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小売業界ではアプリをやるべき?活用を成功させるために重要な視点と具体的なメリット

小売業界の企業様から、よく「iPhone/Android のアプリをやったほうがいいのか」「他社のアプリが伸びていると聞いて焦っている」というようなご相談を受けます。

今や買い物を自社の店舗だけで行なうのではなく、顧客と複数の接点を持つ「オムニチャネル」の考え方が主流になっています。一般消費者にとってはどこで買うかという経路はあまり重要ではなく、スマートフォンによっていつでも企業とつながることができるため、「欲しいものが、必要なときに、できるだけ安い価格で買えること」が重要です。

そこで、今回は小売ビジネスにおけるスマホアプリ(いわゆるお店アプリ・店舗アプリ)の活用法、メリットやリスクについてまとめました。

小売企業でのアプリ活用事例と主なメリット

基本的には実店舗への来場促進や、既存顧客(リピーター・常連)の管理をメインとしており、実装されている機能としては

  • ポイントカードのアプリ化
  • セール情報の配信(チラシのアプリ化)
  • チェックイン機能(来店でポイント付与など)

といったところです。オンラインストアのみではなく実店舗を持っている企業がアプリを活用していることは日本の特徴といえます。

実店舗と連動したアプリの場合、特に目新しい機能がなくとも、顧客にとっては、

  • 会員カードを紛失することがなくなる
  • 外出先からでも、馴染みの各店舗のセール品をチェックできる
  • スマホサイトに比べて閲覧しやすい

という明確なメリットがあるので、企業にとっては、実店舗内で接客中のダウンロード促進が比較的やりやすいジャンルといえます。

基本的な機能を抑えた上で、自社独自の企画を実装することで顧客との関係をより良くしていくためのチャレンジができます。

EC はアプリと好相性

小売業界の中でもアパレル・雑貨・インテリア系の企業様などがよく運営されている EC サイトは、アプリ化することで多くのメリットがあるというデータが残っています。

すべての小売企業が展開できるビジネスではありませんが、インターネット販売に注力していない場合は検討の余地があるといえます。

参考:スマホサイトの売上を改善!ECサイトのアプリ化は「3つの課題」に良い効果を与えられるメリットが

小売アプリのデメリット、失敗しないために注意すべき点

国内各社のアプリの分析データを提供する App Annie 社では、小売業界のアプリの多くはあくまで上記の基本機能に留まり、「お知らせアプリ」の域を出ていないとしています。

多くの企業にとってアプリ利用の目的は、最終的に自社の売上を伸ばすことですが、直接的にはクーポンやセール等といった「ディスカウント」キャンペーンの周知及び展開のための利用になっているのが実態です

引用:小売業界においてアプリ活用を成功させるために重要な視点

店舗と連動したアプリをフル活用するとなると

  • 飲食物をアプリから事前オーダー
  • アプリで決済
  • iBeacon を使って実店舗内を誘導

などが挙げられます。

日本は現金での支払いが多く、キャッシュレス化が進んでいないという背景があります。また、iBeacon を使おうにも Bluetooth をオフにしているユーザーが多いなど、アプリ文化はまだまだ発展途上といえます。

いずれは日本各地のショップでもスマホ決済や位置情報と連動した案内などが一般的になるかもしれません。そうなってから対応するか、今から少しでも社内にアプリ活用のノウハウを貯めておくかという経営スタンスによるのかもしれません。

また、よくアプリ開発、Web サイトをアプリ化するメリットとして「顧客が毎日開くスマートフォンのホーム画面の自社のアイコンを置ける」という宣伝効果が挙げられます。

ただ、よくデータで挙げられる「1 日にアプリを開いている時間」は、一見すると長く見えますが、SNS アプリなど一部のジャンルによって平均値が底上げされています。利用時間が多いアプリを見ても SNS やゲーム、動画閲覧、ニュースアプリ、大手 EC などが並んでおり、一企業の公式アプリがどれだけ起動されているのかという点には疑問が残ります。

そうなると、ただの「お知らせアプリ」の開発・運用で、公式 SNS アカウントよりも費用対効果が高い結果を出せるのかという経営視点が重要になります。

小売業界でアプリ事業を始める際に気をつけること

ポイント1:短期的な戦略か、長期的な投資か (ゴールの設定)

冒頭で説明したように、現在の日本人の平均的な IT リテラシーなどもあり、小売業界の現状は「アプリ=既存顧客の管理・セール情報の配信による再訪促進」に留まっています。

ブランドとして伝えたい世界観があるといった理由で新しい機能を盛り込む施策は価値のあるチャレンジですが、まだ成功事例は多くありません。

ですので、(小売業界に限った話ではないですが) 大きく分けると「短期的に投資を回収できる見込みのある、最低限の機能のアプリ」か、「世界観を醸成して顧客を育成していく、投資的なアプリ」、あるいはその折衷案を探っていくというアプローチになると思います。

アプリは開発面でも運用面でもコストがかさみ、戦略や振り返り・検証・改善が重要になる事業です。だからこそ、始める前にしっかりと目標設定を行ない、携わるメンバーたちと意識を合わせておくことが重要です。

参考記事

ポイント2:保守・運用の体制を整えておく

若年層に限らず、幅広い世代で日常的にスマホアプリを使う人の割合が増えてはいるものの、SNS などに比べると企業の公式アプリは起動頻度が低くなります。
そこで、定期的にアプリを開いてもらうための施策として、小売や EC など、物品販売を行なっている企業の生命線となるのがプッシュ通知です。

データを見ても、特にその場で購入ができる EC アプリは顧客側も「期待している」状態で、通知を受け取る設定にしてくれる傾向にあります。

ただ、だからといってプッシュ通知を適当に発信していると、それはアプリを削除されてしまうリスクにもつながります。「運用に時間をかけられないから」といって全ユーザーに一斉に、1 日に何度もプッシュ通知を配信してしまうと、むしろ逆効果となることに注意しましょう。

参考記事

ポイント3:競合に惑わされすぎない

事業を始める上で、競合を分析した上で自社のポジションを模索していくことが大切です。

アプリはデータがあまり公開されていないこともあり、噂のような情報が一人歩きすることも少なくありません。

また、私たちが常に強調していることですが、「メディア露出が多く、インストール数が多いアプリ=儲かっている」というわけではありません。広告費を投資するほど、DL 数が伸びたり有名媒体に掲載される機会が増えたりするということです。

参考:同業他社のアプリってどうなの?まずは App Store と Google Play から競合調査をしておこう

ポイント4:新規集客には期待しない

序盤でオムニチャネルの話が出ましたが、企業の販促戦略としても「流入経路を増やす」ということはよく意識されます。「顧客はアプリを使った買い物体験を望んでいる」「アプリをつくれば今まで取りこぼしていた層を自社の顧客にできるのでは」といった仮説を立てることは可能ですが、あまりおすすめはできません。

単価が高いショップやビジネスであれば別ですが、一般的なショップの単価を考えると、新規顧客の獲得による売上はさほど大きくなりません。一方、アプリの開発費用に運用コストに加えて新規顧客の獲得コストがかかるため、すぐに新規開拓での利益を出すにはかなりの運用テクニックが必要になります。

もちろん、ポイント 1 の「長期戦略か短期戦略か」という根本にも関わってくるので一概には言えないのですが、一般的には 新規顧客の獲得であれば既存サイトの改修や Web 広告などのほうが即効性が高いといえます。

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「それ、事業として成立しますか?」アプリ事業の計画で重要な“ビジネスモデル”と“売上・利益の出し方”

「アプリは一攫千金」「同業で、儲かっているらしい会社がある」「経営陣からせっつかれている」——そんな雰囲気のままでアプリを開発しても、投資分すら回収できずに終わってしまう事例が多々あります。

アプリが失敗する原因は大きく分けてもいくつか種類がありますが、「そもそも事業計画書の時点で事業として成立していない」という場合もあるように感じています。

私は Web 業界で新規事業をいくつか経験してきましたが、アプリ事業はやっぱり難しいと実感することが多かったです。

そこで、今回は Web サイトのアプリ化というよりは事業としてのネイティブアプリを想定し、「そもそも今検討しているアプリ事業は、ビジネスとして実現可能なのか」という視点で最初に整理すべきポイントをご紹介します。

新規事業を何度も経験されている方であれば当たり前の内容ですし、「いやいや、こういう知識よりも本質的に大事なのは〜」という話で盛り上がることもできると思いますが、まず最初は基本から整理しておきましょう。

事業計画書を書き始める前に、ビジネスとしてまず考えるべきポイント

「まったく新しい価値やライフスタイルを提案すること」や「世の中を帰ること」を目的とした社会実験のようなアプリを開発するスタートアップ企業の場合は、まずアプリを公開して反応を見ることが大切です。

ですが、ほとんどの企業・担当者様が考えているアプリは「優良顧客を増やすこと」「売上を伸ばすこと」が目的となるため、アプリを開発、運営していくにあたってもビジネス性が重要になります。

アプリに限らず、新規事業を生み出す際にまず考えるべきこと、調査すべきことは

  • そのアプリを開発したとして、使いたがる顧客がいるのか
  • 使いたがる顧客がいたとして、十分な数なのか
  • 十分な顧客がいたとして、売上につながるのか
  • 十分な売上が出るとして、運用・維持費を上回るのか
  • 初期投資分を回収するまでのキャッシュ・フローは十分にあるか
  • 何を競争力として差別化し、この計画を実現させるのか

という点です。

「実際に使ってくれる顧客がいるのか」という点に関しては、事前調査で参考となるデータを取ることもできますが、明確にしきれない部分も多いです。

これは余談にはなりますが、アンケート調査というのはとてもマーケ泣かせで、対面でヒアリングしたときやプロトタイプを使ってもらったときなどは特に “相手に余計なことを考えさせている” 状態になってしまいます。その時点で、フラットな状態で初めて触れたユーザーの声ではなくなるとともに、実際には好感を抱いていなくても「面白いですね! リリースされたら使ってみたいと思います!」というようなリップサービスも増えていきます。

そして、アプリ事業に限らず自分が普段使っている有名な Web サービスをいくつか考えたとき、リリース前や直後の段階で「このサービスは絶対イケる」と言われていたものはほとんどないのではないでしょうか(むしろ「わざわざこのサービスを使う意味がない」などとバッサリ切り捨てられているほうが多いのでは)。

ということで、需要があるかどうかは α 版や β 版公開後のリアルなデータから見るとして、まずは次のように考えていきましょう。

「どれくらいの市場なのか?」

まず重要なのは、どれだけの人や金額が動いている市場に向けて公開するアプリなのかということです。会社・事業として目指したい売上規模があると思いますが、目標がそもそも達成できる数字なのかは市場規模に大きく影響されます。

アプリの場合ですと、App Store と Google Play を見れば競合となるすべてのアプリの「おおまかなダウンロード数」「ユーザーからの評価」を見ることができます。さらに売上ランキングを見れば、あるジャンルのアプリの中での序列もわかります。

参考:同業他社のアプリってどうなの?まずは App Store と Google Play から競合調査をしておこう

そして既にある程度の結果を出している上場企業や成長企業であれば数字を公開していることが多いので、事業計画を考える際には必ずチェックしておきましょう。

どちらも必ず正確な数値とはいえませんが、競合のシェア、DL 数、レビューから売上を推定することで、事業計画書を書く際にある程度は具体的な目標を立てられるようになります。

ポーターの基本戦略

そもそも、狙う市場を設定する際には

  • 競合と戦う道(市場規模は大きいが、ある程度のシェアを奪えなければ事業が成立しない)
  • 競合と戦わない道(市場規模が小さく、ユーザー数や売上額の限界値が低くなる)

という二つの選択肢があります。

市場規模が大きくなれば当然一攫千金のメリットはありますが、たとえば上位にいる大手三社がそれぞれ 3 割ほどのシェアを握っている場合、短期〜中期的に手にできる売上には限界があります。そしてレッドオーシャンの中でどう成長させていくか・シェアを握ったときにどう守るかという戦略がとても重要になり、少なくない投資も求められます。

一方、ある市場の中でもどこかに特化するなど、ブルーオーシャンを見つける、あるいは創り出すという道もあります。競合が少なければ当然、多くない投資で過半数のシェアを取ることも難しくありません。ただ、あまりにもニッチすぎる場合、50〜100% を占めたときでさえ売上規模はそこまで大きくならないかもしれません。

さらに、もう一つ大きな選択があります。

  • コストの低さが売り(低コストを維持しながら顧客数を増やす努力が必要)
  • 独自の体験が売り(高いと思われても買いたくなる価値を提供する努力が必要)

と、顧客に提供する価値をどちらに寄せるかです。

アパレル業界、飲食業界の “ファスト” ブランドでは熾烈な価格競争が続いている一方、ラグジュアリー路線やオーガニック路線で値下げをせずに戦うブランドもあります。

アプリに関しても、競合がまったく存在しない勝負などほとんどありません。アプリのゴールを突き詰め、「どこを狙っているのか」「どうやって狙うのか」という二軸で自社の立ち位置を明確化することが大切です。

ビジネスモデル別・アプリ事業において売上と利益を出す仕組み

アプリから生み出される売上としては

  1. 広告
  2. アプリ内課金
  3. 自社製品・サービスの直販
  4. プラットフォームとしての利用・仲介手数料
  5. データ販売・マーケティング調査費

に分かれます。

アプリ内課金といっても幅広く、月額課金などで有料ユーザー登録を促す定額課金モデルと、ゲームのような従量課金モデルがあります。

アプリ内の取引・ユーザーのデータの統計を取り、マーケティングデータとして販売する 5 番のみ特殊な形となりますが、基本的なアプリの売上は

  • 売上 = アクティブユーザー(AU)数 × 平均単価

という計算式になります。アクティブユーザーとは、「アプリをインストールした上で、継続的に起動してくれる」状態にある顧客、すなわちファンになってくれた優良顧客ということです。

そして、さらに分解していくと、

  • 広告モデルの売上 = AU 数 × 訪問頻度 × ページビュー数(≒ 滞在時間)
  • アプリ内課金モデルの売上 = AU 数 × 課金ユーザーの割合 × 購入単価
  • 直販・EC 型の売上 = AU 数 × 購入頻度 × 平均単価
  • 手数料モデル型アプリの売上 = 取扱総額(AU 数 × 取引頻度 × 取引単価) × ...
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スマホアプリの公開後にかかる費用とは?リリース後の保守運用・メンテナンスコストを想定しておこう

アプリの費用、相場観を考える際には、“開発” のためのコストに目がいきがちです。

しかし、アプリ事業は公開してからが本当の勝負の始まり。維持するにも、バージョンアップをするにも、当然ながらコストがかかります。

そこで、今回はアプリの企画段階で「公開後のためにはどれだけ予算や人員を確保しておくべきか」という視点が持てるよう、アプリ公開後にかかってくる運用コストの種類と考え方をご紹介します。

開発コストの記事でも書かせていただきましたが、制作会社が「うちが考えているアプリだとどれくらいの費用になる?」という見積もりを求められたとしても、完成系のイメージを正確に共有できなければ、金額はアテにならなくなってしまいます。ですので、費用の種類と考え方を知っていただくことで、アプリ事業のチーム内である程度の想像ができるようになることが一つのゴールではないかと考えています。

アプリを運用している限りは毎月かかるサーバー代

運用コスト:毎月定額(Web サイトを運用中であれば目安にはなる)

Web サイトと同様、スマホアプリもインターネット上にデータベースを持つわけですので、当然ながらサーバー利用料は毎月必要になります。

サーバー代は基本的に規模(ユーザー数)に応じて値段が上がるものなので、小規模なアプリであればあまり大きな金額にはなりません。しかし、順調に成長したときには素早く増強の判断を下し、コストをかけていく必要があります。

また、大規模な広告キャンペーンを始めた場合やメディアに取り上げられたときなどに増強が求められるのは Web と同じです。特にアプリは既存顧客と良い関係性を築くことが目的になることが多いので、サーバーのダウンには気をつけたいところです。

iOS/Android それぞれでの追加開発・保守・メンテナンスの費用

運用コスト:アプリの規模(ユーザー数や機能数)に応じて頻度が上昇

ごく限られた用途のシンプルなアプリであればあまり必要ないかもしれませんが、ほとんどのアプリは公開後、ユーザーからのさまざまな要望が届きます。

ユーザーが普段使っている他のアプリに比べ、「探しづらい」「待ち時間が長い」といった動作面での不満があるかもしれません。そして、もしかすると企画会議の段階で「これは必要ないんじゃないか」と切り捨てた機能が、ユーザーにとって「何故ないのか」「ないと困る」ものだったかもしれません。

さらに、自社のスタッフが誰も使っていない、あるいは開発チームで事前に動作テストをしていなかった Android 端末でのみ、クラッシュなどのバグが発生しているかもしれません。

どれだけ経験を積んでも、新規サービスは出してみなければユーザーの声がなかなか予想できないものです。このような事態に備えるため、アプリの開発後も自社あるいはパートナー企業に、追加開発ができる体制を整えておくことが重要です。

ですので、アプリ公開後の運用コストの中には欠かさず、アプリの規模に応じた “追加開発・メンテナンス費” も見積もっておきましょう。iOS と Android で開発言語が異なるため、エンジニアを一人雇えばすべて対応してもらえるわけではないということも念頭に入れておきましょう。

iOS/Android 自体のアップデートに要注意

追加開発と似た項目ですが、こちらは保守・メンテナンス作業の規模が大きくなりがちで、回避することが難しいものです。

私たちが開発するアプリと同様、スマートフォン自体も、より便利になるように Apple 社と Google 社によって定期的に更新されています。

ですが、OS がアップデートされると、今まで問題なく動いていたアプリに予期せぬ不具合が起きることもあります。iOS のアップデートによって不具合が起きた場合は、アプリユーザーの多くが影響を受けてしまうため、素早く対処することが求められます。

今までの主要なアップデートの歴史は

iPhone, iPad

  • iOS 9.0 (2015 年 9 月)
  • iOS 9.2 (2015 年 12 月)
  • iOS 10.0 (2016 年 9 月)
  • iOS 10.1 (2016 年 10 月)
  • iOS 11 (2017 年 9 月)

Android

  • Android 4.1 – Jelly Bean (2012 年 7 月)
  • Android 4.4 – KitKat (2013 年 10 月)
  • Android 5.0 – Lollipop (2014 年 11 月)
  • Android 6.0 – Marshmallow (2015 年 10 月)
  • Android ...
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スマホアプリ開発に慣れないうちはメリットが大きい!開発前には「ペーパープロトタイプ」を作成しよう

アプリを開発する際、“事前準備” はどこまで済ませていますか?

もしパンフレット・冊子や Web サイトの作成経験がおありなら、ある程度 “チェックリスト” のようなものはお持ちかもしれません。

iPhone/Android アプリに関しても、社内外の開発者と共に企画を立てる際に担当者(マネージャやディレクター)がどこまで具体的に完成形をイメージできているかは、コストや品質に大きな影響を与えます。

そこで、今回はまだあまりスマホアプリの経験がないという方向けに、Google などもおすすめしている「ペーパープロトタイピング」という工程をご紹介し、準備を順調に進めるためのお手伝いができればと思います。

アプリ開発で重要なペーパープロトタイプとは(ワイヤーフレームとの目的の違い)

やることは、「紙とペンでアプリの試作品をつくり、実際に操作しながら使いやすさを確認すること」です。「紙(ペーパー)で試作品(プロトタイプ)をつくる」ということなので、言葉の意味はシンプルです。

「紙でアプリをつくっても、操作できないから意味がないのでは?」とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。ですが、紙芝居などの形式を使って、しっかり動くものをつくることがポイントです。

Web サイトを制作または外注するときに “ワイヤーフレーム” をご覧になったことがある方もいらっしゃると思います。ペーパープロトタイプは同様の作業のスマホ版・アプリ版というイメージを持たれることもありますが、意味は異なります。

ワイヤーフレームは画面上に表示する要素の位置関係や大きさを表現するものですが、ペーパープロトタイピングは、画面の中を整理するのではなく “実際に使ってみること” が目的です。

Web サイトは「ページを読んでもらうこと」自体が目的になることもありますが、アプリではその先のアクションが発生するかどうかが重要になります。ですので、画面内が整理されていることだけではなく、そのページから先へとスムーズに動作するデザイン(UI/UX)を考えぬく必要があるのです。

理想的なサンプルから学ぶ、ペーパープロトタイピングのやり方

ペーパープロトタイピングの流れや方法については、スマホアプリのプラットフォームである Android を開発している Google も、教材となる動画を公開しています。

画面一つひとつのスケッチ自体は、ワイヤーフレームを作成するときと変わりません。つくったことがない場合、社内に Web ディレクターやデザイナーが在籍していれば、一度協力してもらうことをおすすめします。

参考:HP作成の初心者でワイヤーフレームの作り方をよく知らない人へ

一つのポイントは、動画の 3:21 からの部分です。スケッチを “パーツごとに” 分解して作成することで、タップしたときに画面が遷移するだけでなく、隠されていたウィンドウが開いたり、ポップアップが出てくるといった動きまで再現しています。このような動きは文章で指示書をつくっていても伝わりづらいため、開発者に正しく指示を出したい場合は重要です。

そしてもう一つのポイントは、4:23 からの部分です。スケッチと画面をタップする指を静止画で撮影し、紙芝居のように連続で流すことで、まるで本物のアプリを操作しているかのような動画を作成しています。実際に一人のユーザーがアプリを操作している一連の流れを把握できれば、ペーパープロトタイプは成功といえます。

結局、紙でこんな立派なプロトタイプをつくるメリットって?

実際にペーパープロトタイプを作成しようとすると、「アプリを開発する前なのに、こんなに時間と労力をかけて、果たして意味があるの?」と思うかもしれません。

ですが、アプリを開発する前に “検証” ができることは、大きなメリットになるのです。ゲームエンジン「libGDX」を開発した現役プログラマーである Mario Zechner 氏は、著書の中で “The pen is mighter than the code. (ペンはコードより強し)” と記しています。

もし、アプリが一通りできあがってきたときに「やっぱりこの画面でここをタップしたときにはこっちの画面に行ってほしい」といった修正希望点が出てきたとしたら、どうなるでしょう。

紙の上の話であれば描き直すだけで済みますが、デザイナーにデザインイメージを制作してもらってから、開発者にプログラムを組んでもらってからになると、修正のためのコストが跳ね上がります。

もちろん、企画・要件定義がうまくできていれば、大きな修正もなくアプリをそのまま公開できます。ですが、まだアプリの企画・デザインおよび開発・ディレクションの経験が浅い場合は、ペーパープロトタイピングをしたほうが最終的なコストは低くなる “確率が高い”、といえます。

iPhone/Android アプリの開発では、企画を考えているうちに「こんな機能が必要だ」「これもできたほうが便利だ」「競合と差別化するためにはこういう要素も必要では?」と、MUST の機能だけでなく、BETTER の機能まで入ってきます。

たとえば、買い物途中での離脱を防ぎたい EC アプリで、「どの商品が人気かわかるほうがいい」「商品のレビューもすぐに見られるほうがいい」「最安値や在庫情報なども見せたい」という風に選択肢を増やしたとします。

しかし、実際にアプリの中に落とし込んで操作してみると、「この画面にたどり着いた時点では、やることは一つしかないな」「ボタンがたくさんあると、かえって見づらいな」と感じるかもしれません。前後の動作を考慮したユーザーの目線で優先順位を実感できれば、コスト面でも品質面でも大きなメリットがあるといえます。

まとめ:スマホアプリのデザイン・品質を上げるペーパープロトタイピングとは

  • 言葉の意味としては「紙でつくったアプリの試作品を実際に操作して確認する」こと
  • ワイヤーフレームは「画面のデザイン確認」、ペーパープロトタイプは「動作のデザイン(UI/UX)確認」の目的で作成する
  • 机上の議論で増えがちな「優先順位の低い機能(選択肢)」を絞ることで、デザインが洗練される
  • ペーパープロトタイプの時点でデザインを修正するほうが、最終的な開発コストも抑えられる
  • 少なくとも iPhone/Android アプリの経験が浅いうちは、やるメリットは十分ある

アプリ開発を手がける BackApp では、上記の意味もあって企画段階でのペーパープロトタイピングをおすすめしております。ご不明点などがありましたらぜひ一度お気軽にご相談ください。

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「機能」ばかり考えて「デザイン」が疎かになっていませんか?アプリ開発の中で売上に与える影響とは

今まで Web サイトや iPhone/Android アプリを外注しようとしたとき、見積もりに書かれている「デザイン費用」の金額を意識されたことはありますか?

最近ではクラウドソーシングが盛んになり、名刺やロゴのデザインも “格安” で発注できるようになっています。その文化に慣れてしまうと、「デザインに高い費用をかける意味とは?」と疑問に思いがちです。

そこで今回は、「制作会社やプロのデザイナーがデザインにこだわる理由・意図」について、実例も交えながら簡単にご紹介したいと思います。

優れたデザインによって、商品の魅力が増すことも

スマホアプリ開発に限らず、デザインは「いくら予算をかければいくら返ってくるのか」という金額換算がしづらく、予算を組むにも苦労します。最近では安く外注できる手段も増えてきたので、機能開発に予算を注いだほうがいいのではと思うこともあるかと思います。

しかし、素人には気づかない “デザインの違い” が、製品の売上に大きな影響を与える場合もあるのです。

試したり効果を測定したりすることが難しくはあるのですが、Web サイトやアプリ、商品のロゴや POP にしても、デザインを変えたときに顧客の反応のどこかが大きく変わることは珍しくありません。

特に Web やアプリは効果測定が比較的やりやすいというメリットもあるので、感覚的な仕事というイメージが強いデザインも、論理的思考・ビジネス思考が求められる場面が増えてきています。

スマホアプリ開発の場合は、短期的な売上よりもファンに対する価値の提供

良いデザインはもちろん短期的な売上にもつながりますが、短期的な売上であれば、広告・PR 企画のほうが適しています。
メディアや EC といった領域でも、一般的に「Web は広く浅く、アプリは狭く深く」という風に区別されています。

やはり、企業が自社アプリを持って成功した際の最大のメリットは “製品やブランドのファンをつくる” という長期的なものではないでしょうか。

例えば、ドイツ車メーカーのアウディでは、デザイナーに「売れる車をつくれ」とは指示しないそうです。

日産とアウディで仕事をしてみて、いろいろな違いに気付かされました。まずディレクターの考えがまったく違う。例えばアウディ時代、ワルター(・デ・シルバ)からは日産時代に言われた「売れるクルマをつくれ」というようなことは一度も言われませんでした。皆、とにかく美しいデザインを描くことに努めていたんです。野望もあったと思う。彼とA6、Q7、A5、A7などで一緒に仕事をしましたが、売れるかどうか考えたことはありません。もしも日本メーカーのデザイナーが”売れるためならなんだってする”と考えて仕事をしているとしたら、真逆と言いたいです。

引用記事:http://toyokeizai.net/articles/-/179917?page=2

車という製品は長く使うものですし、買い換えるときも同じメーカーで買ってもらいたいものなので、企業にとっては “ファンをつくる” ことが重要になります。そのデザインを担当する人間には、かなりの専門的なスキルが必要になるのでしょう。

UXデザイナーは、売ることを考えてサービスを考えてはいけないのです。売るために作ろうとすると売れるものは作れません。

引用:https://uxdaystokyo.com/articles/marketing-vs-ux/

アプリも、“優良顧客を増やしたい” という目的で開発されることが多く、自動車に通ずるものがあります。

事実、最近では、App Store が「テンプレートを使用して制作されたアプリを排除する」という方針を打ち出して大きな話題を集めています。この件は今後どうなるか注目ですが、将来的にはデザインを軽視しているアプリ、いくつかのパターンを使いまわしているだけの制作会社は不利な面が増えていくのかもしれません。

ですので、アプリは開発前に「どんな機能をつけることでビジネスに貢献するか」をハッキリと定義するマーケティング視点と、開発中の「どうしたらユーザーに愛されて、長く使ってもらえるか」というデザイン視点の両方が大切になるのです。

Google Play や App Store のレビューを見れば売上の予測も?

では、開発した自社アプリのデザインが優れているか、あるいは外注するために企業のデザイン力を判断するには、どうすればいいのでしょうか。

もちろん直接ユーザーに聞き込みを行ったりアンケートを取ったりという手段もありますが、アプリの場合は、アプリストアの公開レビューの点数や口コミの内容も大きな参考になります。

アプリのレビューは、ポジティブな意見もネガティブな意見も「レビューを書きたくなるような体験をしたときに書く」というユーザーが多いという調査結果があります。

参考:http://appmarketinglabo.net/appstore-review/

もちろん、コンテンツ面や機能面など、デザイン以外の部分が評価を大きく左右することもあります。

しかし、もし「使いやすい」「かわいい」といったコメントが多くつくようであれば、アプリの起動頻度やアプリ経由での実行動にも期待が持てるはずです。逆に「使いづらい」「必要な情報が探しづらい」という声が多ければ、アプリの存在意義が問われます。ですので、前者のようなユーザーを増やすことで、“ファンをつくれているか” という指標の目安になりますし、アプリ経由での売上、そして事業自体の売上にもつながります。

また、余談ではありますが、アプリストアに公開されている評価自体が、新規顧客の判断に大きく影響を与えるというデータもあります。もしまとまった予算を確保して広告を出しても、レビューの点数が低いと「広告を見たときはいいと思ったけど、やっぱりやめようかな…」と躊躇するユーザーも増えてきます。使いやすいデザインを生み出してアプリストアのレビューを高く保つことは、短期的にも長期的にも売上に影響を与えることでしょう。

「とりあえず iPhone/Android アプリも出そう」から始まる失敗——星1つのひどいレビューは想像以上に売上に響く

iOS/Android アプリの制作会社が考える「デザインの価値」まとめ

  • デザインは人間の感覚、「商品を評価する」感覚にも影響を与える
  • 短期的な勝負の広告キャンペーンはマーケティングが、長期的な勝負のアプリはデザインの重要度が高くなる
  • 流行りのパターンをベースにすることは良いが、そのまま使い回すだけの会社・アプリはリスクも?
  • レビューを書いてくれる程度のファンを増やせるかどうかは、デザインの良し悪しの指標の一つ
  • アプリストアのレビューが低くなると事業に即時マイナス影響
  • プラスの影響はすぐには見えづらく、長期的な目線が重要

極端な話、ひたすらワンパターンな格安アプリを量産している会社でもなければ、見積もりの中の「デザイン費」が高いか安いかはそう簡単には判断できません。しかし「デザインが何故重要なのか」を理解し、「安くデザインしてくれる知り合いがいるから、機能さえちゃんと実装されれば…」と考える前に、もう一度アプリをつくる目的を思い出していただければと思います。

BackApp では、お客様とのお打ち合わせの際に「どんな画面構成のアプリになるか」をイメージしやすくなるようなサンプルをお見せすることも可能です。ご不明点などがありましたらぜひお気軽にご相談ください。

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「そのこだわり、本当に必要ですか?」制作会社が考える、スマホアプリのデザインの作り方

アプリを開発するとき、すべてを制作会社に外注せずに作業を分担するケースもあります。企業によっては「エンジニアはいないけど、デザイナーは社内にいるから」と、デザインは自社でやりたいということもあるでしょう。

もちろん、社外の人間よりは自社の風土をよく知っている社員にデザインをしてもらったほうが、アプリの仕上がりも自社らしくなるはず。

ですが、出来上がったデザインイメージで開発を進めてもらおうと制作会社に渡した際、思わぬトラブルが起こることもあるのです。

そこで今回は、「デザイナーは社内にいるが、アプリの経験はない」という企業様向けに、まず押さえておきたい iOS/Android アプリのデザインの作り方、および進める上での注意点をご紹介いたします。

iOS/Android アプリの経験がないときにやりがちな失敗をまず防ぐ

アプリのデザインの作り方としては、まず iPhone/iPad/Android についての理解を深めることが重要です。

極端な事例ですが、たとえば iOS 端末を想定し、画面の下部にアプリのメニューバーを置くデザインラフをつくったとします。続けて Android アプリも開発しようとした際、「頑張ってつくったから」と、iOS のデザインをほぼそのまま使おうとしたとします。

しかし、Android は画面の下部に独自のナビゲーションメニューが固定されているので、iOS のデザインをそのまま使うとメニューバーが二重になってしまい、とても見栄えが悪くなります。こういった “明らかに違和感がある” デザインはストアの公開レビューなどにも悪影響を与えるため、避けたいところです。

次に意識すべきは、「紙に描いたデザインがそのまま実装できるわけではない」という点です。

Web やアプリの開発は、デザイナーから受け取ったデザインイメージの通りにできるわけではありません。ですので、Web の経験がないグラフィック系のデザイナーがイメージを作成した際は、技術的に実装できない部分や、実装はできるもののかなりのコストがかかる部分がどうしても出てきます。 そうなると何度もデザインの修正・すり合わせが必要になったり、見積もりを作り直す事態になったりします。

そして、Web サイトのデザインを経験している人でも、アプリのデザイン経験がないとトラブルが起きることはあります。

Web サイトのアプリ化に近いハイブリッドアプリであれば似た感覚で進めることができますが、ネイティブアプリは別物です。その際は、ネイティブアプリで実現できる画面構成やアクションを理解しておく必要があります。

さらに開発に近い専門的な話になりますが、Android は画面の解像度が異なる端末でも均一に見えるように db という仕組みが使われているため、デザイナーが普段通り px(ピクセル)単位でサイズを指定していると、開発の現場が混乱してしまいます。また、マージンに関しては Web のようにパーセンテージで指定することができないため、固定の数値を指定しなければならないといったルールもあります。

デザイナーが納品するファイルのリスト・形式・フォーマットは BackApp の事例として下記の記事にまとめてあります。ぜひご一読ください。

手間はかかるが、iPhone/Android アプリは特にデザインが重要

別の記事で詳しくご紹介させていただきましたが、経験が浅い際のデザインの作り方・進め方を語る上で、まず「どんな風に動くアプリになるのか」を複数枚の紙に描いて表してみる ”ペーパープロトタイピング” は欠かせません。

参考: デザインを洗練させ、アプリの売上を高める!開発前には「ペーパープロトタイプ」をつくろう

特にワイヤーフレームの作成経験がある Web デザイナーが社内に在籍している場合は、スマホアプリ開発の経験がなくてもスムーズにプロトタイピングができるはずです。

とはいえ、iOS/Android それぞれのルールの把握に、プロトタイプ作成——。「デザインだけで、そんなに労力をかけていられない」「大事なのはデザインよりも機能ではないか」と思う方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、アプリは Web や SNS とは異なり、インストールしないと観られないコンテンツです。当然、インストールしてくれるユーザーは、ある程度会社や製品・サービスに興味を持ってくれている顧客です。

アプリの目標設定としても「優良顧客(ファン)を増やす」というところに重点を置かれることが多く、デザイン・開発を “お手軽に” 済ませるとなると本末転倒になってしまうというケースも少なくありません。

アプリに限らず、良いデザインを追求するメリットは近年注目されてきており、ちょっとした修正を加えるだけで売上にプラスの効果があった事例などがよくシェアされています。もしデザインを軽視する雰囲気などが社内にある場合は、そういった事例を共有してみるのも良いかもしれません。

また、2017 年末、iPhone アプリを公開する場である App Store で「テンプレートを使って量産されたアプリを受け付けない」という方針が打ち出されたことが大きな話題になりました。その後、規制を緩和する旨も発表されましたが、App Store を運営する Apple 社も、Google Play および検索エンジンを運営する Google 社も、コンテンツの “量産” を歓迎してはいないようです。

コストをかけてもこだわりやトレンドを追うか、ビジネスとして最低限の労力で抑えるか

ただ、「こんなデザインにすれば、ユーザーは満足してくれるはず」という想いからデザインや細部の UX にこだわることは、開発費用だけでなく、開発したアプリの容量や動作速度にも影響します。

たとえば、Web と同様、デザインにこだわる際に重要になるフォント。アプリでも有料のフォントや Web フォントを使うことができますが、ストアからダウンロードする際の容量や、起動したときの読み込み速度には影響を与えてしまいます。最終的な容量や読み込み速度は、こうした “こだわり” の数によっても左右されるのです。

顧客の属性によっては影響を受けないこともありますが、若年層には容量の大きいアプリ・通信頻度が高いアプリが敬遠されがちというトレンドがあります。スマホでインターネットをしている際は速度制限を恐れて YouTube を観ないでおく、新しいアプリをダウンロードしないといった声も少なからず聞かれます。

参考:若者はみんな使っている? 謎のワード「ギガが減る」とは

Web サイトでは AMP 技術の登場もあって「読み込みが速いサイトはユーザーに好感触を与える」という話もたびたび聞かれます。

ですが、作り方にはこうすればいいという正解は少なく、「自社の場合は、何を優先すべきなのか」といった戦略的思考が重要になります。アプリの開発に限った話ではありませんが、やはり “理想” ...

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ハイブリッドアプリ (webview) とネイティブアプリの違い・各メリットとは?

アプリを開発・発注する際にまず決めなければならない「ハイブリッドアプリ」と「ネイティブアプリ」、それぞれのメリットをご存知でしょうか?

特に EC サイト、ポータルサイト、情報検索サイト、来場予約サイト、社内業務管理ツールなどすでに Web サイトがある場合、既存のサイトをベースにするか、オリジナルで開発するかが悩みどころとなります。

そこで、今回はアプリ開発を検討されている企業のご担当者様向けに、まずビューワーアプリとオリジナルアプリの違いと特徴をまとめました。

「Webアプリ」と混同されがちな「ハイブリッド(webview)アプリ」とは?

いわゆる「ウェブビューのアプリ」は、基本的には Web サイトと同じコンテンツをそのままスマートフォンやタブレットのアプリ内で読み込むという仕様です。

加えて、ハイブリッドという名の通り、プッシュ通知機能、カメラ機能や位置情報取得機能など、モバイル端末ならではの機能を使って付加価値をつけることができます。重要な部分はネイティブ(オリジナル)で開発することができるので、すべてを Web サイトと同じようにつくる必要はありません。

ハイブリッドアプリが最も力を発揮するのは「モバイルサイトではユーザーに期待している行動があまり起きていない」という課題を持つ事業です。「ブラウザで行っている動作をアプリで快適に行ってもらう(Web 上のユーザーの行動の一部を置き換える)」という設計です。

たとえば EC サイトなどは「検索」「お気に入り」「購入」と、ユーザーの行動フローがシンプルですが、モバイルサイトでは使い勝手が悪いと感じているユーザーが多くなりがちです。また、業務管理系サービスも「入力」「閲覧」がメイン機能なので、Web サイトをアプリ化する形でのハイブリッドアプリとの相性がいいといえます。

参考:EC 事業を手がけるお客様へ

ハイブリッドアプリ(webview アプリ)のメリットとデメリット

メリットは「参入しやすさ」

「ウェブサイトとアプリの両方を運用するなんて、とてもできない…」というお悩みはよく寄せられますが、ウェブビューのアプリはサイトの更新がそのままアプリにも反映されます。

つまり、ハイブリッドアプリのメリットは、「運用やメンテナンスに手間をかけずに、顧客に自社の公式アプリを提供できること」といえます。事業との相性が良く、まずは堅実に事業の売上を一段階アップしたいという際におすすめといえます。

すでにサイトを運用している場合、そもそも Web サイトをアプリ化するメリットに関してはこちらの記事も参考にしていただければと思います。

参考:ECサイトや店舗検索・来場予約サイトをアプリ化する意味とは?販促・集客アプリのメリット

デメリットは「違いが出づらい、中途半端さ」

欠点としては、アプリならではの魅力、Web や SNS との違いが出しづらいことです。

機能・仕様面での最大のデメリットは「ネイティブの UI を利用できない(アプリでしかできない、独自性の高い画面をつくれない)」ということでしょう。 あくまで Web(モバイル)ブラウザではやりづらい行動をアプリで最適化するというシンプルな設計のため、ユーザーに驚きや感動を与えるほどの体験は提供しづらいです。

また、注意すべきポイントとしては、「webview アプリをネイティブ化する=作り直しになる」ということです。「まずは web アプリのような簡単なもので始めて、うまくいったらもっとアプリらしいものに差し替えたい」と考えていても、リニューアル費用は安く済むわけではないのです。

ネイティブアプリとは

ネイティブアプリとは、“ネイティブ(本来の)” という言葉の通り、アプリ内に独自のコンテンツとシステムをつくるものです。

そもそも Web サイトのアプリ化ではなく、メッセージアプリ、ゲームや加工用カメラなど、単体でサービスとしてリリースされているものを思い浮かべていただくとわかりやすいかと思います。

また、ハイブリッドアプリの開発は Web サイトの開発に似ている部分もありますが、ネイティブアプリの場合は iOS と Android でも開発に使用する言語が違います。そのため、自社事業として運用していく場合、新しい機能開発やメンテナンスをしながら運用していくには多くの優秀なエンジニアを抱える必要があります。

しかし、だからこそネイティブアプリでは Web サイトではできない斬新な体験を顧客に提供でき、自社や製品・サービスのコアなファンを生み出せる可能性を秘めています。

ネイティブアプリのメリットとデメリット

ネイティブアプリのメリット・デメリットは、ハイブリッドアプリと比較すると「ハイリスク・ハイリターン」の一言に尽きるといえます。

iOS と Android それぞれの担当エンジニアを抱えて運用しなければならない上に、アプリはインストールしなければ利用も告知もできないため、多くの場合は Web サイト(簡易的な web ビューワー、キャンペーンサイト、告知ブログなど)も同時並行で運用することになります。

つまりネイティブアプリは、webview 主体のハイブリッドアプリとは違い、開発費だけでなく運用のコストも大きくかかるのがデメリットになります。投資を回収するためにも「アプリ単体で売上が上がる仕組み」および「常に一定のインストール数を維持する PR 施策」が重要になります。

しかし、優秀なエンジニアやマーケター、プロモーターが集まった組織がネイティブアプリで成功を収めた場合には多くのファン(優良顧客)が集まり、単体で大きな売上を出すことができます。

ですので、ネイティブアプリは、ある程度の規模に成長したが頭打ちになってきたという企業か、「このアプリで世界を変えたい」という想いを持って資金調達をしながら徐々に黒字化を目指していくスタートアップ向けの仕様といえます。

ハイブリッド(webview)アプリとネイティブアプリの違い・メリットまとめ

  • ハイブリッドアプリは運用者も開発者も手をつけやすいのがメリット
  • WebView 以外に独自の機能もつけられるので、「Web サイトをそのままアプリ化しただけ」にする必要はない
  • アプリならではの魅力・価値を提供したい場合はネイティブアプリで勝負すべき
  • どちらで開発するにしても、「Web や SNS との役割の違い」「つくった後のこと」まで考えていなければ成功できない

アプリ開発においてはどうしても聞き慣れない単語が多いため、「ネイティブとハイブリッドどちらがいいのか」という枝葉の議論になってしまいがちです。

しかし、BackApp では「お客様の事業形態や状況という根本的な部分をしっかりとヒアリングしなければ、どちらが良いともいえない」と考えています。
ご不明な点などありましたら相談に乗らせていただいますので、お気軽にお問い合わせください。

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