何を重視すればいい?iPhone/Androidアプリ制作会社の探し方・選び方について考える
(2022 年 6 月更新)
ホームページをつくる際も同じですが、アプリを社外のベンダーに外注する際も「どうやって制作会社を探せばいいのか」というお悩みはよく聞かれます。
当然ながら「絶対に失敗しない探し方・選び方」は存在しませんが、アプリ制作会社の BackApp としては「注意したほうがいい点」や「考え方」ならばいくつか提示できます。
そこで、今回は iOS/Android アプリの開発を社外に委託しようとお考えの企業様 (ご担当者様) 向けに、外注時のポイントをまとめました。
1. アプリ事業の背景→開発手段によってベンダーの探し方・外注範囲も変わる
コンペなどの場合は区別がありませんが、iOS/Android アプリを他社に依頼して構築もらう場合は
- 既存のパッケージ・サービスを契約し、コードを書かずにデザイン・レイアウトなどだけを決める(ノーコード開発)
- 既存のパッケージを利用しつつ、追加で欲しい機能やレイアウトの変更依頼などに応じてコードを書いてもらう(ハーフスクラッチ開発)
- すべてコードを書いてもらい、独自のシステムを構築する(フルスクラッチ開発)
というパターンがあります。
開発手法 | メリット | デメリットやリスク |
ノーコード開発 | ・初期費用の負担が低い ・業界のトレンドを押さえやすい |
・カスタム性が低い ・大規模になると運用コストが割高になる場合も |
ハーフスクラッチ開発 | (ノーコードとフルスクラッチの中間) | (ノーコードとフルスクラッチの中間) |
フルスクラッチ開発 | ・自社の事情に合わせて細部まで作り込める | ・開発チームやベンダーの設計・技術力に左右される ・初期費用の負担が大きい |
アジャイル開発 | ・運用しながら少しずつ柔軟に追加開発できる ・予算をコントロールしやすい |
・全体の舵取りが非常に重要 ・トータルでは費用が低いわけではない |
※アジャイル開発はスクラッチ開発の手法の一つです
機能の企画以前に、構築手法によっても大きな違い・特徴があるので、アプリ事業を始める際はまず幅広い知識をつけていくことが重要といえます。
関連記事:
- 格安で自社アプリ開発も可能?ノーコード・パッケージサービスを使うメリットとリスク
- ハーフスクラッチ開発とは?ノーコードとフルスクラッチの中間を取れるのがメリット
- 「走りながら作る」アジャイル開発のすすめ
2. iOS/Androidアプリ・システム開発の外注先の主な探し方
Webサイトやシステム、アプリなどのジャンルを問わず、探し方としてはたくさんあり、
- 知人・取引先の紹介
- アプリ (Web サイト) 開発について調べていたときに見つけた会社に相談
- メディアで取り上げられている会社を見て問い合わせ
- 一括見積もりサイトを利用
- 制作会社の名鑑・ポータルサイト類から探す
- 展示会・相談会のようなイベントでつながった企業に後日改めて相談
- 条件を指定し、紹介・マッチングサービスを利用する
などのパターンが挙げられます。
では、このような手法でいくつかの制作会社とやりとりを行い、企画の提案と見積もりをもらった場合、最終的な決め手はどこになるのでしょうか。
2-1. 紹介や “あいみつ” でのシステム開発はリスクが高い
事業部門が主体となってITツールの導入〜システム発注をする際は、社内で紹介された(付き合いのある)社外ベンダーに依頼するというケースもあります。
しかし、ITベンダーにもそれぞれ得意分野があり、上記のように開発手法によって初期費用・ランニングコスト・できるアプリの長所も異なるので、自社と相性がいい企業が紹介される可能性は高いとはいえません。
発注ナビ株式会社の調査では、「取引先や社内の人間から紹介されたベンダーに発注した担当者の 87% は成果物に不満を感じている」というデータもあります。
近い理由で、相見積もりや価格比較サイト、ベンダー同士で競わせるコンペも iOS/Android アプリ開発とは相性が良くないといえます。
初期費用でいえば格安パッケージやノーコード開発が圧倒的に安くなり、魅力的に見えますが、自社に合う手段かどうかは分からないからです。
2-2. フルスクラッチ開発はなぜ高い?どんな企業が発注しているのか?
「アプリ事業を始めようと思ったが、フルスクラッチ開発で見積もりを出してもらったらノーコードサービスとは比べものにならない金額になって驚いた」という声はよく聞かれます。
スクラッチ開発の場合、基本的にはコードを書く量=ベンダーの作業量に応じて料金がかかります。
iOS/Android という二つの異なる OS に対して作業が必要であり、「会員登録/ログイン」「会員別の情報の出し分け」など、簡単そうに見えることに意外と工数(作業量)が必要だったりするため、予想以上に開発工数がかさむ→見積もりを「高い」と感じるケースが多いようです。
参考:iPhone・Androidアプリの見積もり金額はどう決まる?外注・委託時の開発費の相場と値段の内訳とは
最近では、はじめて企業公式アプリを展開する企業がいきなりフルスクラッチで数千万円を投資するケースは減少しており、「パッケージでアプリを構築して順調に成長しているが、できることやコストパフォーマンスに限界を感じてきたのでフルスクラッチで作り直したい」というご相談が多いです。
他には、金融機関などセキュリティ面の要求が高い場合、スタートアップ企業が資金調達をして独創的なアプリを自社のメイン事業にする場合などに選ばれます。
3. アプリ制作会社の選び方に多い「担当者の知識と態度」「提案力」
複数のベンダーから提案を受けていると、メリット・デメリットという点では優劣が付けづらくなり、「見積もりや、質問に対する回答が早かった」「知識が豊富で、わからないことを教えてくれた」など “担当者が信頼できるか” という視点でベンダーを選ぶケースもあります。
特に iOS/Android アプリ開発では
- 発注側に(Web/SNSの知識はあっても)アプリの知識・運用経験が乏しいことが多い
- ノーコードやハーフスクラッチでも安くはない投資になるので、慎重に決めたい
といった背景から、「担当者がどこまで親身になってくれるか」「的確にコンサルティングしてくれるか」という点も重要になることが多いです。
社内の各部門・各視点の要望を吸い上げてまとめるのは事業部門の担当者の仕事ですが、まとめる上では技術的な視点や経験則を交えて精査する必要もあります。コンサルティングができるベンダーであれば、その段階から協力してもらうことができます。
3-1. 相談相手=ベンダーには「ビジネスモデル」と「技術」への両方の理解が必要
一般的に、「自社のアプリでこんなことがしてみたいのですが、可能でしょうか?」と相談した際、iOS/Android およびシステム開発の知識がある担当者ほど慎重に回答する傾向にあります。
見方によっては「歯切れが悪い」「ネガティブ」という印象にもなりますが、システム開発においては慎重に検討せずに見切り発車で進めてしまうと後から “詰んでしまう” リスクもあります。二つ返事で「できます」と答える企業が必ずしも信頼できるパートナーになるわけではないといえます。
とはいえ、制作会社および担当者のスタンスが技術に偏ってしまっていると、自社の事業について理解しないまま “品質” だけを追求してしまうかもしれません。
ですので、アプリ開発を相談するITベンダーには
- 技術的に実現できるか、どんなリスクがあるかを把握していること(同様の実装経験)
- 技術だけでなく、自社のビジネスモデルを理解した上で考えてくれること
の両方が求められます。
4. では結局、失敗しづらいアプリ制作会社の探し方とは?
アプリ開発においては、
- 制作会社を探すだけでなく、クラウドサービス(SaaS)を選んでノーコード/ハーフスクラッチで開発する手段も
- アプリの構築手法によって開発費用も強み・メリットも大きく異なるので、まず最低限の知識をつけることが重要
- 設計〜開発ともに簡単ではないので、紹介された 1〜2 社で済ませるのはリスクがある
- アプリに詳しい人材が社内に少ない場合は、企画〜設計時からコンサルティングできるパートナーを選ぶほうがよい
ということをまず念頭に入れておきましょう。
当然、我々制作会社からしても「うちに任せていただければ絶対に安心です」と言えるわけではありませんので、ぜひ複数の会社から具体的な話を聞いてみてほしいと考えています。特にベンダーへの外部委託の経験が浅いうちは、じっくり考えることで信頼できる外注先の条件が見えてくるのではないかと思います。

- 「ノーコードって実はよくわからない部分もあって…」
- 「格安パッケージは不安だけど、実績ある企業だとそこまで安いわけでもないし…でも、そうなるとオーダーメイドとの違いはどこにあるんだろう?」
といったお悩みを抱える方や、iOS/Android アプリの開発プロジェクトを初めて経験する担当者の方などに向けたお役立ち資料を公開しています。