【アプリ事業を始める前に】失敗事例のパターンを学び、想定外のトラブルを防ぐ

モバイル経由でのアクセスが増えている時代、iOS/Android アプリを始めたいという企業様からのご相談は年々増えています。

しかし、アプリの開発/発注および社内運用に関しては社内に知見が乏しいという声も多く、事業を始めてから想定外のトラブルに見舞われるというリスクもあります。

アプリ事業が失敗してしまうパターンは、大きく分けて下記の 2 つです。

  1. アプリ運用・開発およびアプリそのものに関する知識の不足
  2. 開発または社外発注時の要件定義におけるトラブル(仕様の抜け・漏れ・曖昧およびベンダーの選定)

つまり、事前にアプリの役割・KPI・機能・運用ノウハウについて知識をつけておくことで、失敗パターンを多くを防ぐことができます。

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要件定義も重要ですが、まずは iOS/Android のシステムとアプリ運用について正しく理解し、適切な人材・リソースを配分することから始まります。

そこで、本記事ではアプリ事業で失敗しないために知っておきたい基礎知識を 3 つのポイントでまとめます。

必須知識1. アプリの役割と、アプリ事業のゴール

デジタルマーケティングを進める上で、大まかな役割分担としては

  • 他社のプラットフォーム:認知拡大・新規顧客の獲得
  • 自社の Web:新規顧客の接客・印象付け
  • 自社のアプリ:既存顧客の訪問頻度および単価等の向上

という使い分けが一般的です。

ファネル図

SNS や EC モール、広告プロモーションで認知を獲得した上で、自社アプリでは既存顧客と継続的に接点を持ち、自社店舗やサービスへの訪問頻度・購買単価を上げる役割を担います。

iOS/Android アプリの開発にはある程度のコストとリソースが必要になります。だからこそ、「アプリによって新規顧客も増やしたい」「OMO を実現し、実店舗への貢献もマストだ」と、複数の大きな目標を同時に掲げてしまう=現場がまとまらないというのがよくある失敗パターンの一つです。

また、「アプリの役割・メリット」に関する入門記事もあわせてご覧いただけますとより理解が深まります。

参考:

運用を定着させるためのフェーズの区切りも

アプリ開発は費用の面でも人手の面でも大きな投資になるので、自社アプリを展開することで効果を最大化したくはなります。

ですので、事業計画の中でフェーズを区切り、

  1. 社内の運用体制が整い、○万人のユーザーが定着する状態に
  2. 売上へのコミットを強化し、投資を回収する
  3. 事業部間の横串でアプリ(施策やデータ)が有効活用できる状態に

など、やりたいことを整理した上で「アプリ公開時点」と「数年後」にあるべき機能や運用体制を洗い出すのがおすすめです。

必須知識2. アプリ運用で重要な指標と、運用の注力ポイント

アプリの最も重要な役割は「継続的な顧客接点の創出」、および接点の増加による訪問頻度や購買単価などエンゲージメントの向上です。

とはいえ、アプリの役割を理解した上で「どんな指標を追えばいいのか」「どんなことができるシステムを構築・発注すればいいのか」という視点に落とし込む必要もあります。

運用面においては、「休眠・復帰率」「ARPU」など、Web サイトおよびメディアではあまり馴染みのない指標が KPI として検討されることも多いです。

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最優先は「30 日以内の再訪率を上げる(ユーザーを定着させる)」こと

アプリの CX ツールを提供する Apptensive 社の 2022 年の調査レポートでは、「新規のアプリユーザーが初回訪問してからの 30 日間は、LTV(生涯獲得価値)を高めるため非常に重要だ」と記されています。

Appsflyer および Statista の調査では、平均的なモバイルアプリの 30 日以内のリテンション(再訪)率は 15〜20% です。

アプリ事業を初めて立ち上げる際は、意外に低いと感じられる方が多いです。しかし、初回起動以降は再訪しないというユーザーは意外に多いものです。

Apptensive も「顧客がアプリに対してどう感じているか・何を求めているのかを察し、最適なコンテンツを提供することで 30 日以内のリテンション率を高めることが重要だ」と提言しています。

売上(KGI)とリテンションの重要性から KPI に落とし込む

顧客の初回離脱を防ぐ、顧客がアプリにどう感じているかを分析するには、アプリ内での行動データを見ていくことになります。

アメリカでネイティブアプリの成功事例としてよく取り上げられている企業といえばバーガーキングが挙げられますが、彼らは成果を見るための評価指標を徹底的に考えています。

最近ではアプリ事業に関わらず評価の精度を高めていこうという流れで Google 発祥の OKR をよく聞くようになりましたが、アメリカでは KPI を考えるための NSM というフレームワークも普及しているようです。

(2) ノーススターメトリック (NSM) による指標設計
NSM フレームワークで設計した指標でキャンペーンの効果測定を行いました。NSM により、グロース運用に向けた KPI を設計する事ができ、ビジネス成長に向けた次の一手を早急に決定できるようになりました。
出典:https://note.com/amplitude/n/n403ce7d7d7b0

重要なことは、 「KPI を考える際に、事業者目線の数値だけではなく、ユーザーエンゲージメントの評価も入れる」ということです。

アプリ事業を事業者目線で考えると、KGI はアプリ経由の売上であり、重要な KPI は AU (DAU/MAU) や LTV です。

加えて、バーガーキングの場合は顧客のエンゲージメントを測るため

  • アプリから発行されたクーポンをタップして注文した数
  • アプリ起動に伴うキャンペーン登録率
  • 初回注文後の再訪率
  • フリクションレスペイメントの向上

という KPI を設定しているとのこと。

少なくとも「ユーザーエンゲージメントを高く保つことで売上(KGI)が安定する」という考え方には見習うことが多そうです。

必須知識3. システム設計(発注)時に重要なこと

事業計画を立て、アプリを設計する際にも知識は欠かせません。

技術的なことは社内のエンジニアや社外のパートナー企業・ベンダーに頼るしかありませんが、事業部門が前提知識を持っているかは成否に影響します。

特に重要な機能/システムは PUSH 配信まわり

はじめて iOS/Android アプリを開発した企業様からのご相談で多いのが「プッシュ通知のターゲット精度が足りない」「配信グループを自社の会員システムや EC からインポートできずに苦労している」といった失敗談です。

2021 年秋にマッキンゼーが調査したレポートでは、「現代の消費者の 7 割はパーソナライズされたサービスを求めており、そのうちの 7 割は一元的なサービスをされるとイライラする」というデータも出ています。

iOS/Android アプリは Web に比べて「狭く、深く」の接客ができるため、プッシュ通知とアプリ内メッセージングというマーケティング施策を顧客の属性・グループごとに出し分けることが求められます。

つまり、プッシュ通知やポップアップメッセージを配信するシステム基盤には

  • 細かくターゲットが指定できるセグメント精度(機能品質)
  • 自社の会員システム・EC などからグループを取り込めるシステム連携(運用のしやすさ)

の二点が非常に重要になります。

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参考

スモールスタートは悪くないが、カスタム性を担保する必要あり

はじめてアプリ事業を始める際、社内に知見のあるスタッフが少ない場合は、初期費用を抑えるためにノーコード開発、パッケージサービスを検討するケースが多いです。

実績のあるパッケージであれば機能やデザイン面でも大きく「はずす」ことはないため、リスク回避の視点でも悪い選択肢ではありません。

しかし、カスタム性に乏しいノーコードサービスでアプリを構築してしまうと、いざ運用を始めてから「もっと顧客にパーソナライズした施策をやりたい」と思ってもカスタムできないという失敗パターンもあります。

そこで、近年では業界標準の機能をパッケージ(ノーコード)で構築し、自社独自の事情にあわせて残りをカスタムする「ハーフスクラッチ開発」という手法も増えています。

今では開発手法も「パッケージか、フルスクラッチか」ではなくなっており、それぞれに長所・短所もあるので、それらの知識をつけることも重要です。

参考:

お役立ち情報をブログにまとめています

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「プッシュ通知の注意点って?」
「外注するベンダーの選び方で悩む…」
など、「まず押さえておきたいポイントは?」という視点で疑問に思いがちな知識について、ブログ内で情報を発信しています。

無料 e-book も配布しています

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「アプリ開発で失敗するパターンとは?」
「ノーコード開発とスクラッチ開発の違いって?」
「アジャイル開発ってどんなものなの?」
といったテーマでホワイトペーパーも無料公開しています。ぜひお役立てください。