小売アプリの費用相場とは?販促かCRMかの事業戦略、業界ごとの特性などをまず明確に

小売業界の企業様が iOS/Android アプリをつくると決まった際に、開発費の相場・目安を聞かれることはよくあります。ただ、アプリのコストは「小売アプリの相場」という風に決められるわけではなく、目的や、そのための「機能」から計算することになります。

ですので、このような記事コンテンツで「こんな業種なら相場は ○万 〜 ○ 万円」と言い切ることは非常に難しく、私たちからのメッセージとしては「できる限り要件(課題と目的)を明確にしていただいた上で、数社にお問い合わせください」というご提案になります。

そこで、今回は現在の小売業界でのアプリ活用事例を整理しながら、それぞれの場合の企画の立て方をまとめていきます。目的や必要な機能を元に見積もりを出すと制作会社としてもご相談に乗りやすいので、スマホアプリ事業をお考えの際はぜひご一読ください。

小売業界における iOS/Android アプリの活用状況

小売企業が「事業として」公式アプリを検討する際は、ほとんどの場合

  • CRM: 顧客との関係を良くし、実店舗への訪問頻度・購入単価を向上
  • 販促: ECなど、アプリ経由での直接購入金額(売上)を向上

のどちらかに絞られると思います。前者は単独の事業というよりは既存事業の売上・利益を向上させるためのツールとしての、後者は Web とあわせて事業としての色が強くなりがちです。

機能は

  • 会員証やポイントカード機能
  • 位置情報を利用したチェックイン機能
  • プッシュ通知 (特定の属性の顧客のみなど、カスタム性あり)
  • webview (既存のモバイルサイトを読み込み)
  • ディープリンク
  • 決済(外部サービスとの連携など)

などを中心に、独自の機能が検討されることも少なくありません。

ただ、企画段階ではさまざまな機能・コンテンツを検討していても、運用を開始してみるとあまり活用されないなど、小売業界としてのアプリの “活用度” はまだ高いとは言えません。

参考:小売業界ではアプリをやるべき?活用を成功させるために重要な視点と具体的なメリット

業種・業態によって起動頻度や使われ方も違う

Web 上で入念に情報収集される家電・雑貨・服飾品などは販促・EC 重視、店舗で試しながら・相談しながら購入するメガネ・化粧品などは CRM 重視になることが多いなど、業種・業態によっても傾向があります。

顧客が小売業界の店舗アプリを起動している頻度は、業種によって大きく変わります。

NTT コミュニケーションズ社の調査では、コンビニ・スーパー・カフェなどは週に 1 回ペースで起動する顧客が 20% を超え、飲食やアパレルは 5〜10 %という結果になっています。

参考:https://www.nttcoms.com/service/mobileweb-smartphoneapp/report/20190108/

このように「小売業界」と言っても多くの業種・業態があるからこそ、企画段階では「小売アプリのデータ」だけを収集するのではなく、お客様のビジネスの特性を考える必要があります。「接触回数が少ない業種だから少しでも思い出してもらう回数を増やしたい」「店舗に来る前に情報収集をされる製品だから、しっかりとコンテンツを用意して EC で買えるようにしたい」など、具体的な背景と目的があれば、アプリの企画および制作会社への見積もり依頼もスムーズに進みます。

ただメルマガを置換するだけなら、簡易的なアプリや LINE でも費用を抑えて実現可能

「メルマガの開封率が低く、アプリのプッシュ通知を活用したい」という課題のみを解決するのであれば、LINE 公式アカウント(旧・LINE@)や、さまざまなが提供する安価なパッケージサービスのほうが費用は安くなります。開発費はもちろん、シンプルな機能のアプリをわざわざ自社で保守・運用する必要もなくなるので、トータルでコストを削減できます。

ここで一度ぜひお客様に整理していただきたいのは、何の指標をゴールとするかです。ただ「開封率」を上げてひとまず現行の Web サイト(EC サイト)で効果を検証してみるのか、アプリ経由での「売上」「訪問頻度」までトラッキングするのかによって、必要なものは異なります。

パッケージサービスではプッシュ通知の送信方法に限界があったり、競合とほとんど同じようなデザインになってしまって差別化できなかったりといった事態も少なくありません。

CRM のポイント:まずはミニマムで始め、データが貯まる UX を設計

CRM を目的とする場合、必要な機能としては「会員証」と「チラシや通知の配信」になります。

実店舗への送客効果を上げるためにはデジタルチラシの閲覧、セール情報などを送ることになります。小規模店舗の場合はこの販促部分を LINE 公式アカウントで代替することも不可能ではないので、公式アプリ自体の費用は抑える余地があります。

CRM アプリの場合は単体の事業というよりはツールなので、あまり費用をかけられないというケースが少なくありません。アプリ自体での DB を持たない、ログインをさせないなど、企画で工夫をすることである程度費用を抑えることは可能です。

私は以前ECを担当していたことがあるのですが、1メーカーのサイトにログインするためにIDとパスワードを管理するのは、お客様にとって負担だと感じていました。そこを脱却するため、スマートフォンと会員証というお客様ごとにユニークなものを組み合わせ、スマホ/アプリ自体をIDとし、ログインの必要性をなくすことにしました。
https://markezine.jp/article/detail/25787

CRM を目的にする小売アプリの場合、まずはシンプルな形でリリースして運用体制を整えることをおすすめします。

そして運用やアプリの宣伝が落ち着いてきたとき、次の機能として検討されるのが「アプリ内コンテンツによるパーソナライズ」と「EC 連携(オムニチャンネル化)」です。

AI、あるいは AI に似た UX ができるエンタメコンテンツをつくることで顧客の趣味・嗜好をより詳細に取得することが可能になります。さらに、より的確にターゲッティングできるようになるため、おすすめ商品のレコメンド精度も上げることができます。

いずれ EC 機能も付加する場合は、購買意欲が高まった時点でスムーズに購入ができるようになるため、しっかりと運用することで事業の売上を伸ばすことができます。

メガネやコンタクトレンズは、前回の購入された度数情報が重要かつ必要な情報なので、店頭での度数情報を使って、ECで購入できるようにはしています。また、デジタル上で得た情報を「店舗の接客」に取り込むための準備を進めています。さらには、「リアル店舗の接客で得た情報を基に、DMの内容を変える」といったことにも挑戦したいと考えています。
https://markezine.jp/article/detail/30330

販促・EC の場合:顧客のストレスを減らすことで購買単価・頻度の向上を狙う

EC サイトをアプリ化することで、スマホサイトよりも購買につながりやすくなるということは調査結果としても出ています。

参考:スマホ経由の売上を伸ばしたい!とお考えのEC事業者様へ

当然、ただ EC アプリを開発すればいいわけではなく、「モバイルサイトに比べて閲覧しやすい(滞在時間の向上)」「購入までの導線がわかりやすい(途中離脱率の減少)」といった要件を満たす必要があります。また、ログインや決済がスムーズにできることなど、気をつけるべきポイントは多いジャンルといえます。

必然的に、ある程度の機能に加えて「ユーザーにとって快適な UI/UX」を実現する必要があるので、社内の開発チームや社外の制作会社のスキルの影響も大きくなります。 もちろん制作会社側は「見積もりが高いほど開発力に自信がある」というわけではないと思いますが、安さをウリにするメリットはあまりなく、むしろデメリットが大きいということです。ですので、外注する際も「アイミツをとって、安いところに」という決め方はおすすめできません。

アプリ事業ではありながら、「大きな事業の一施策」でもあることを意識

ポイントは、EC アプリに予算を割くということは事業としてオムニチャンネル化に舵を切ることになるということです。販促のためにアプリを活用するのであればある程度の開発費用・運用コストが必要になるため、ハイリスク・ハイリターンの(売上とコストの両方を増やしながら利益を伸ばしていく)ビジネスモデルになります。

「顧客のストレスを減らし、気持ちよく買い物をしてもらう」ことが目的になるのであれば、事業としては物流への投資も必要になりますし、リターゲティング広告などの出稿も重要になります。

そうなると「アプリ経由での売上はいくらだった」と局所的に考えるだけでなく、全体を意識することも重要です。「アプリで情報を閲覧していた翌日、店頭に立ち寄ったので店舗で購入」といった購買行動もありますので、アプリによって実店舗にも良い影響を与えられるような企画・設計が理想的といえます。

小売業界でのスマホアプリ開発費用を考える上でのまとめ

海外では「小売 4.0」と言われるほどビジネスモデルのアップデートが進んでいる業界ですが、ただ新しいことに手を出しているわけでもなく、背景には競争の激化があります。

市場の現状に適応しようとしない小売企業は、長期的に淘汰されるリスクを抱えることになります。米国で小売企業の倒産件数が記録的な数に達したことや、西ヨーロッパと南ヨーロッパで大型小売店の市場シェアが縮小していることは、時代に適応するのが遅すぎたり、適応できなかったりした小売企業の行く末を示していると言えるでしょう。
https://www.fastgrow.jp/articles/retail-4-fv

海外のライフスタイルは日本と大きく異なるので、海外の小売企業の動向や成功事例がそのまま参考にできるわけではありません。

手を広げすぎず、自社の強みである市場で堅実に利益を出すか、市場シェアでトップを獲るために投資するかという二極化が進むと見られています。

足元を固める場合、まずは余計なコストを削減し、利益を最大化することが重要です。新規集客施策はオーガニックでの口コミなどが中心になりますし、再訪促進や単価向上といったエンゲージ施策は LINE 公式アカウント(旧・LINE@)などで的確にリーチさせることを意識する必要があるでしょう。

売上自体を拡大していく場合は、「競合がやっていること」を真似するだけでは差別化できません。制作会社とうまく連携し、品質の高いアプリを完成させることが重要です。

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