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アプリ開発/運用の失敗パターンとは?事業を始める前に知っておきたい知識と事例

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2024.01.24
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    (2024 年 1 月更新)

    モバイル経由でのアクセスが増えている時代、iOS/Android アプリを始めたいという企業様からのご相談は年々増えています。

    しかし、アプリの開発/発注および社内運用に関しては社内に知見が乏しいという声も多く、事業を始めてから想定外のトラブルに見舞われるというリスクもあります。

    アプリ事業が失敗してしまうパターンは、大きく分けて下記の 2 つです。

    1. アプリ運用・開発およびアプリそのものに関する知識の不足
    2. 開発または社外発注時の要件定義におけるトラブル(仕様の抜け・漏れ・曖昧およびベンダーの選定)

    img

    一定の予算をかける機能が多いアプリでは要件定義も重要ですが、最低限のアプリでとりあえず始める場合は、まず iOS/Android のシステムとアプリ運用について正しく理解し、適切な人材・リソースを配分することから始まります。

    つまり、事前にアプリの役割・構築方法の違い・KPI・運用イメージなどについて知識をつけておくことで、よくある失敗パターンの多くを防ぐことができます。

    そこで、本記事ではアプリ事業で失敗しないために知っておきたい基礎知識を 3 つのポイントでまとめます。

    [必須知識1] アプリの役割と、アプリ事業のゴール

    アプリの企画段階での危険なパターンとしては、

    • 「ある程度の予算をかけてアプリを作るから、新規集客などの効果も期待したい」
    • 「Web/SNS 担当が兼任でアプリも運用し、省エネで運用していく」

    の二通りです。

    デジタルマーケティングを進める上で、大まかな役割分担としては

    • 他社のプラットフォーム:認知拡大・新規顧客の獲得
    • 自社の Web/SNS:新規顧客の接客・印象付け
    • 自社のアプリ:既存顧客の訪問頻度および単価等の向上

    という使い分けが一般的です。

    ファネル図

    SNS や EC モール、広告プロモーションで認知を獲得した上で、自社アプリでは既存顧客と継続的に接点を持ち、自社店舗やサービスへの訪問頻度・購買単価を上げる役割を担います。
    新規顧客にとってアプリの新規 DL は心理的なハードルが高いため、SNS や LINE 公式アカウントでつながりを作ってアプリに誘導するという併用が一般的です。

    また、担当者が Web/SNS と兼任になること、Web/SNS と同じコンテンツを配信することは一般的ですが、「プッシュ通知」「バナー配信」「アプリ内メッセージ」などはアプリマーケティングの肝となるので、ある程度の時間を割いて効果を見ながら運用していきましょう。

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    [補足] プッシュ通知は LINE や Web アプリ(PWA)でも送信可能

    自社で iOS/Android アプリを運用するメリットの一つに、プッシュ通知で継続的に顧客と接点を持てるという点が挙げられます。

    とはいえ、上記のメリットは LINE 公式アカウントに友だち登録をしてもらうことでも実現でき、むしろ LINE のほうが新規ユーザーの登録率・開封率は高い傾向にあります。

    また、予約注文ができるサイトを Web アプリ化することでも、ブラウザアプリからプッシュ通知を送信できるようにできます(Android 端末であれば Google Chrome アプリからプッシュ通知が飛んでくる)。

    ネイティブアプリの場合、ただ一括で通知を送るだけでなく、「特定のグループのみに配信」「プッシュ通知からセール情報や申し込みページに誘導し、購買行動につなげる」「従量課金制である LINE のコストを削減する」といったところが固有のメリットになります。※上記関連記事参照

    [必須知識2] アプリで重要な要素は、機能の独創性よりも UI/UX

    「競合他社のアプリと同じ機能しかないので、何か独創的な機能をつけるべきか」とご相談を受けることもあります。

    しかし、優先順位の高さでいえば

    1. 利益を確保しながら、アプリ会員向けに一定の「お得感」を感じてもらえる特典を提供できるか(デジタル以前の事業戦略)
    2. ユーザーにとって「当たり前」の体験を提供する、“型” を外さない設計ができているか
    3. ユーザーの反応を見ながら、プッシュ配信などのアプリマーケティングを徹底できているか
    4. ユーザーを引き付ける独自の機能を提供できているか

    の順番でチェックしていくことをおすすめします。

    飲食アプリに関するアメリカの消費者調査(2022, bluedot)では「消費者の 9 割は、お得な値段で利用できるならアプリを使い続ける」とあり、全世界の消費者を対象とした調査(2023, AIRSHIP)では、アプリからの通知を許諾する理由で「お得な特典」「ターゲットオファー」が最大の伸びを示しました。

    当社は iPhone アプリ黎明期の 2012 年から開発をしていますが、店舗アプリに搭載する機能に関しては、ここ 10 年ほど大きな変化はありません。 お知らせ配信・クーポン配信・デジタル会員証・プッシュ通知など基本的な機能で、特典の用意や UI/UX の磨きこみを行うのが主流です。

    EC アプリに関しては大手モールほど動作速度と独自機能の磨きこみを行っていますが、既存の Web 版 EC をアプリで読み込みながら一部機能をネイティブで提供するというパターンもまだ少なくありません。

    ですので、競合のアプリを調査する場合は、機能面はもちろんですが「この動き(画面遷移など)は使いやすい・使いづらい」といった視点でチェックすることもおすすめです。
    ※外注する場合は制作会社がメインとなる領域ではあります

    [補足1] アプリ事業は序盤でつまずいたときの回復が難しい

    下図は、アプリの CX ツールを提供する Alchemer (旧・Apptentive) が古くから毎年の調査レポートで引用している、「アプリストアの平均レビュー点数ごとの、消費者がアプリを DL したくなる割合」のグラフです。

    img - レビュー図

    出典:Mobile-Engagement-Benchmark 2023

    アプリストアの評価が 2 点台の場合は 90% の消費者が DL をためらうため、最低でも 3.0 以上を維持することが重要です。

    ですので、スピード感をもってアプリ事業を立ち上げる場合も、ユーザーが「他のアプリと違って当たり前のことができない」「期待した動きをしない」といった不満を感じないよう、“型” を外さない UI・UX の質を担保することが欠かせません。

    [補足2] 運用を定着させるためのフェーズの区切りも

    アプリ開発は費用の面でも人手の面でも大きな投資になるので、自社アプリを展開するからには大きな事業目標を持つ必要もあります。

    ですので、事業計画の中でフェーズを区切り、

    • フェーズ1: 最低限の機能でリリースし、まずアプリ会員〇万人を目指す
    • フェーズ2: アプリ独自の機能を強化し、アプリ会員の購買単価〇万円を目指す
    • フェーズ3: 社外ベンダーへの委託から内製に切り替え、よりスピード感をもってアプリを磨いていく

    など、やりたいことを整理した上で「アプリ公開時点」と「数年後」にあるべき機能や運用体制を洗い出すのがおすすめです。

    [補足3] 「動きやすさ」と「サポート」のバランス

    パッケージサービスを使ってアプリを構築すると、プログラミングや HTML/CSS の知識がない担当者でも簡単にページを作成・編集することができます。

    しかし、小売業界やメディア業界のアプリは機能面で似通っている分、デザイン・UI/UX の知識がない担当者が独自で作りこみすぎると、“型” を外すリスクも出てきます。

    改修をすべて社外ベンダーの頼ることもリスクはありますが、「こんな改修をしたいのだが…」と相談できる関係性が構築できれば最もおすすめです。

    img - 自力で作りすぎる危険性

    [必須知識3] iOS/Android アプリの構築方法による違いと、それぞれのメリット・デメリット

    はじめてのアプリ事業では、「iOS/Android アプリの開発費用の相場を知って驚いた」という声が多いです。

    ですので、近年では初期費用を抑えてノーコード開発、つまり SaaS の導入で自社アプリをスピーディに構築するケースが増えています。
    ※当社もノーコードプラン、ローコードプランなど複数プランをご提案することが多いです

    しかし、ノーコードプラットホームによってはカスタマイズの範囲が限られており、事業の成長やユーザーの要望に合わせて改善しようとすると「結局、作り直しになってしまう」というリスクもあります。

    [補足1] ノーコードかフルスクラッチかの二択ではない

    SaaS 型のサービスで自社アプリを構築する場合、初期費用を抑えて 1 カ月程度でリリースできるというメリットがあります。

    導入実績の多いベンダーであれば機能やデザイン面でも大きく「はずす」ことはないため、前述のようなリスク回避の視点でも悪い選択肢ではありません。

    しかし、カスタム性に乏しいノーコードサービスでアプリを構築してしまうと、いざ運用を始めてから「もっと顧客にパーソナライズした施策をやりたい」と思ってもカスタムできないという失敗パターンもあります。

    そこで、近年では業界標準の機能をパッケージ(ノーコード)で構築し、自社独自の事情にあわせて残りをカスタムする「ローコード(ハーフスクラッチ)開発」という手法も増えています。

    今では開発手法も「ノーコードか、フルスクラッチか」ではなくなっており、それぞれに長所・短所もあるので、それらの知識をつけることも重要です。

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    [補足2] 提案段階ではわからない「非機能要件」

    システム開発の基礎知識として、「非機能要件」という言葉があります。

    自社アプリを作るために複数の IT ベンダーに提案してもらった際、「搭載する機能」「各ページの画面デザイン」などは事前にイメージすることはできます。

    しかし、「アプリの動作速度」「セキュリティ」「大規模アクセスに対する処理性能」「中長期的なカスタマイズ性(スケーラビリティ)」などは、商談の段階では見えづらいものです。
    ※動作速度は事前にデモアプリを提供してもらって確認することもできますが、本番環境では変わります

    上記を深く考慮することは現実には難しいのですが、目に見えている費用・スケジュール・画面イメージ・機能一覧だけで判断できないという点がシステム開発の難しさでもあります。

    [必須知識4] アプリ運用で重要な指標と、運用の注力ポイントを理解してよくある失敗を防ぐ

    自社アプリの最も重要な役割は「継続的な顧客接点の創出」、および接点の増加による訪問頻度や購買単価などエンゲージメントの向上です。

    アプリの企画・設計時には、アプリの役割を理解した上で「どんな指標を追えばいいのか」「その指標を達成するためにどんなアプリにすべきか」を知っておきたいところです。

    運用面においては、「休眠・復帰率」「リテンション率・アクティブ率・維持率」「ARPU」など、Web サイトおよびメディアではあまり馴染みのない指標が KPI として検討されることも多いです。まずはこれらを事前に整理しておきましょう。

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    また、リリース後に運用をスタートしてからは、

    • プッシュ通知の許諾率:アプリのジャンルにもよるが 40~80%
    • プッシュ通知の開封率:内容や送り方で大きく変動するが 1~5% がボリュームゾーン
    • 新規ユーザーの 30 日以内のリテンション(再訪)率: 15〜20%

    といった全世界の平均値を知っておくことで、自社で計測された数値が高いのか低いのかを判断し、低い場合にテコ入れを図ることが可能になります。

    [補足1] 最優先は「30 日以内の再訪率を上げる(ユーザーを定着させる)」こと

    前述の Alchemer(Apptensive)社の 2022 年の調査レポートでは、「新規のアプリユーザーが初回訪問してからの 30 日間は、LTV(生涯獲得価値)を高めるため非常に重要だ」と記されています。

    アプリ事業は既存のデジタルマーケティングと兼任の担当者になるケースが多く、予算も人手も限られているため、やりたいことをすべてできるわけではありません。リソースが限られた状況では、注力するポイントをある程度絞る必要があります。

    そこで、最優先で「初回起動直後」のユーザー体験を改善していく必要があります。初回起動で離脱する顧客が多いため、

    • トップページのデザインと、見せるコンテンツを磨く
    • オンボーディング(チュートリアル)でアプリのメリットを伝える
    • PUSH 配信の内容を説明し、許諾を取ったり配信ジャンルを選択してもらったりする(再訪につなげる)

    といった視点でアプリの品質を高め、まずは足元を固めることが非常に重要です。

    そして、EC アプリや事前予約・決済を受け付ける店舗アプリの場合は、

    • 商品をカートに入れる
    • 決済手段を登録・連携する
    • 決済を完了する

    と、コンバージョン(購買行動)の行動フローをチェックし、離脱が多いところがあればテコ入れしていくことも優先度が高い施策になります。

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    まとめ:アプリ事業のよくある失敗パターンとその対策

    よくある失敗パターンの中には、アプリ事業に関する知識をつけることで防げるものも多いです。

    1. アプリの役割と、他のデジタルプラットフォームとの違いを整理する
    2. 店舗アプリなら店舗アプリの “型” を知り、ユーザーが使いづらいと感じないアプリ体験をイメージする
    3. アプリの構築方法を知り、最適な手法を選ぶ
    4. 一般的な KPI を知り、「新規ユーザーの定着」に注力するために体制を構築する

    BackApp では、スマートフォンアプリ黎明期からの開発実績をもとに、さまざまな業種の企業様に “型” を外さないアプリを提供できます。

    初期費用を抑えたノーコードプラン、オーダーメイドで作りこむフルスクラッチプラン、そして中間となるローコードプランなど幅広いご提案もできますので、アプリの新規開発・リニューアルともにお気軽にご相談ください。

    アプリは運用開始からが本番ということを熟知しておりますので、アプリの企画・設計から運用サポートまで伴走させていただきます。


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