合同会社バックアップ

Interview

社員インタビュー

海外10か国を旅しながら働いたエンジニアの新たな挑戦──「フルリモートでも働ける環境づくりが PM の仕事」(BackApp 社員紹介 Vol.1)

<メンバープロフィール>
フリーランスの Android エンジニアとして複数の企業と仕事をしている中、BackApp と関わりを持つ。海外を旅しながら働く「ワーケーション(旅 × ノマドワーク)」を始めることをきっかけに、フルリモートワークである BackApp の専業になり、アジア・ヨーロッパ・北米・南米の約 10 か国を旅しながらエンジニアとして働く。
帰国後、自身のキャリアを考えてエンジニアから PM になることを志し、正社員として入社。

──大屋さんは、PM になるまでのキャリアとしてはずっとエンジニアだったんですか?

大屋:
はい。大学を卒業して半年ほどニュージーランドにワーキングホリデーで語学留学をしていましたが、帰国してからエンジニアとして就職しました。そこで正社員として 3 年間働いた後、2 年間はフリーランスをやっていました。

──エンジニア時代はどういった仕事をされていたんですか?

大屋:
Java サーブレットでサーバーサイドエンジニアを 1 年ほどやってから、Android アプリ開発をやるようになりました。

案件としては、某マッチングアプリや、某有名アイドルグループのメールサービスアプリを担当していました。

──エンジニアになったきっかけは何だったんですか?

大屋:
中学時代から趣味でホームページを作っていたので、その流れで工業高校に進学して、大学でも工学部に進学しました。学生時代から Android アプリを作っていましたし、「自分にはエンジニアしかないかな」と思っていたので、そのまま Android アプリ開発のエンジニアになりました。

──海外を旅していてアクティブなイメージがあるんですけど、中学生の頃からホームページをつくるような趣味もあったんですね!

大屋:
そうですね。とはいえ、本当に衝動だけで、この場ではあまり言えないようなホームページでした(笑)。とにかく思いついた HP をたくさん作っていました。

──テクノロジーに早期から可能性を感じていたんですね。そもそも BackApp と仕事をするきっかけは何だったのですか?

大屋:
フリーランスの Android エンジニアとして働いている時に声をかけてもらい、定期的に仕事をいただいていました。そんな中で、海外を旅しながら仕事をしたいと決めたことで、フリーランスではありながらフルリモートで働ける BackApp 一本に絞りました。

──定期的な出社義務もないので、一時帰国もする必要がないですからね。

大屋:
はい。おかげで約 10 か国を旅しながらエンジニアとして仕事ができました。

その後、自分のキャリアを考えたときに、もっとビジネスサイドのことも理解したいと思い、社員として採用してもらってエンジニアから PM にジョブチェンジしました。

旅しながらのリモートワークは「いかに集中して仕事を早く終わらせるか」

──もともと、「旅をしながら働く」という生活スタイルに挑戦したきっかけは何だったんですか?

大屋:
日本で正社員として働いているときからずっと、海外で働きたいと思っていたんです。だから一度、海外に支社がある会社に転職しようかとも考えたのですが、話を聞くと自分のイメージとは若干違ったので、一旦フリーランスになって考えようと思いました。

フリーランスでも常駐エンジニアだと難しいのですが、BackApp の案件はフルリモートだったので、ふと「このまま海外に行っても大丈夫だな」と思い、BackApp の案件だけに絞って旅に出ました。

──すごい行動力ですよね。「海外でのリモートワーク」って、最初はどんな印象でしたか?

大屋:
リゾート地でハンモックに揺られながらパソコンでゆったり仕事をしているイメージでした。でも、ちょっと甘く考えてましたね(笑)。

──実際は違いましたか?

大屋:
意外に時間と労力がかかることが多くて、ストレスも溜まりますよ。

たとえば 次に住む場所を決めるのにも、治安や周辺環境を調べたり、航空券の手配をしたりしないといけません。そして新しい場所にしばらく住むとなると、現地の生活に溶け込むための努力が必要です。

──なるほど。ワーク以前の、旅そのもののキツさですね。「旅」と「仕事」の切り替えというか、1 日の過ごし方で心掛けていることはありますか?

大屋:
仕事をする日もしない日も、10 時くらいに起きるようにしています。緊急の仕事がなければ、タスクに集中してだいたい 4 時間くらいで終わらせるようにしています。

1 日 8 時間働く日はあまりないようにしたので、観光したり興味のあることを勉強したり、海外ならではの色々なチャレンジができました。

──せっかく海外にいるのに、長時間働くのはもったいないですもんね(笑)。旅する中で、時差で困ったりはしませんでしたか?

大屋:
うーん、BackApp だとエンジニアに「緊急対応」を頼むことが少ないようにしていますし、あんまり感じたことがないですね。

そういえば面白かったのが、夜型の人が海外に行って時差ボケすると、朝型になるんですよ。だから、日本で夜型の人は、海外に行くと規則正しい生活が送れるかもしれません(笑)。

──なるほど(笑)。となると、旅しながら仕事するというスタイルで、デメリットは何だと思いましたか?

大屋:
仕事で人と会うことがないので、技術のキャッチアップは自分からやらないといけないですね。特にエンジニアの技術まわりはサイクルが速いので、自分から動かないとどんどん遅れていますしね。

──なるほど。机を並べているエンジニア同士であればそこで交流はできますが、基本 1 人ですからね。

大屋:
はい。だから自分から能動的にネットなどで調べる習慣をつけました。

移住ではなく、旅しながら働く「ワーケーション」を選んだ理由

──もともと、海外のどこか一か所でずっと暮らす(移住)というよりは、旅が前提にあるのですか?

大屋:
そうですね。色々な所へ行ってみたいという気持ちがあります。今まで見たことのないこと、知らない文化を経験してみたいんです。だから国内よりも海外で、移住よりも旅なんです。

刺激がいいですよね。言葉が通じないところで、見たこともない事にチャレンジしたりして人生経験を積みたかったんです。

──やっぱり日本では得られない刺激があるんですか?

大屋:
はい。各国にはそれぞれ違う文化・常識があるので面白いです。 たとえば、今まで訪れたほとんどの国はパスポートだけで入国できたのですが、アメリカやカナダは不法滞在者を生まないようにしているので、エスタ(※)が必要になりました。

入国の時点で出国する時の航空券も必要になるので、カナダに入国する際は適当なメキシコ行きの安い航空券を取りました。

※Electronic System for Travel Authorization(アメリカ電子渡航認証システム)

──そういう国ごとの文化の違いを知るのも面白そうですね。

大屋:
あと、日本人からすると、電車で席を譲るのも少し恥ずかしかったりするじゃないですか。でも、海外の人にそれを話すと「なぜ?」と言われました。

特にメキシコやカナダの人は高齢者や女性に対して優しい印象があって、何も言わずスッと立ち上がって席を譲っていました。

──今までどんな国に行ったのですか?

大屋:
最初はフィリピンに行って、一時帰国したときに結婚しまして、新婚旅行としてアメリカに行って、その流れでカナダ・メキシコ・コロンビア・フランス・イタリアに行って、また一時帰国してから台湾・バングラディシュに行きました。

──新婚旅行からよくその流れになりましたね(笑)?

大屋:
もともと、妻も新婚旅行後にカナダで 3 ヶ月ほど語学留学をしたがっていたんです。だから、自分もそこについていきました。

──海外の国々を旅していると、お金のやりとりで苦労したことはないですか? 報酬の振り込みや、両替など。

大屋:
報酬は日本の銀行口座に日本円で振り込んでもらって、海外での支払いはクレジットカードを使うようにしていますが、現地で現金が必要になったときに少し苦労しますね。

正直、手数料を考えると、空港などで両替するより ATM でキャッシングするほうがよかったです。

──ちなみに、旅先で大屋さんと同じようにノマドワークをしている方はいましたか?

大屋:
ほとんどがバックパッカーで、仕事をしながら旅している人はいませんでした。

でも、僕はワーケーションのほうがいいと思いますよ。バックパッカーって貯金を切り崩しながら旅をするんですが、ワーケーションは貯金をしながら好きな旅ができるんです。旅と仕事の両立ですね。

──普通に海外旅行に行くと、お金もかかりますからね。

大屋:
はい。特に若いうちに海外の世界遺産を観てまわりたいと思っても、普通に働いていると時間の面でもお金の面でも海外旅行に行けるのは年に一回か二回ですよね。

だからこそ、旅と仕事を両立できたことはとても良かったです。

エンジニアとして、海外の IT 事情に刺激を受けることが多かった

──広く海外全体と日本を比較して、日本の課題というか…カルチャーショックを受けたことはありましたか?

大屋:
海外のほうが IT 化が進んでいたことですね。

たとえばメキシコは発展途上国のイメージがあったのですが、街中に電動のキックスクーターがあって、スマホをかざすだけで借りられます。住む場所も Airbnb を使うと決済まですべてアプリで完結できますし、困ったことがないです。

──電源や Wi-Fi など、パソコン作業の環境は大丈夫でしたか?

大屋:
自分が旅していたところは都市部が多かったので、あまり不便はなかったです。ただ、一度フィリピンで困ったことはありました。

フィリピンって、場所によるとも思いますが平均的にネットが遅いんですよ。1GB のファイルを落とすのに 3時間くらいかかるし、Skype でミーティングをするときもラグが生じたりします。

当時は寮の Wi-Fi が遅くて、通っていた学校に移動しても遅かったので、ミーティングのために近くのショッピングモールまで移動したことがありました。

──とはいえ、最近はフィリピンでも優秀な技術者が増えてきていると聞きますよね。

大屋:
はい。フィリピンでは Google I/O に参加されてもらったんですが、学生なのに語学スキルも IT スキルも高い人が多くて、将来的に脅威になるかもしれないと思いました。

──なるほど、かなり色々な経験をされていますね。お話を聞いていると、みんな一度は「ワーケーション」で視野を広げておくといいのではないかと思えてきます(笑)。

大屋:
そう思います。BackApp のようにフルリモートで柔軟に働ける会社が日本にもっと増えてほしいですね。週一出勤でいいなどは増えてきていますが…。

リモート開発の鍵は、PM がエンジニアへの要求を必要最低限まで削ぎ落すこと

──大屋さんがフルリモートでエンジニアをやっていた当時、BackApp の業務フローをどう感じていましたか?

大屋:
エンジニアとしては超やりやすかったです。まず仕様書がしっかりできていたので、困ることが少なかったです。そして仕様のことで質問があるときは PM に聞けば解決できるので、クライアントと直接やりとりすることがなく、開発に集中できました。

BackApp は、代表の岡田さんが元エンジニアなので、PM がエンジニアを守るような文化があるんですよね。

──そうですね。PM がエンジニアに丸投げしないような文化ですよね。

大屋:
リモートワークって、お客さんの理解ももちろん必要なんですが、何よりマネージャが手を抜くと絶対に成り立たないですからね。

自分が旅をしながら働かせてもらう中で実感したので、今は自分がそんな PM になれるように勉強しています(笑)。

──現在 PM としては、どんなところに気をつけていますか?

大屋:
自社のエンジニアとクライアントの両方をバランスよく見るようにして、全体としてどうやったらうまくいくかということを考えています。

複数人のチームで開発しているので、他の会社でも仕事をしているフリーランスの方が「この期間は働けません」となれば、スケジュールをずらしたり、違う方にヘルプを頼んだりできるように体制を組んでいます。

──ウチはたぶん、割と柔軟な体制ですよね。

大屋:
これは代表の岡田さんから教わりましたが、BackApp では「いま」「みんなと」「ここで」というやり方はしていません。時間と場所が制限されない仕事の進め方をしているというか…。

PM は「このレンジの中で “これ” をこなしていけばプラン通りにプロジェクトが進んでいきますよ」という前提だけをエンジニアの方々に守ってもらうようにしています。 逆にそれ以外の幅は自由にやってもらえるようにプランニングするので、僕自身が海外でエンジニアをしていても困ったことはあまりなかったですね。

──お客さんとのやりとりで気をつけていることはありますか?

大屋:
やっぱりスケジュール調整ですね。

自分がエンジニアだったとき、「納期を早くしてほしい」というクライアントの要望を PM が止めてくれたことがあったんです。だから、僕も急ぎの案件のときはその意向をエンジニアに伝えますが、何の根拠もなくただ納期を早くしてほしいとだけ言われると、クライアントに「何故ですか?」と確認するようにしています。そこに妥当性がないと、BackApp としては先に進められないですね。

──元エンジニアだからこそ、PM として何をすればメンバーが(副業やリモートでも)気持ちよく働けるかを考えられるんですね。本日はどうもありがとうございました!

大屋:
ありがとうございます!