かしらの不具合修正後では、アプリを利用する上で予期せぬ不具合が発覚することもあります。

    クラッシュの多発や機能が全く使えない状況に陥ってしまうと、せっかくアプリをインストールしてくれた顧客が離れていってしまいます。

    アプリ事業では、不具合を素早く修正することが求められますので、不具合修正費用は運用コストの中でもあまり軽視できない項目です。

    データベース構築・維持費用

    以下はアプリが使用する主なデータベース (DB) 利用料金の一部です。 DB の容量や案件に必要なパフォーマンスで費用が変動します。

    ライセンス費用(Processor License)
    Enterprise Edition Standard Edition
    Oracle ¥6,650,000 ¥2,450,000(Standard Edition 2)
    MySQL ¥823,900 /1サーバー(1-4 ソケットの場合) ¥329,560 1サーバー(1-4 ソケットの場合)
    年間保守費用(Software Update License & Support)
    Enterprise Edition Standard Edition
    Oracle ¥1,463,000 ¥539,000(Standard Edition 2)

    ※ MySQLの年間保守費用は、ライセンス費用に含まれます

    出典:

    2-3. ネイティブアプリ固有の維持費用

    ネイティブアプリ開発時には、以下のランニングコストも発生します。

    アプリストア登録の更新費用

    アプリストアとは「App Store」「Google Play」など、ユーザーがアプリを購入・DLできるサービスです。

    iOS/Android アプリを公開するには、上記アプリストアにアプリを登録する必要があります。App Storeの場合、年 1 回の更新費用がかかります。

    初回登録費用 更新費用
    App Store 99米ドル(約 14,000円) 99米ドル(約 14,000円)
    Google Play 25米ドル(3,600円) なし

    ※2024 年 1 月現在、1 ドル 144 円として計算

    ネイティブアプリを構築した際は、両方のプラットフォームへ登録することが一般的なので、登録更新料を予算に確保しておきましょう。

    OS (iOS/Android)アップデート対応費用

    私たちが開発するアプリと同様、スマートフォン自体も、より便利になるように Apple 社と Google 社によって定期的に更新されています。

    ですが、OS がアップデートされると、今まで問題なく動いていたアプリに予期せぬ不具合が起きることもあります。iOS のアップデートによって不具合が起きた場合は、アプリユーザーの多くが影響を受けてしまうため、素早く対処することが求められます。

    基本的には、iOS/Android ともに 1 年単位で大きなアップデートがあります。つまり、アプリ事業においては毎年「iOS/Android のアップデート対応」も想定しておく必要があります。

    2-4. その他

    アプリだけでなく、同時に webも構築する場合、以下のような費用も発生します。

    SSL証明書費用

    SSL証明書とは、アプリとサーバーの通信を暗号化し、保護するための重要なセキュリティ機能です。
    金融機関や ECサイトといった、個人情報やクレジットカード情報など、金銭に関わるやりとりを保護するために必要です。

    費用相場としては、年間約 3,000円 から 8 万円です。認証局からのデータ流出時の損失補償がついているような、年間 10万円を超えるプランもあります。
    扱うデータやアプリの規模によって、SSL証明書のレベルを考えましょう。

    参考: さくらインターネット株式会社 SSL証明書価格一覧

    ドメイン取得・更新・維持費用

    ドメインとは、インターネット上でホームページやブログを表す住所のようなものです。「http://www.企業名.com」 など、アプリやサービスを連想させる看板となります。

    費用相場としては、年間 1,000円 から 5 万円です。取得するドメインによって、費用が大きく変動します。
    ドメイン取得費用は年間契約が主流であり、更新も 1 年ごとが主流です。また、更新料も初回契約と同等の料金が発生します。

    SSL 証明書費用とドメインについてですが、アプリ開発と同時に Web も構築する場合のみ発生します。

    人件費

    アプリの開発要員としてエンジニアの確保はもちろん必要ですが、リリース直後や新機能を実装したあとに不具合を修正するための要員確保も重要です。

    以下は一般的なエンジニアのひと月分の単価相場です。エンジニアの技術力や経験値によって価格が異なります。

    一般的なシステムエンジニア費用相場
    初級システムエンジニア 60万円~ 100万円/月
    中級システムエンジニア 80万円~ 120万円/月
    上級システムエンジニア 120万円~ 160万円/月

    3. アプリの運用コスト・マーケティング費用と相場

    アプリを継続的かつ、快適に利用してもらうには、アップデート費用と宣伝費用が必要です。

    3-1. 機能追加・アップデート費用

    アプリ事業では、ユーザーのニューズに応えた機能追加や改善、アプリのアップデート費用も発生します。

    機能追加に関しては、実装する機能によって公開後の追加費用が大きく変わるので、コストと優先順位の両軸での判断をおすすめします。

    また、ノーコード/ローコードパッケージを利用している場合と、フルスクラッチ開発でアプリを構築している場合でも機能追加の工数や金額が変わります。

    3-2. 宣伝費用

    マーケティングに関わる宣伝費用として、以下のことに使用されます。

    • Facebook・Instagram・Twitterなどの SNS に掲載するソーシャルメディア広告費用
    • 検索エンジン広告
    • セールスファネル(潜在顧客が顧客化するために必要なアプローチ)
    • メールマーケティングや PR活動

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    4. アプリの保守・運用コストを下げる方法

    アプリの保守・運用コストを抑える方法はいくつかあります。

    方法をご紹介する前にまずおすすめしたいことは、運用・保守費用が開発コストの 15%以内になるかを事前に確認することです。

    保守・運用コストを細分化し、最低限必要なコストを洗い出す必要があります。

    では、6つのポイントに分けてご紹介します。

    4-1. 複数の業者に同じ内容で見積もりをして比較する

    アプリ開発を発注する企業を選定する際、複数の業者に同じ内容で見積もりをすることで、費用と対応内容に一番納得できる業者を選定することができます。3~5社に同様の見積もり依頼をすることで、適正な価格を知ることが可能です。

    しかし、「低価格の費用にこだわりすぎると、品質低下を招く恐れがある」という点には注意しましょう。
    アプリ事業は、アプリを通して顧客の満足度向上や企業のファンになってもらうことが目的なので、低価格のみに重点を置くと、本来の目的を達成できない危険性があります。

    また、保守運用には既存のコードや仕様の把握が必要なため、仕様を把握する時間がとれず、急なバグや不具合に対応できない場合もあります。

    4-2. 実装する機能を絞る

    顧客に最小限の価値を提供できる成果物のことを MVP(Minimum Viable Product)と呼びます。
    まずは最小限の機能を搭載した MVP(アプリ) をリリースし、運用しながらユーザーからのフィードバックを元にアプリをアップデートしていくという戦略もあります。

    また、 MVPを実現できるノーコードパッケージがある場合は、パッケージを選択する方法もコストダウンに有効です。

    4-3. 外部のリソースを活用する

    アプリの保守・運用するベンダーを選ぶことで、費用を削減できる場合もあります。

    • 開発を内製し、保守運用のみを社外ベンダーに依頼
    • 開発・保守運用をベンダー A に依頼し、運用開始 1 年後に保守運用をベンダー B に切り替え

    といったケースが考えられます。
    保守・運用のみを外注する場合、

    • 外部からの知見を活かして新たな改善案や最適化方法を見出すことができる
    • アウトソースするので、給与という継続的な固定費用がかからない

    というメリットはありますが、前述のようにアプリ事業は顧客の満足度向上を目的とすることが多いため、保守・運用費用を大幅に削減することはおすすめできません。

    4-4. プロジェクト管理や品質管理を効率化する

    プロジェクト管理や品質管理を効率化し、同時に保守運用費用を抑えるためには、いくつかの戦略があります。

    アプリ事業は長期戦になるので、保守・運用を内製する場合は、以下のようなノウハウを社内に蓄積することが重要です。

    • 追加で新機能リリースをする際の予算とスケジュール感をつかむ
    • プロジェクト管理ツールを使って、タスクの進捗状況やアサインの割り当てを可視化することで、時間と経費の節約を目指します
    • テスト工程を機能ごとに分析し、最適化する

    4-5. クロスプラットフォームのフレームワークを利用する

    クロスプラットフォームとは、iOS / Android など異なる OS向けのアプリを 1つの環境と 1つのプログラミング言語で開発することが可能となります。
    代表的なものとして、Flutter (フラッター)というフレームワークがあります。

    通常のネイティブアプリ開発では、iOS / Android へ対応する言語や開発環境を複数用意して開発・保守およびテストを進める必要があり、その分コストがかかります。
    そこで、クロスプラットフォームの Flutter を活用することで、ランニングコストも削減できます。

    しかし、ネイティブアプリと比較した際にはアプリの動作速度が劣るというデメリットもあります。開発するアプリの内容をふまえてソフトウェアやフレームワークを選択しましょう。

    4-6. ネイティブアプリ以外の手法を検討する

    開発コストを下げる方法として、「Web アプリ」や「LINE 公式アカウント ・ LINE ミニアプリ」を採用することも一つの手段です。

    Web アプリ

    上述したとおり、ネイティブアプリは複数の開発言語や開発環境を用意して開発しなければならないのですが、 web アプリはネイティブアプリと異なり、複数の開発が必要ではありません。そのため、費用を抑えて開発することができます。

    また、Web アプリはネイティブアプリ同様、「ホーム画面にインストール」のポップアップを出してホーム画面にアイコンを設置することができます。「PWA」として構築することで、プッシュ通知を配信することも可能です。

    LINE 公式アカウントと LINE ミニアプリの併用

    企業の知名度をこれから上げる段階で、一定のファンを獲得したいという目的でしたら、LINE 公式アカウントと LINE ミニアプリを併用し、プッシュ配信から始めることも非常に有効です。

    LINE には、「プッシュ配信」「クーポン」「会員証」「事前予約」などの機能があり、iOS/Android アプリ導入前にマーケティング施策の経験を積むことができます。まず、 LINE を通じて一定のファンを獲得した後、ネイティブアプリの導入を始めることをおすすめいたします。

    ただし、運用コストという点では LINE は従量課金制のため、会員数や配信数によってはネイティブアプリ以上に割高になるリスクもあることに注意しましょう。

    img- LINE費用

    出典

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    5. アプリ公開後にかかる運用コストまとめ

    上記のように、アプリ開発後も

    • サーバー・DB などの費用
    • 毎年の OS アップデートなど、iOS/Android 固有の保守費用
    • 運用・改善・マーケティング費用

    といったランニングコストが発生します。保守や運用に必要な費用を把握することで、長期的なアプリ事業の成功につながります。
    ですので、初回リリース時には、 MVPで機能をしぼり、ユーザーのフィードバックやアプリの稼働状況をふまえてアップデートしていく戦略もあります。

    また、事業規模が小さいうちは、コストダウンの観点からネイティブアプリ開発ではなく、クロスプラットフォームで開発できる Flutter の活用、動作速度に縛りはあるものの Web アプリや LINE の運用から始めてみることも有効です。

    合同会社バックアップでは、iOS/Android アプリだけでなく Web アプリ・LINE ミニアプリの開発も手掛けています。

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