店舗・施設のDXの第一歩?会員証・ポイントカードやWebをアプリ化するメリットと注意点

近年、小売店舗はもちろん、さまざまな業種の企業様から「DX を進めたい」というお話の流れでスマホアプリ活用のご相談をいただく事例が増えています。

DX の第一歩としてよく候補に挙げられるものは、「ポイントカード・会員証を顧客のスマホアプリにすることで、紛失リスクを無くして利便性を向上させつつ PUSH 配信で継続的に接点を持ちたい」というご相談です。

実際に会員カードをアプリ化しながら PUSH 配信で顧客との接点を増やすという DX の事例は多くあります。しかし、「なぜアプリなのか」「アプリの価値はどこにあるのか」という視点が欠けていると現場のスタッフや顧客に使われづらいものになってしまうため、事前に知識をつけて戦略を練ることが重要になります。

今回は iOS/Android アプリの企画・開発を検討されるお客様が多い “販促” や “(継続的)集客” を目的した案件について、知っておくべきポイントを整理していきます。

アプリ化・新規アプリ開発で最初に集中すべきは「リピート(継続的接点)の増加」

まだ社内でデジタル施策が十分にできていない状態であれば、DX を進めるために重要なことは「優先度が高く、取り組みやすいことを一つずつ進めていく」こと です。

十分な知見や予算、人手がいれば大掛かりな DX 施策も可能ですが、アプリ開発の時点で複数の視点での目標を同時に追いかけるのは簡単なことではありません。事業企画・経営企画の部門では理解できていても、実際にデジタルツールを運用する現場ではメリットを感じづらく、業務負荷が大きくなるからです。

一般的には、「Web は広く浅く、アプリは狭く深く」という役割になります。新規顧客の獲得や見込み顧客の育成に関しては大手ポータルサイトや SNS への広告出稿などのほうが相性が良いため、アプリでは Web サイトや SNS ではカバーしきれない "初回来店後" のフォローに特化するのが得策です。

新規顧客数よりも既存顧客のフォローで事業成長を目指すという考え方も浸透してきている

「アプリをダウンロードするというハードルをくぐってきたユーザーは、それだけエンゲージ(※)が高い。そのため、利用人数だけで見るとアプリがウェブに負ける場合でも、一人あたりの購入単価やコンバージョンレートは、アプリの方が断然高くなります」

参考:https://markezine.jp/article/detail/24017?p=2
※編集部注:親密さなどの意味。よく使ってくれるか、アクションしてくれるかなどの指標

Web や SNS は “認知” や “新規集客” に強みを持ちますが、“ファンを作る” という目標には向いていないことがデメリットです。一方で、iOS/Android アプリはダウンロードしてもらうことも継続的に利用してもらうことも困難ですが、継続的に接点を持てるので優良顧客を生みやすいといえます。

事業の売上を伸ばす際には、つい「顧客数」を伸ばしたくなりがちです。とはいえ、新規顧客の獲得は広告費の高騰や PR 施策のトレンドの移り変わりの速さから、年々難易度やリスクが上がっています。

ですので、パレートの法則にのっとり、アプリで顧客の「頻度」「単価」を伸ばすことを目指す事例が増えているのです。

また、アプリをよく利用してくれる常連顧客は細かい行動データも残るため、「自社の商品やサービスを愛用してくれるのはどんな層なのか」「顧客はどんな行動をしているのか」を詳しく知ることができ、商品開発や事業戦略にもプラスになります。

「プッシュ通知を送れる」ことが Web→アプリ化のメリットではない

近年はメルマガ・DM の効果が落ちており、「顧客と継続的に接点を持つためにはアプリを作ってプッシュ通知を送るのが良いのではないか」というご相談も増えています。

しかしこの要件だけであれば、企業の専用アプリを開発し、顧客にインストールしてもらう必要はありません。LINE の公式アカウントをつくり、友だち登録をしてもらえばいいのです。

PUSH 配信という面で比較すると、LINE でも

  • 特定の属性のユーザーのみに送ることができる
  • 画像や動画+テキストというリッチなメッセージも配信できる

という特徴はあり、実は「アプリの PUSH 配信のメリット」よく挙げられるものの一部は LINE でも実施できるのです。

LINE会員証/アプリ会員証/その併用の違い

さらに、LINE では開発コストこそかかるものの、「会員証機能」「来店予約・順番待ち機能(呼び出しを PUSH 配信)」といったアプリに近い機能もつけることができます。

なので、特にあまり予算をかけられないという場合は、LINE 公式アカウントおよび LINE ミニアプリを一度調べてみることも重要です。

参考:

一方で、LINE が完全に企業独自のアプリの代わりになるわけではありません。LINE では顧客の個人情報が分からない上に、PUSH 配信もあくまで LINE を起動するためのものです。その場で製品を購入したり、専用の来店予約フォームに飛ばすことはできません。

なので、独自で iOS/Android のネイティブアプリを開発するメリットは

  • 会員情報を登録してもらうことで、誕生日に自動でバースデークーポンを送るなど、より細やかな施策ができる
  • 新着情報がないときにもリマインド(再確認)を送ることができる
  • プッシュ通知をタップすると、すぐに購買ページ・予約ページなどに飛ぶことができる

といった点が挙げられます。まずは自社の DX の目的、アプリでやりたいことを明確にした上で、開発するプラットフォームを選ぶことが重要になります。

プラットフォーム比較図

業種によって Web/SNS・LINE・アプリの相性も変わる

たとえば、高単価商材や健康診断など、購入・来店のサイクルが長い業種は、そもそも顧客からすると企業との定期的な接点が必要ないと感じるため、アプリ化のメリットが弱いのです。

また、いわゆる低関与商材の日用品、コンタクトレンズやタンク式のウォーターサーバーなど、「ボタンを押すだけで継続購入したい(運んできてほしい)」商材を売る業種の場合は、アプリに豊富な機能を求められづらい傾向にあります。

ですので、「会員証・ポイントカードを DX するためのプラットフォームは何がいいのか」「どんな仕様にすればいいのか」というお悩みに対しても制作会社は回答しづらい部分があるのです。

費用を抑えて様子見 or ネイティブ機能を生かして差別化

まず DX のために社外のベンダーに相談する際は、社内である程度の戦略を固めておくことが重要になります。

また、ベンダーが自社の強みや実績を PR するだけでなく、自社のビジネスモデルや事情を理解した上で提案してくれるかを見極めることも大切です。

さらに、iOS/Android アプリを開発する場合は、アプリストアにユーザーの評価が蓄積されていくことにも注意しましょう。

  • あまりにも無駄なプッシュ通知が多すぎる(1 日 5〜6 回など)
  • アプリが使いづらい(品質が低い、予算が低すぎる場合など)
  • 通信量・更新量が多い(不具合が多い、設計が甘いなど)

という状態になり、星 2〜3 点程度になってしまうt、企業自体の信頼が低下し、その後の DX にも悪影響を及ぼしてしまいます。

ですので、多くの場合は、「まずは予算を抑えて限定的な機能のデジタルツールを導入する」、あるいは「ある程度の予算をとり、自社の目的を達成するための iOS/Android アプリを設計する」という流れになります。

参考:何を重視すればいい?iPhone/Androidアプリ制作会社の探し方・選び方について考える

まとめ

  • 店舗/施設の DX の鍵は「アプリでやるべきことを少しずつ定着させること」
  • デジタル会員証アプリの企画・メリットとして挙げられるポイントは LINE でも代替可能なことが多い
  • アプリの役割、各プラットフォームの特徴の違いを理解し、自社に合うベンダーを選ぶことも重要

BackApp では、お客様のご相談に乗らせて頂いた際は、まず事業の状況を細かくヒアリングした上で「Web や SNS と比較してアプリを開発するメリットのほうが大きいのか」を考えて提案させていただきます。

アプリを開発すべきか、どのような戦略で企画を立てるべきかお悩みの際は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

アプリ事業でよくある失敗とは?
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  • 「アプリをやったことがある人が社内にいなくて相談ができない…」
  • 「Webは運用してるけど、アプリだとどこが変わるんだろう?」
  • 「できれば内製したいけど、やっぱり最初は外注が必要?」

といったお悩みを抱えている方、iOS/Android アプリの開発プロジェクトを初めて経験する担当者の方などに向けたお役立ち資料を公開しています。