Webサイト・SNS・PWA・ネイティブアプリ、できることとメリットを比較 [2019 版]

今や、「Web かアプリか」という二択で事業を考える時代ではありません。“アプリに近いことができる” システムが増え、それぞれ自社の業態や事業規模などによって適切なものが異なります。当然、複数のプラットフォームでアカウントを同時運用することも求められます。

Google が提案する PWA(Progressive Web Apps)は、iOS/Android アプリの代替というよりは Web/SNS とアプリの中間地点に位置し、ネイティブアプリ開発前のつなぎ or 開発済アプリへの誘導が役割になります。Web 領域の UX すべてのデバイス上で最適化できるので、iOS の対応次第では今後より普及することでしょう。

そして LINE も、これまで中小店舗の再訪促進施策で有効だった「LINE@」「LINE 公式アカウント」をリニューアル。立ち上げ直後の店舗でも導入しやすいようにハードルを下げたり、LINE 上で来店予約・事前注文・決済などを可能にする「LINE Mini app」を 2020 年を目処で発表するなど、ますますアプリのリプレイス効果を高めていくようです。

PWA・LINE 自体の紹介や現状は下記の記事で詳しく紹介していますが、今回はそれぞれのメリットやできることを比較しました。

PWA やハイブリッド/ネイティブアプリに関する参考記事:

LINE に関する参考記事:

※ LINE に関しては主に中小規模の店舗ビジネス・再訪促進に強いというメリットが明確なので、フラットに機能性を比較する本記事では紹介が薄めです。該当業種の方はぜひ上記記事をご覧ください。

集客効果は新規・リピートで Web/アプリの役割が異なる

Web | PWA | アプリ 
新規集客 ×
リピート集客

*

LINE | Twitter | Facebook | Instagram
新規集客 ×
リピート集客 ×

新規集客の効果が Web (PWA・SNS 含む) > アプリであることは言うまでもありません。ただ、Web の中でも

  • PWA は設計を工夫しなければ SEO に弱くなりがち
  • LINE は公式で「再訪促進に効果的」と説明しており、新規集客には不向き
  • Facebook はアルゴリズムの変更で往年ほどの集客効果がなくなったが、ローカルコミュニティからの O2O に近い送客と相性がいい
  • Twitter は “バズ” こそスキルや運が絡むが、費用をかけずにフォロワーを獲得できることが大きなメリット

という特性があります。

iOS/Android アプリはそもそも単体で集客する方法に乏しく、実店舗での案内や広告出稿から認知を獲得することになります。またほとんどの場合は機能を紹介する LP や基本機能を触れる Web 版、ストック流入獲得のためのオウンドメディアなどを同時に開発・運用することになります。

リピート集客では、プッシュ通知を活用できるかに大きく左右されます。

  • 許諾率という面では LINE 公式アカウントが最もハードルが低い
  • iOS/Android アプリは通知をタップすると直接自社のページに誘導できるので、LINE に比べると CV のメリット=集客・購買効果が高い(その分運用が鍵になる)
  • PWA は iOS がプッシュ通知非対応、「ホーム画面に追加」の許諾をどうクリアするかなど未だ課題が多い
  • Facebook は特にリンク付き投稿のリーチ率が大幅に低下。過去に比べると効果は落ちる
  • Twitter は速報型から Facebook 型のアルゴリズム(親密度重視)に以降したがっており、告知投稿のリーチ率が低下
  • Instagram は運用の上手さ、ターゲット層による差異が大きい

PWA は Web サイト(SNS)と同様、配布・共有が容易なことが一つのメリット

Web | PWA | TW/FB/Insta | LINE | アプリ 
リファラル集客 ×

アプリと比べて Web (PWA) が拡散しやすいのは、URL をシェアすることで直接該当ページに飛べるからです。アプリでもリンクをシェアすることはできますが、インストールされていない場合はまずストアに遷移することになります(※ネイティブだけではなく WebView も同様)。

PWA そのものは Google Play/App Store に並べることはできませんが、PWA Builder などによって APK の作成は前向きにサポートされています。パッケージ化すれば、Web サイトとして公開されていながら(検索や URL シェアからアクセスできる)、アプリとしても見つけることができる(ストアで検索して DL できる)状態になります。

LINE 公式アカウントは SNS としてはクローズドで、静的な Web ページとしても現状はモバイル向けの簡単なものに留まっています。ただし、2020 年から提供開始予定の「LINE Mini app」では CMS 機能により(来店予約・事前注文・決済などが可能な)簡易的な Web を構築できるようになる予定とのことで、品質によっては他の SNS と比べて Web ページの機能性が高くなります。

セキュリティは Web<アプリ(Apple 社の強みでもある)

Web (http:) < PWA < ハイブリッドアプリ < ネイティブアプリ

PWA は SSL 化(https:)が必須なので、未対応の Web サイトに比べると安全性は増します。

とはいえ、Web ベースである限りはソースコードの改ざん、利用者のブラウザ上で悪意あるスクリプトを実行するといった危険性はついてきます。PC ブラウザと比べると URL が視認しづらい(PWA の場合は消すことが多い)ことも、ユーザーが意図しないページにアクセスしてしまうリスクにつながっています。

アプリの場合、特に Apple 社がセキュリティを重視していることもあり、審査を経て App Store で管理することが Web に比べて強みとなっています。AR/VR や NFC などアプリならではの機能でも制限が多く、Android に比べると設計・開発面でデメリットを感じることもありますが、それだけセキュリティを重視しているという風に取ることもできます。

ただ、アプリも WebView の脆弱性を突かれるリスク、ネイティブアプリ独自でのセキュリティホールを作ってしまうリスクなどがあるので、開発の際には Web と同様に注意を払いましょう。

PWA は読み込みを高速化できるが、まだネイティブには劣る

Web (AMP 以外) < PWA ≦ ハイブリッドアプリ < ネイティブアプリ

Web (PWA) でも article ページは AMP 化することで高速化でき、アプリも仕様(WebView など)によって重くなることはありますが、一般的には上記の順序になります。

Web サイトをアプリ化するメリットとしてよく「滞在時間の向上」「離脱率の低下」が挙げられますが、動作スピードはユーザー体験の質と密接な関係にあります。

滞在時間の長い Web サービスの中で、不動産ポータルサイトの「SUUMO」はいち早く PWA 化に踏み切りました。「日経電子版」も PWA 化しましたが、読み込み速度ではネイティブアプリには劣るとしています。

Google は WebView に代わるレンダリングシステムとして Trusted Web Activity (TWA) 、AMP と PWA を組みわせて高速化を実現する “PWAMP” などを提唱し、Web ベースでの高速化に力を入れています。ただ、まだトータルではネイティブアプリほどの高速読み込みは難しいといえます。

スマホ独自の機能(GPS、生体認証・NFC・ARkit)は Android が積極的で、iOS は慎重

PWA(ブラウザ) |  アプリ 
プッシュ通知
GPS
Beacon
カメラ起動
生体認証
NFC ×
AR

スマートフォン独自の機能を Web ベースで使う場合は、ブラウザごとに対応しているかどうかをチェックする必要があります。
PWA は ServiceWorker を使ってアプリ風の UX を実現しているため、プッシュ通知やバックグラウンド同期およびオフライン時の起動はこちらの対応次第となります(現状は iOS 待ち)。

現在のブラウザがどこまで対応しているかは、What Web Can Do Today で確認できます。Chrome と Safari の両方からアクセスすることで iOS/Android 両方の現状がわかります。
※ブラウザが最新版であることを確認してからアクセスしてください

現在、セキュリティを重視する Apple 社の iOS (Safari) は各種機能に慎重で、オープンソース戦略をとる Google 社の Android (Chrome) では積極的に新技術が導入されています。

ブラウザで起動するための調査・検証・実装にコストがかかるだけでなく、iOS 比率が高い日本では約半数のユーザーに対応していない機能が多くなるため、モバイル Web サイトや PWA のデメリットになっています。

Web・PWA・アプリそれぞれのプッシュ通知

今では PC で Web サイトを閲覧していても「通知を許可しますか?」という許諾メッセージが出る機会が増えています。これはブラウザのプッシュ通知機能(Web Push)を利用しており、ブラウザを開いているときであれば任意の通知を配信することができるようになっています。

対して iOS/Android アプリの通知といえばセール情報・定期更新など、アプリを起動していないときにも配信できるものを指します。配信対象自体も細かい条件で切り分けることができるので、プッシュ通知をフルに活用する場合はアプリが最も適切といえます。

PWA は従来の Web Push に加え、ServiceWorker の機能でアプリ独自のプッシュ通知も利用することができます。ただし、iOS 12 の段階では対応しておらず、現状は Android のみの利用に限られています。

VR/AR は iOS の動向に注意

Web サイトおよび PWA で AR を実現する場合は WebVR/WebAR を使う必要がありますが、iOS12.2 からはデフォルトでモーションセンサーが使えなくなりました。

参考:iOS 12.2でWebVRとWebARが半ば終わった件について

今後再び使えるようになる可能性はゼロではありませんが、ブラウザ=PWA での VR/AR は慎重に考えたほうがよさそうです。

その他センシングのブラウザ対応(生体認証・Beacon)

生体認証は FIDO アライアンスによってブラウザでも利用できるようになりつつあり、指紋認証などから Chrome ブラウザ版の Yahoo にログインできるようになるなど、Android を起点に対応が進んでいます。

Beacon に関しては iBeacon と Eddystone で異なります。先行している iBeacon はアプリ開発が必要になりますが、後発の Eddystone は Chrome ブラウザがあれば通知を出せるので、Web アプリでも利用できることがメリットです。

iBeacon, Eddystone ともに iOS/Android 両方のアプリで使うことはできますが、端末ごとの動作確認に注意する必要があります。また、ユーザーが Bluetooth を ON にしていなければ使えないため、UI/UX に工夫が必要です。

NFC はアプリ(iOS)側が全面開放した段階

非接触でデータ通信を行う NFC、日本ではソニーが開発した Felica がメジャーですが、こちらも Android が先行しています。

Web ブラウザからハードウェアにアクセスする「WebUSB」という API は Google のエンジニアによって開発され、先行して Chrome に実装されました。

ただ、現状は PC にカードリーダーを接続し、Felica をかざしてブラウザで認証を行うという実験が Quiita に挙げられている程度です。iOS 13 からは NFC がサードパーティ向けに開放されること、そしてセキュリティの問題もあるため、非接触の UX をフルに活用する場合は iOS/Android アプリを選ぶほうがよさそうです。

顧客データをより深く活用できるのはアプリのメリット(アクションの数だけ多くのデータが取れる)

  • アプリのほうがユーザーのエンゲージが高いため、リッチなデータ取得〜解析が可能
  • LINE は「LINE Mini app」(提供元システムのメインはチャットボット)により CRM 機能が強化される予定
  • PWA は iOS 12 で端末再起動時にログイン状態がリセットされるのがデメリット
  • ほとんどケースでは同じ顧客でも Web とアプリで二種類のログが発生するため、解析の際は注意
  • 「アプリで情報収集したことで意欲が高まり、最終的には実店舗に訪問して購買した」など、データの表面上には現れないケースも存在することは意識しておく(Web・アプリ・リアルの三種類のログ全体からの最適化)

iOS/Android アプリは基本的にログインした状態がキープされるので、ユーザーを識別しながら行動履歴が蓄積されることが強みです。プッシュ通知の開封、お気に入り登録、チャットのやりとりなどユーザーが多くの種類のアクションを起こすため、分析できるデータは多くなります。

ただし、採取できるデータが多くなる分、アナリストのスキルレベルが高くなければ感覚的・主観的な “感想” で終わってしまうこともあります。 iOS/Android アプリは豊富なデータを活用してユーザー体験を向上させていくことで事業を伸ばすプラットフォームであることは意識しておきましょう。

また、注意点としては、Web 版とアプリ版のログが別の顧客のデータのように発生するため、クロスプラットフォームであることに注意してデータの取得〜解析を行う必要があります。

ログの取得〜解析には定番の Google Analytics・Firebase Analytics のほか、Repro, KARTE, Treasure Data など多くのツールが使われるようになっていますが、ツール間・デバイス間の連携自体は年々強化されていることは追い風といえます。

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