【アプリ事業の予算組み】iOS/Androidアプリ開発費用の目安と予算の考え方、外注・委託時に知っておくべき知識

アプリの企画・開発にあたってよくご相談頂くのが「そもそも開発費の相場がわからない」「年間でどれほどの予算が必要なのか」「SaaS とフルスクラッチ、どちらが “お得” なのか」というコストに関するお悩みです。

特定の業界でよく使われる定番のようなアプリでも、何気なく要望を出した機能や仕様一つによって開発工数=見積もり金額が変わってきます。パッケージ型の契約では使う機能で費用は変動しませんが、ユーザー数(事業規模)や施策の実行数などによって変わってきます。

ですので、一概に「相場は○○万程度」「クラウドサービスのほうが予算は抑えられる」などと断言するのは難しいといえます。

しかし、事業計画を立てて予算を組む上では開発費用・運用コストに関する知識は欠かせません。そこで、本記事では iOS/Android アプリ事業の管理者・発注者が最低限知っておきたい知識をご紹介します。

※こちらの記事も合わせて読むとより理解が深まります

アプリ構築の手法と、初期費用・保守運用コストのかかり方

iOS/Android アプリ事業を始める際には、大きく分けて 2 種類の契約・開発形態があります。

1 つはあらかじめ開発されているテンプレート(パッケージ)を使うパターン。デザインや見せ方をお客様ごとに変えはしますが、機能・仕様の面では大差がなく、料金プランは事業規模、つまり利用してもらうユーザーの数によって変動します。

そしてもう 1 つはオーダーメイドでのフルスクラッチ開発です。自社で本当に必要な機能やシステム要件を満たすことが目的になるため、開発にかかる作業量とリリース後の作業量によって費用の目安が変わってきます。

パッケージ型の契約・開発(やることが限られている場合)

  • 初期費用はフルスクラッチで開発するより安い
  • ランニングコストは事業規模が大きいほど高い
  • 契約時には運用コストが低くても、事業が伸びると高くなるケースも

フルスクラッチ開発(自社の事業に応じてカスタムする場合)

  • 初期費用はパッケージ利用時よりも高い
  • ランニングコストはユーザー数と追加開発の量次第
  • 開発/発注時の要件定義でミスをするとリカバリが難しい

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テンプレート(CMS・SaaS)サービスを使う際の iOS/Android アプリ開発費用の目安

試験的に小規模に始める場合など、近年はパッケージ型の契約をして初期費用を抑えるケースも増えています。

パッケージ型のアプリは、ごく小規模な事業者向けのものは月額 1~10 万円ほどで提供されている場合もありますが、デザイン・セキュリティ面など最低限の品質を満たす大企業向けのものは月額 100 万円程度になります。

多くのテンプレートの料金体系は従量課金制で、ベンダーによって差はありますが平均するとインストール数やアクティブユーザー数 × 1 円程度が相場です。たとえば顧客が 10 万人いるビジネスであれば月額 10 万円・年間 120 万円という風に計算されます。

また、iOS/Android 自社アプリの代替手段としてよく使われる LINE もパッケージサービスの一種ですが、メッセージ(プッシュ通知)配信ごとに従量で料金がかかるようになっています。

「パッケージ型契約のほうが費用が低い」のは本当か?

近年では社内の IT ツールをイチから構築するのではなく SaaS を利用する企業も増えています。

その流れで、簡単に iOS/Android アプリをつくることができるという、いわゆるノーコードのパッケージサービスは年々増加しています。さらに、あまり予算をかけられない中小事業者向けにはアプリの代わり、iOS/Android の自社アプリを開発する前の段階として LINE 公式アカウントも普及してきています。

パッケージ型契約で iOS/Android アプリを構築すると、初期費用ではフルスクラッチ開発に比べて安い金額で済みます。

ただし、LINE や SaaS のパッケージ内を利用していると

  • できることには限界(制限)がある
  • ユーザー数が増えるほど運用コストも膨大になっていく
  • 乗り換える際にはスクラッチで作り直したほうが効率的であることが多く、コストがかさむ

というデメリットもあるので、中長期的な目線で見れば費用対効果には疑問符がつきます。

特に、運用していくにつれて「同業他社は問題ないかもしれないが、自社ではコレができなければ困る」「自社で使っているこのツールと連携ができないと、業務効率が落ちてしまう」といった悩みが発生することが問題になりがちです。

パッケージ型契約で iOS/Android アプリを構築するメリットは、「費用が抑えられる」というよりは

  • ベンダー選びに失敗して致命的なバグを抱えるなど低品質なアプリが納品されるリスク、およびスケジュールが遅延するリスクが低い(実績ある SaaS 企業の場合)
  • 自社に近い企業をサポートしてきたスタッフに設計〜運用を相談できる(多くの企業のデータが揃っているため)

といった点にあります。パートナーとなるベンダーを選ぶ際には、これらの知識を念頭に入れてから比較するとギャップを感じる機会が少なくなります。

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オリジナルアプリのスクラッチ開発費用はなぜ相場が分かりづらいのか?

フルスクラッチで iOS/Android アプリを開発する場合は、よく「思っていたより高い」「会社によって言うことが違う」という声を聞きます。

アプリの開発費用は、ジャンルで相場が決まるわけではありません。どんな機能を持つ・どんな仕様のアプリなのかによって、開発にかかる費用(原価)が決まるのです。

相談を受けた制作会社は「どんな機能が必要になるか」を想像し、そこから「どれだけの工数(作業量)がかかるか」を計算します。ここで人件費をまとめて見積もり金額へ落とし込みます。これは初期費用だけでなく、リリース後の保守運用・追加開発・改善作業にも共通します。

要件が曖昧だと制作会社によって異なる完成イメージを描き、想定する作業量=見積もり金額が不正確になってしまうので、アプリ開発費用を正確に出すためには、まず企画をしっかりと固めることが必要です

アプリのジャンルごとの開発費とスケジュールの目安

MLS Dev のレポートでは、iOS/Android アプリのジャンルごとの開発費用・スケジュール(工数)の相場を紹介しています。

参考:App Development Cost: Understand Your Budget To Build Powerful Apps

たとえば EC アプリは事業の規模などによって大きく変わることが伺えますが、下記のようにある程度の形が決まっているものもあります。そこからジャンルごと、機能による相場を読み解くこともできます。

飲食店舗アプリ

  • 必要な機能:ログイン、ポイント/クーポン発行、顧客管理など
  • 開発費用:50,000 ドル以上
  • 工数:3〜5 か月

出前や配車のプラットフォームアプリ(Uber など)

  • 必要な機能:ログイン、チャット・通話、配送サポート、決済など
  • 開発費用:70,000〜80,000 ドル前後 × 2(ユーザー側と企業側)
  • 工数:5〜7か月

旅行・宿泊予約アプリ

  • 必要な機能:多岐にわたる
  • 開発費用:240,000ドル以上
  • 工数:9 か月以上

内製か外注か?自社アプリの構築〜保守運用の組織体制の考え方

企画前後でもう一つ考えておくべきは「自社で開発チームや広告運用チームを持つ予定があるか(どこまでを内製するか)」です。

当然ながらすべての人材を社内に抱えるのが理想形ですが、iOS/Androidアプリ開発においては人材の母数が多くないこともあって採用・定着における企業間の競争が激しく、内製できる体制を構築〜維持するのは難しい状態です。

一時的に低コストで開発組織を運営できても長続きしづらいので、少なくとも 「コスト削減のために開発〜保守は内製したい」という計画はリスクが高い といえます。

このような背景から、最初は外注の割合を多くするお客様も少なくありません。

とはいえ、内製でアプリを保守・運用していける場合は、ユーザーの要望に合わせてこまめにアップデートし、品質を高めていけるという点で大きなメリットがあります。

ですので、売上や利益の金額を目安にステージ分けをして、他社サービスの利用や委託 → 自社運用への切り替えを想定をしておくのも一つの手段です。

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参考:「iPhone/Androidアプリの開発は外注?社内で?」制作会社に委託するメリット・デメリット

見積もり時の開発費用よりも、事業としての予算から考える

また、アプリの事業計画を考える上では特に「収支」や「キャッシュ・フロー」の意識が大切になります。

スマホアプリは最低限の品質を求めるとパッケージ契約でもスクラッチ開発でもある程度の予算が必要で、機能やユーザー数が増えるほど保守・運用のコストも増大します。

余計なコストを削減するという視点自体は重要ですが、アプリ事業を軌道に乗せる上では「コストをかけながらも、それ以上に売上に貢献できるアプリ」として要件をまとめることもあわせて重要です。

参考:「そのアプリ、事業として成立しますか?」開発の前にまず考えるべき、利益を出す仕組みとポイント

ですので、アプリ事業の予算組みを考える上では、まずはかかってくるコストの種類を把握し、手段の違いによる特徴を把握することが第一歩になります。

そして、アプリ事業で多い「想定していない追加コストが発生した」「売上は立っても収支が安定しない」という事態を避けるためには

  • 自社の事業モデル・業務フローに正しく組み込まれること
  • iOS/Android の技術的な実現可能性・リスクを考慮すること

という二点に注意して要件定義を行うことが鍵になります。